東京版の記事一覧

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明星・永田昌弘監督 「人生最後のチャレンジです」

明星・永田昌弘監督 人生最後のチャレンジです 「明星から声をかけていただき感謝しています。人生最後のチャレンジと考えて全力を尽くしたいと思います。選手たちには、甲子園が夢ではなく、努力すれば絶対に手が届く場所だということを伝えたい。『府中市から初の甲子園出場』を成し遂げたいと考えています」   監督プロフィール 1958年、愛知県出身。中京高(現中京大中京)―国士舘大、東京ガスで内野手として活躍。1983年に国士舘高の監督に就任し2005年まで指揮。国士舘大監督を経て2016年秋に再就任し2022年3月で勇退。国士舘では春夏通算10度の甲子園出場。2023年12月に明星監督就任。

【目黒日大】エース & Pick up & 主砲

エース 齋藤光純(2年) 185センチの大型サウスポー。現在の球速は130キロ弱だが伸びしろ十分の逸材だ Pick up 織田隆央(2年=三塁手) どんなボールにも対応できる粘り強い打撃が売りの好打者。勝負強さを備えている   平井俊馬(2年=中堅手) 俊足を活かしたプレーが持ち味のアベレージヒッター。野手間に鋭い打球を飛ばす

【日大二】主将のチーム分析

樋口結 主将(2年=中堅手) 秋ベスト4の結果に満足しない 「鈴木勝也と宮村笑琥の投手陣をベースに守備でリズムをつくって攻撃へつなげるチーム。機動力を活かした攻撃がチームの特長です。秋ベスト4に入りましたが準決勝では自分たちの力を発揮できませんでした。秋の結果に満足せずにレベルアップして優勝を目指したいと思います」

【城西大城西】主将のチーム分析

両角尚樹 主将(2年=遊撃手) 選手がそれぞれの役割を果たす 「今年の城西は打撃力のチームです。上位打線の力はどんな相手にも負けません。投手を含めた守備力を高めて春、夏へ向かっていきます。各選手がそれぞれの役割を果たすことでチームとしての形を作っていきたい。先輩たちが夏ベスト4の結果を残してくれたので、思いを引き継いで東東京優勝を狙っていきたいと思います」

【連合】立川国際・東村山・府中・都武蔵 監督コメント

都武蔵・渡部正樹監督 野球を続けられる環境をつくりたい 「野球人口の減少によって小規模チームが増えている状況ですが、野球部に入っている生徒のために連合チームとしてしっかりと活動をしていきたいと思います。一人でも多くの生徒たちが野球を続けられることを願っています」 監督プロフィール 1968年秋田県出身。鷹巣高―早稲田大。大島、東大和、清瀬、小平を経て都武蔵を指導。オリックス中嶋聡監督は、中学時代に全国大会に出場した時のチームメイト。英語科教諭。   立川国際・東村山・府中・都武蔵 「立川国際・都武蔵」と「東村山・府中」の連合チームが合併して2023年秋から「立川国際・東村山・府中・都武蔵」として再編し予選に出場した。2024年春予選も4校連合で戦う。来夏は、新入生の動向によって各校が単独出場する可能性がある。

【目黒日大】主将のチーム分析

川﨑大絆 主将(2年=右翼手) 勝ちきれるチームになる 「今年の学年は明るい世代で、気持ちで向かっていけるチームです。投手力が特長で2年生の齋藤光純のほか1年生にも好投手が揃っています。バッターは、織田隆央、平井俊馬、山口晃生が軸。春、夏に勝ちきれるチームになっていきます」

【明学東村山】エース & Pick up

エース 内村昊平(2年) 最速130キロ超の威力あるストレートを投げ込む本格派右腕。スライダー、カーブのコンビネーションで三振を奪っていく Pick up 佐藤輝波主将(2年=捕手) チームの精神的支柱となる「扇の要」。打撃では4番に座り、パワフルかつシャープなスイングで快音を響かせる 小谷秀志(2年=二塁手・遊撃手) 力感のない構えから鋭い打球を放っていくセンスあふれる好打者。長打力、機動力も備えるクラッチヒッター

【明星】 「府中から甲子園へ」

国士舘前監督・永田昌弘氏が指揮官就任 激戦区・西東京の勢力図に“異変”あり 明星は12月6日、国士舘前監督・永田昌弘氏が野球部監督に就任することを発表した。「府中から甲子園へ」を合言葉に初の甲子園出場を目指す。 ■永田イズムをチームに注入 サプライズなニュースだった。西東京で存在感を示してきた明星が、新たな指揮官に国士舘前監督・永田氏を招へいしたのだ。永田監督は、国士舘時代に春夏通算10度の甲子園出場を成し遂げた西東京レジェンド指揮官。2021年度で国士舘監督を勇退し、今春からは妻が経営するパン店を手伝っていたという。野球から離れて約1年半。他校からの誘いもあったというが、チーム強化を目指す明星サイドから熱心なオファーを受けて快諾。高校野球のグラウンドに戻ってきた。永田監督は「やっぱり自分の居場所はグラウンド。人生最後のチャレンジと思ってすべてを伝えていきたい」と新天地に立つ。チームは石山敏之元監督らがコーチとしてバックアップ。伝統を継承しながら永田イズムを注入していく。 ■「本気度」と「勝利欲」が鍵 新生・明星が目指すのは「府中から初の甲子園出場」だ。過去の西東京の歴史において府中市から甲子園出場を果たしたチームは出現していない。明星は他部活と共用ではあるものの校内にグラウンドを持ち練習環境は整っている。永田監督は「プレーするのは監督ではなく選手たち。選手たちが向上心を持って本気で勝ちたいと思えるかがすべて。本気になれば必ずチャンスは巡ってくる」と説く。新指揮官が構築するのは、国士舘時代と同じ「ピッチャーを中心とした守りの野球」だ。2024年春からは低反発の新基準バットが採用されるが、「守りの野球」が完成すれば十分にチャンスはある。 ■甲子園を現実目標に 新生・明星をまとめるのは、攻守に堅実なプレーと声が武器の大澤健人主将(2年=内野手)。大型サウスポー相馬大輝(2年)が投打の二刀流として主軸を担い、センス抜群の目黒永人(2年=内野手)、坂野凌介(1年=捕手)らが傍を固める。練習を見守る永田監督は選手たちの適性を把握して、コンバートを含めて春・夏へ準備を進めていく。攻守のキーマン目黒が「永田監督が基礎からしっかりと教えてくれるので手応えがあります」と話せば、大澤主将は「甲子園が夢ではなく現実目標になるように努力していく。本気の姿勢をみせていきたい」と力を込める。明星の新たな戦いはすでに始まっている。  

日大二・齊藤寛文監督 「選手の思いを育み結果へつなげたい」

日大二・齊藤寛文監督 選手の思いを育み結果へつなげたい 「2023年春から監督を任せてもらい3大会を経験しましたが、監督として見えてきたものはまだありません。私自身もチームもまだまだ未熟なので、選手の思いを結果につなげられるように努力していきます。選手の力をいかに引き出すかが課題だと考えています」   監督プロフィール 1994年東京都生まれ。日大二―中央大。大学時代から学生コーチとして母校・日大二で指導。中学時代は、羽村シニアでプレーしシニア日本代表に選出。大学卒業後に日大二コーチ。2023年春から監督、2023年秋ベスト4進出。

【連合チーム:立川国際・東村山・府中・都武蔵】エース/Pick up

エース 飯島路翔(立川国際2年) 切れのあるストレートを軸にカーブを織り交ぜてゲームをつくっていく連合チームのエース Pick up 寺澤一道(府中1年=遊撃手・投手) 攻守にアグレッシブなプレーをみせる1年生遊撃手。力強い打撃のほか、ピッチャーとしてもマウンドに上がる

【城西大城西】 「伝統復活へ」

2023年夏に38年ぶりのベスト4進出 『思いやり』と『仲間意識』を軸に頂点へ 1974、1979年に2度の夏甲子園出場した古豪・城西大城西。2023年夏の東東京大会では38年ぶりにベスト4へ進出。古豪復活への大きな一歩を踏み出した。 ■秋都大会は関東一と接戦演じる 伝統校・城西大城西が再び地力を蓄えている。2023年夏の東東京大会では、実戦派右腕・馬場力也と左腕・溝口博斗のダブルエースが力を発揮。5回戦で堀越、準々決勝で実践学園に勝利して38年ぶりにベスト4へ進出した。準決勝では東亜学園に敗れたが復活を強く印象付けた。右腕・馬場は「良い戦いができたが、振り返ると悔いが残る。後輩たちは後悔ない戦いをして優勝してほしい」とエールを送る。新チームは秋都大会でも力強い戦いをみせると、1回戦で明学東村山、2回戦で工学院大附の実力校を撃破。3回戦では関東一と対戦、5投手の継投によって接戦に持ち込んだが2対3の惜敗、手応えを感じながら秋を終えた。関東一は都大会を制したため、城西大城西の戦いぶりは改めて評価されることになった。 ■安保監督と市川助監督の豪華指導陣 2023年6月からチームを率いて、結果を導いているのは、安保隆示監督だ。高校野球名門・浦和学院で長きにわたりコーチを務めて、2020年から城西大城西を指導、夏大会前に監督を託された。指揮官は、選手の力を引き出すために「真剣勝負を楽しもう」と伝えると、選手との対話を重視しチームを構築していった。安保監督は「野球に失敗はつきもの。気持ちを切り替えて前向きにプレーできる選手になってほしい。選手は、監督の指示通りに動く機械ではない。意志を持った選手を育てていきたい」と語る。夏大会後に始動した新チームに伝えたことは「思いやり」と「仲間意識」。選手たちの「勝ちたい」気持ちに寄り添い、そのために何が必要かと問いかけていく。それが、夏、秋の飛躍の秘訣だ。さらに今春からは、元文京、王子総合指揮官で城西大城西OBの市川幸一氏を外部コーチ(今夏から助監督)として招へい。安保監督と市川助監督の最強タッグで東東京へ挑む。 ■強力な打線と継投策で勝負 今季のチームは、強力な打線が武器のポテンシャル軍団だ。リードオフマンは、前チームからレギュラーとしてプレーする俊足強打の松本大成(2年=捕手)。2番はつなぎ役の今江優斗(2年=外野手)。クリーンアップの笹野陽介(2年=外野手)、生明京之介(2年=内野手)、木谷瑛太(2年=内野手)の破壊力は都屈指。4番の生明は「チームの勝利のために4番の役割を果たしたい」とバットを握る。投手陣は、小川瑠己(2年)、海老塚悠斗(1年)、小池琉飛(2年)らの継投でゲームをつくっていく。守備では、堅実な守備をみせるショートストッパー両角尚樹主将(2年)が屋台骨を支える。破壊力ある打撃を軸に守備力が高まれば、頂点を狙うだけのチームになる可能性が高い。両角主将は「それぞれの選手が役割を果たすことでチームは成長できる。先輩たちがベスト4まで勝ち進んでくれたのでベスト4を超えて甲子園へ行きたい」と力を込める。城西大城西は、伝統復活の狼煙を上げた。

明学東村山・工藤大二郎監督「誰からも愛される野球部へ」

明学東村山・工藤大二郎監督 誰からも愛される野球部へ 「外部コーチを経て2021年秋から母校の監督を任せてもらっていますが、母校を率いるやりがいを感じる一方で、生徒を指導することの責任の大きさを感じています。前任の恩師・熊谷政広監督からの指針である『誰からも信頼されて、愛される野球部』を大切にして指導していきたいと思います」   監督プロフィール 1991年東京都出身。明学東村山―明学大。大学卒業後、日体大へ通い教職課程を修得。明学東村山外部コーチを経て2021年秋から母校・監督を任されている。

【明星】主将のチーム分析

大澤健人 主将(2年=二塁手) 初の甲子園出場を目指す 「エースで4番の相馬大輝がチームの軸。投打ともに個性あふれる選手が揃っているので一丸となった戦いで勝ち上がっていきたい。来春から新基準バットになるので攻守の精度を高めていきたいと考えています。永田新監督のもと基礎から取り組んで初の甲子園出場を目指します」

【目黒日大】 「再起動」

2019年に校名変更、今季6シーズン目 ベスト32を超えて「新しい景色」へ 目黒日大は2019年から現校名で東東京大会に参戦、確かな実績を残してきた。6シーズン目となる今季は、次のハードルを越えるための手段を探っていく。 ■日出高校から2019年に校名変更 目黒日大は2019年度に校名変更。野球部も、日大高(神奈川)出身の木川卓見監督を迎えて新たなスタートを切った。2019年4月には20人の1年生が加入。「目黒日大」の夏初陣は、3年生2人、2年生2人、1年生20人の計24人のチームで挑んだ。夏の初勝利は、コロナ禍での独自東東京大会となった2020年。中野工、高輪に勝利して2勝を挙げた。2021年春には大森学園を撃破するなどの金星。同年夏には駿台学園、篠崎の実力チームを下してベスト32へ進出してみせた。チーム強化は着々と進んでいるかに見えるが、今は壁にぶつかっているという。 ■原点に立ち戻り基本を徹底 ゼロからチームを再編していった木川監督は、選手たちの奮闘を評価しながらも結果に関しては物足りなさを感じている。勝ち上がる力を宿しながらも勝負所の試合で勝ち切れない大会が続く。指揮官は「部員数も増えてチームとしての土台はできてきたが大会での最高はベスト32。選手たちの力を出し切れていない部分もある。ベスト32を超えていくためには“何か”が足りないと考えている」と語る。チーム再編から時代に即して試行錯誤を重ねてきたが、いまは原点に立ち戻り野球の基本を徹底しているという。「巡り巡って、原点や基本が大切だという考えに至っている」。チームは、足元を見つめ直して再起動中だ。 ■切磋琢磨で高まる投打の力 選手たちは野球を本気で楽しみながら、自分たちで声をあげてムードを作っている。今季のメンバーは、川﨑大絆主将(2年=外野手)、織田隆央(2年=内野手)、平井俊馬(2年=外野手)ら夏を経験したメンバーに加えて、中山絢心、東角祥英、増田晃大の1年生投手陣も成長。投打の力は高まっている。秋は予選で関東一と対戦し敗れたため都大会出場は果たせなかった。川﨑主将は「どんな相手でも戦えるチームにならなければいけない。難しいゲームを勝ち切って過去最高のベスト32を超えていく。春ベスト8、夏優勝が目標です」と力を込める。選手たちは、それぞれが足りないものを補いながらチームとしての高みを目指す。ハードルを越えたとき新たな世界が見えてくる。  

【日大二】投手陣 & 主砲

投手陣 鈴木勝也(2年) 独特のフォームから威力あるストレートとカーブ、カットを投げ込む実戦派。二松学舎大附、佼成学園撃破の力となった   宮村笑琥(1年) 伸びのあるストレートと緩急をつけた変化球を武器にゲームをつくる1年生サウスポー。淡々と投げ抜くポーカーフェイス   主砲 小林大誠(2年=左・右翼手) 広角に長短打を放っていく技巧派の4番打者。勝負強さも発揮する頼れる存在だ

【城西大城西】Pick up & 打撃陣

Pick up / 松本大成 (2年=捕手) 一番キャッチャーで攻撃のスイッチを入れる核弾頭。攻守両面をまとめるキーマンだ   打撃陣 生明京之介(2年=一塁手)パワフルなスイングで豪快な打球を放つ右の強打者で絶対的4番  

【明学東村山】主将のチーム分析

佐藤輝波 主将 (2年=捕手) 「明学史上最強へ」 「今年の明学東村山は前チームから試合に絡んでいた選手が多く、一体感があるチームです。打撃は自分や小谷秀志が軸。投手陣は最速130キロ超のエース内村昊平が安定していてどんな相手でも戦っていけます。明学史上最強のベスト16以上を目指して戦っていきたいと思います」

目黒日大・木川卓見監督 「チームとしての土台が出来つつある」

目黒日大・木川卓見監督 チームとしての土台が出来つつある 「2024シーズンで監督6年目(目黒日大移行後は5年目)になりますが、チームとしての土台ができてきた実感があります。ただベスト32が最高なので壁を越えるために選手の力を引き出していきたいと思います」 監督プロフィール 1988年神奈川県生まれ。日大高―国士舘。大学時代から日大高で学生コーチを務めて、大学卒業後は日大高教員として指導。2018年4月に目黒日大(当時は日出、2019年に目黒日大に校名変更)に着任し、目黒日大初代野球部監督。2021年夏ベスト32。

【明星】エース & Pick up

エース/相馬大輝 (2年=投手) 伸びのあるストレートが特長の大型サウスポー。打撃でも4番を務める投打の柱だ   Pick up / 目黒永人 (2年=遊撃手・投手) 攻守のセンスが光るショートストッパー。打撃では小技を駆使してチャンスを演出。投手としてもマウンドに

【日大二】「N.を描く 〜第2章〜」

秋都大会で33年ぶりの4強進出 文武両道野球部、2024進撃の予感 日大二が秋都大会で佼成学園、二松学舎大附を撃破して33年ぶりのベスト4進出を果たした。その戦いと姿勢が評価されて21世紀枠候補校に推薦された。 ■夏場に38試合のオープン戦実施 日大二が今秋に快進撃をみせた。田中吉樹前監督が今年3月で勇退し、教え子でコーチだった齊藤寛文新監督が就任。夏は5回戦(ベスト16)で惜敗となったが、新チームで迎えた秋都大会は技術・執念・ベンチワークによって強豪を次々と撃破してトーナメントを席巻してみせた。前チームは、佐藤慎平主将、崎山航輝らタレントが集まっていたが、新チームは総入れ替わり。突き抜けた選手がいない中でのスタートだったが、実戦を重ねるたびに強くなっていった。齊藤新監督のプランによって夏休み中に関東の強豪を中心に計38試合を決行。選手たちはオープン戦での課題を克服し秋大会へ挑んだ。 ■佼成学園、二松に勝利しベスト4へ 2回戦の相手は優勝候補の佼成学園となったが、選手たちに気負いはなかった。エース鈴木勝也(2年)が縦横緩急を活かしたピッチングでロースコアの投手戦へ持ち込んだ。0対1で迎えた9回に細野龍之介(2年=内野手)の三塁打を皮切りに同点に追いつくと延長タイブレークの10回に鈴木悠太(2年=外野手)の犠飛で勝ち越し。エース鈴木が10回裏の相手攻撃を無失点で抑えて2対1の延長逆転勝利。準々決勝の二松学舎大附戦もエース鈴木が好投し延長10回まで3失点で耐えると、サウスポー宮村笑琥(1年)が11、12回を抑えて延長12回の激戦を4対3で逃げ切った。都屈指の大型打線・二松学舎大附を抑えたことは大きな収穫となった。準決勝は創価に屈したが33年ぶりのベスト4進出となった。 ■「日本一の報・連・相」を目指す チームスローガンは「N.を描く」。一丸となって上昇気流を描くことを意味する。新生・日大二は、齊藤監督就任後にグラウンド、部室などの整理整頓を徹底。選手それぞれの持ち場を決めてクリーンアップ作戦を実施。主砲・小林大誠(2年=外野手)は「持ち場をキレイにすることが野球につながっている」と話す。チームはさらに学校生活・部活動での「報・連・相」を重要視、「日本一の報・連・相」を目指すという。齊藤監督は「日本一の選手にはなれなくても、『日本一キレイな野球部』、『日本一の報・連・相』は意識しだいで達成できる」と説く。樋口結主将(2年=外野手)は「秋はベスト4になったが準決勝では創価に力負けしてしまった。心技体を鍛えて春、夏にもう一度チャレンジしていく」と2024年へ向かう。新生・日大二は自分たちの可能性を追求し、過去を超えていく。

【日大二】「N.を描く」

第76回秋季関東地区高等学校野球大会レポート 33年ぶりのベスト4進出 準々決勝で二松学舎大附を撃破 日大二が秋季都大会準々決勝で二松学舎大附を撃破して33年ぶりにベスト4へ進出した。選手たちは大会を通じて大きな進化を遂げた。 ■ジャイアントキリング完遂 日大二が今大会最大のジャイアントキリングを起こした。2回戦で実力校・佼成学園に2対1で勝利して勢いに乗った。3回戦では明大中野を10対0で撃破して準々決勝へ駒を進めると、ベスト4進出をかけて東東京の横綱・二松学舎大附と対戦した。下馬評は二松学舎大附有利。だが、日大二の先発・鈴木勝也が相手強力打線を封じて2対2のまま延長タイブレークへ突入した。そして延長12回の死闘を制して4対3で勝ち切ってみせた。鈴木が10回3失点のピッチングをみせると、11回から登板した1年生左腕・宮村笑琥がタイブレークの状況で2イニングを無失点で締めて、33年ぶりにベスト4を手繰り寄せた。 ■『N』の上昇気流を描いていく 準決勝・創価戦では、左腕・宮村が先発してゲームをつくっていった。しかし、大舞台での緊張からか投打が噛み合わずに劣勢となった。打線が相手投手に3回まで5三振を奪われて沈黙。攻撃で勢いを生み出すことができなかった。選手たちは決死の戦いをみせたが0対7で無念の7回コールドとなった。  日大二は今春からOB指揮官・齊藤寛文監督がチームを率いる。チームスローガンは「N.を描く」。「N」の文字は、一度下がってから上昇していく。文字のようにはい上がっていくことを目指す。齊藤監督は「選手たちは大会を通じて一戦一戦で成長してくれたが、準決勝では逆境を跳ね返す力が足りなかった。この悔しさを忘れずに、『N』の上昇気流を描いていきたい」と語る。

【早稲田実】 「準決勝の壁」

第76回秋季関東地区高等学校野球大会レポート 春夏通算50度の甲子園出場の名門 2017年春以来の選抜出場困難へ 早稲田実が秋季都大会準決勝で関東一に屈してベスト4で戦いを終えた。経験値の高い選手が揃うチームだが、壁を越えることができなかった。 ■宇野、高崎、石原がキーマン 春夏通算50度の甲子園出場、2度の全国制覇を誇る名門・早稲田実。2000年代も7度の甲子園出場を果たしているが、夏は2015年、春は2017年を最後に甲子園から遠ざかっている。2015、2017年は清宮幸太郎が在籍したこともあり盛り上がっていたが、過去5年の春・夏・秋大会では6度のベスト8、1度のベスト4を果たしたが決勝へ進むことができていない。今秋へ臨んだ新チームの選手たちは、1年生から試合出場を重ねた選手が多く、経験値を備えたチーム。2017年春以来の甲子園を狙うチャンスだった。今秋は、攻守のセンスが光る宇野真仁朗主将、世代屈指の内野手・高崎亘弘、スラッガー石原優成を軸にトーナメントへ向かった。 ■準決勝の壁を越えられず 秋季都大会では1回戦で東京実、2回戦で高島に勝利すると、3回戦では夏の東東京ベスト4の岩倉と対戦。乱打戦となった中で、8対5の3点リードで迎えた9回表に5点を奪われて8対10と絶体絶命の窮地となった。だが9回裏に松尾佑真のソロ本塁打で反撃の狼煙を上げると、小薗井陸也の2点二塁打で劇的なサヨナラ勝利。準々決勝では西東京のライバル日大鶴ヶ丘と対戦して9回表に逆転して5対4で逃げ切った。勢いに乗って準決勝・関東一戦へ臨んだが、相手の隙のない野球に劣勢となり1対5で敗れた。  和泉実監督は「うちは宇野と高崎を軸にしたチームだが、ふたりが抑えられた。攻守において力が足りなかった」と敗戦を受け止めた。チームの課題は、投手力と下位打線。早稲田実は、秋ベスト4を糧にして春・夏に「壁」を突破していく。

【関東一】 「涙の勝利」

第76回秋季関東地区高等学校野球大会レポート 8年ぶり5回目の秋優勝 2016年春以来の選抜出場確実 関東一が秋季都大会決勝で創価に4対1で勝利して8年ぶり5回目の優勝を果たした。秋を制した関東一は、来春の選抜出場が確実となった。 ■主軸・熊谷、涙のタイムリー 決勝・創価戦。0対1で迎えた6回に1死2・3塁のチャンスをつくると5番・熊谷俊乃介がピッチャーの足元を抜くセンター前タイムリー。同点のランナーが還って、中堅手がファンブルした隙をみて二塁走者もホームを踏んだ(2点目の記録は中堅手エラー)。逆転につながる殊勲の打撃をみせた熊谷は一塁ベース上で涙を拭った。「やっとチームに貢献できた。1塁ベースのところで自然に涙が出てきてしまった。こんな経験は今までで初めて。自分でもどんな気持ちだったのかあまり覚えていない」(熊谷)。涙の理由は、今夏大会にあった。大会中に先輩捕手の衛藤冴仁が負傷離脱し5回戦・日大豊山戦でマスクをかぶった。しかし、チームは1対3で惜敗。熊谷含め主力として戦った下級生メンバーは「先輩たちの夏を終わらせてしまい申し訳ない」と泣き崩れた。6回のタイムリーは、先輩たちへの恩返しだった。逆転に成功したチームは8回にも2点を追加し4対1で勝ち切った。 ■強豪に競り勝って秋頂点へ 今秋のチームは、プロ注目の大型スラッガー高橋徹平を軸に始動した。投手の軸である畠中鉄心、坂井遼、坂本慎太郎らを含めて主力選手は、夏の前チームからプレー。夏5回戦敗戦の悔しさを糧に再起を誓った。2019年夏以来、5年ぶりの甲子園出場を狙うチームは、1回戦で駒大、2回戦で日体大荏原、3回戦で城西大城西を撃破。準々決勝では東海大菅生に0対3とリードを許しながらも7回に一挙7点を奪って9対3で逆転勝利。難関を突破して勢いに乗った関東一は準決勝で早稲田実に5対1で完勝。決勝でも創価を破って秋の頂点に立った。米澤貴光監督は「新チームの選手たちは経験値が強み。それをさせてくれたのは3年生。我慢が多い大会だったが選手たちが粘り強く戦ってくれた」と称えた。都大会を制した関東一は明治神宮大会に出場。2016年春以来の選抜出場が確実となった。  

指揮官Interview【共栄学園・原田健輔監督】

共栄学園〈東東京〉原田健輔監督 「1日1日の努力の積み重ねが 甲子園へつながった」 今夏の東東京を制して甲子園初出場 今夏の東東京大会で悲願の初優勝、甲子園初出場を決めた共栄学園。激動の決勝戦から約2カ月半、原田健輔監督が今夏、そして甲子園を振り返る。 甲子園での激動の1週間 ―東東京大会初優勝で悲願の甲子園出場となりました。 「うれしかったのは間違いなかったのですが、そのあとが忙しすぎて、喜ぶ暇もありませんでした。もっと喜びに浸りたかったというのが正直なところです(笑)」 ―優勝後のスケジュールは? 「7月30日が決勝で、その翌日(31日)は休みにしました。8月1日は都庁、区長などへ表敬訪問と、荷物の詰め込み作業でした。2日はもう甲子園へ出発したので、あっという間でした。3日に抽選会と甲子園見学。抽選会の結果、開幕戦当日の1日目の試合(対聖光学院=福島)だったので、もうバタバタでした。甲子園常連校であればノウハウがあると思いますが、すべてが初めてだったので大変でした(笑)」

【八王子北】『自立』『自律』『時律』

2017年、2018年夏に西東京大会16強 私学強豪撃破を狙う都立ダークホース 私学強豪相手にジャイアントキリングを起こしてきた八王子北。夏のメンバーが多く残る新チームは過去最高のベスト16を超えてさらなる高みを目指す。 ■2024年飛躍の予感 “番狂わせ”を巻き起こす予感が漂っている。八王子北は2017年、2018年夏に西東京大会で2年連続のベスト16進出を果たすなど確かな実績を残してきた。2017年には桜美林に勝利、2018年には3回戦で日大二、4回戦で桜美林を撃破。5回戦では東海大菅生と真っ向勝負して敗れたが、7回まで3対3の接戦を演じた。  切磋琢磨によってチーム力を高める八王子北は2022年夏にも4回戦へ進出。今夏は2回戦で片倉に屈したが、持てる力は発揮した。今年の3年生が6人と少なかったため、夏のレギュラーの半数を2年生が占めた。実戦経験豊富な新チームは2024年夏の飛躍を目指して突き進む。 ■「3つのジリツ」がチームの軸 チームを率いるのは、八王子北7年目の内田健太郎監督だ。中学時代の実績のない選手たちの能力を伸ばす指導力に加えて、投手育成に長け、数々の番狂わせを演じてきた。立川高卒業で都立野球の原点を知る指揮官は、八王子北の選手たちに「3つのジリツ」を提示している。1番目は自分たちの力で行動する「自立」、2番目は、自身を律する「自律」、3番目は、時間を管理する「時律」。内田監督は「今年のチームの雰囲気は、2018年のベスト16のチームに似ています。ジリツを理解し実践することによって選手たちが成長していくことを信じています」と語る。チームを強くするのは指導者ではなく選手たち。八王子北の選手たちは「3つのジリツ」を胸に日々の練習と向き合う。 ■学年を超えた競争が活力 新チームは2年生16人、1年生6人。軸は、三瓶亮太主将(2年=内野手)、最速140キロをマークする本格派右腕エース大平拓海(2年)、左の強打者・秋山陽祐(2年=内野手)、雨宮昇平(2年=内野手)ら。8月上旬には静岡・伊豆で3泊4日の強化合宿を行い、チームの結束を高めた。合宿では、甲子園実績のある静岡実力校に勝利するなど手応えを得た。秋予選決勝では南平に苦戦を強いられたが、1年生の内野想生、右田凌來の活躍によって逆転勝利。チームには学年を超えた競争も生まれている。

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