【館林 野球部】「革命〜弱者から強者へ〜」#館林高校

「革命〜弱者から強者へ〜」

秋季大会12年ぶりベスト4進出 公立伝統校「21世紀枠推薦校」

OB指揮官の細堀和弘監督就任から6年目、県立伝統校・館林が12年ぶりに秋季大会ベスト4へ進出した。来年度創立100周年を迎える館林はメモリアルイヤーに悲願の甲子園出場を狙う。

2020年12月号掲載

 

■環境美化も練習の一つ

チームの特長は、練習開始前に凝縮されている。

館林の選手たちは、ほうきやちりとりを手に練習場周辺の掃除・美化を徹底する。「ほうき、オッケー!」「ここを頼む!」など、掃除中から練習同様の声が飛び交う。

篠原聖矢主将(2年=内野手)は「環境整備は、当たり前のこと。掃除から積極的に声を出して盛り上げていけば、そのままの雰囲気で練習に入っていける。掃除の時間も練習の一つと考えている」と前向きに取り組む。選手たちはダッシュなど基本メニューも自分たちで創意工夫を加えて改良していく。

細堀和弘監督は「自分たちで話し合ったり、他のチームの良いところを取り入れたり、選手たちがメニューを作っている」と目を細める。館林は、2018、2019年秋ベスト8、2020年秋ベスト4進出。選手の自発的な取り組みが近年の好成績につながっている。

■自分たちのスタイルを貫く

秋季大会は、初戦から拮抗したゲームが続いたが、一戦一戦を粘り強く戦い抜いた。1回戦の前橋東戦は、1対1で迎えた9回にスクイズ失敗後にホームスチールを敢行して劇的なサヨナラ勝利。続く2回戦は安中総合に5対2で勝利、エース宮村一輝(1年)が12奪三振で相手を2点に抑えた。

3回戦桐生戦は、エース宮村が散発5被安打に抑えて2対0で完封勝利、準々決勝は、実力校伊勢崎清明を下して勢いに乗る高崎北を6対3で撃破し、準決勝へたどり着いた。関東大会出場権を懸けた準決勝の相手は健大高崎。「戦力の高い私立に対して、同じ野球をしては勝てない。自分たちのスタイルを貫くことが重要」(細堀監督)。館林は初回に盗塁を成功させるなど積極的なアクションをみせる。0対3で迎えた4回に1点を返したが、4回以降に失点が重なり、点差が開いた。6 回に宮村の2塁打で2点を奪うなど意地はみせたが、3対12の7回コールド負けとなった。

篠原主将は「序盤はしっかりと戦えていたが中盤以降に力の差を見せつけられた。実戦で学んだ、この差を詰めていきたい」と振り返った。

■強者への階段を登るチーム

チームの武器は、ベンチを含めた一体感。レギュラー、控えの枠を超えてチームのために戦っている。普段の練習で培った「声」の力も、貴重な戦力だ。

士気高まるチームをまとめるのは、キャプテンシーを備えた篠原主将。主将を支えるのは、攻守の要・今成新汰(2年=内野手)、俊足強打の周藤快気(2年=外野手)のセンターライン。この3人がチームの根幹となっている。周藤は「秋季大会でベスト4まで行くことはできたが満足はしていない。私立を倒してさらに上へ行きたい」と次の目標を定める。

学校は来年度、創立100周年の記念年となる。今成は「OBの方々のためにも100周年の年に甲子園出場を達成したい」と聖地を見据える。保護者らがバックネット裏に建てた記念碑には「革命〜弱者から強者へ〜」と刻まれている。強者への階段を登る館林は、“革命”を起こすべく戦い続ける。進化を遂げるチームは、2021年春選抜の「21世紀枠推薦校」に選出された。

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