【目黒日大 野球部】「野望」 #目黒日大

2019年春から本格的な野球部強化
東東京の断崖絶壁を登る選手たち  

2019年4月に「日出高校」から「目黒日大」となった。新たなスタートとなった野球部は、1・2期生たちが大きな野望を胸に日々努力を続ける。

[2021年1月号掲載]

■秋季大会は菅生に敗戦

初々しかった選手たちが、球児となった。

チームはこの1年間で大きな進化を遂げた。2019年4月に「日出高校」から日大系列の「目黒日大」に校名変更。その春、日出高校時代からの2・3年生は計4人。同年4月に20人の1年生が加わり、木川卓見監督のもと本格的な野球部強化がスタートした。「目黒日大」としての最初の夏は初戦敗退。2019年秋、2年生2人と1年生20人で始動したチームは、チーム内投票の結果、1年生だった當山竜祥(内野手)が主将に指名された。2年生レギュラーは1人で、主力は1年生。フレッシュなチームは2019年秋季大会で予選を突破し都大会へ進出。2020年夏の東東京大会では「2勝」、秋は予選を含めて「3勝」を挙げた。都大会1回戦で日野台を下したチームは、2回戦で東海大菅生と対戦し、0対10で力負けした。

若き指揮官・木川監督は「もうちょっと戦えるかなと思ったのですが、甘くなかったです。ただ、トップレベルの力が把握できたのはチームの財産です」と前を向く。

■目黒日大“1期生”としてのプライド  

2020年春には、15人の1年生が加入し、35人の所帯となった。

チームは、目黒区の学校からバスで約40分の距離の旧日大芸術学部所沢キャンパスの広大なグラウンドで練習を積む。いまの2年生たちは、1年生の夏からほとんどの選手が公式戦に出場するなど大きな経験値を得てきた。上級生が揃う学校ではなかなかできない貴重な経験だ。この経験をどう生かすかは、選手次第。2年生たちは目黒日大“1期生”として切磋琢磨してきたが、仲が良い余り、指摘できない弊害もあった。叱ってくれる先輩がいなかったことで「甘さ」が出てしまうこともあったという。

チームは「本音カード」制度を作って、選手同士で足りない面を共有したり工夫を重ねている。當山主将は「ゼロからのスタートだったので大変な部分もあったけど、最後に勝つチームになりたい。経験がアドバンテージになるのはこの秋大会まで。ここからはどのチームも横一線。経験に甘んじたら、ここからは成長できない」と現状を把握する。

■頂が見えてからが勝負  

秋季大会は最終的に都大会を制した東海大菅生に敗れる結果になったがチームは確実に進化している。

チームは、俊足の1番打者・油井佑樹(2年=外野手)、攻撃的2番・小西歩夢(2年=内野手)、巧打の3番・酒井皓哉(2年=内野手)、4番・當山主将の主軸が、強豪撃破へ牙を研ぐ。投手陣は、技巧派左腕・エース落合悠太(2年=投手)がマウンドを守る。彼らは、中学卒業時に強豪校から誘われながらも、新たな歴史を作ることに魅力を感じて目黒日大を選んだ。彼らの野心は、進化の原動力となっている。

1年半前の春、真っ白だった地図には、山頂へと続く道がくっきりと描かれている。しかしながら、東東京という“山”は、頂が見えてから険しさが増す。目黒日大の選手たちは、聖地へとつながる断崖絶壁を登っていく。

 

 

 

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