【工学院大附 野球部】「ひたむき」 #工学院大附

強豪2校破って秋予選突破
近年のチーム強化で土台構築

1991年夏の西東京でベスト4となった伝統校・工学院大附が虎視眈々と上位進出を狙っている。秋一次予選では強豪2校を破って本大会へ出場するなど飛躍の瞬間を迎えている。

■一次予選最大の「番狂わせ」

秋季一次予選最大の「番狂わせ」だった。いや「番狂わせ」という言葉がもはや的確ではないかもしれない。それほどまでにチーム力は上がっている。

工学院大附は予選で激戦区にエントリーされた。初戦の相手は日大二、予選決勝は東海大高輪台となることが予想された。どこが勝ち上がるかまったく読めない状況で、予選が開幕。工学院大附は日大二戦の初回に、主砲・内田凜太朗(2年=外野手)が先制2ランを打ち込み、チームにスイッチを入れると、序盤で5対1とリード。選手たちは我慢の戦いを演じながら終盤にダメ押しとなる1点を奪って、6対1で逃げ切ってみせた。続く予選決勝・東海大高輪台戦では延長12回の戦いで4対3と勝利、激戦のブロックを抜けて堂々の本戦出場を決めた。鹿野田海人主将(2年=内野手)は「チームのみんなで勝ち取った勝利だった」と手応えをつかんだ。

■ひたむきに頑張る選手たち

今季のチームは、団結力が武器だ。この夏に引退した3年生たちは、140キロ超のストレートを投げ込む絶対エース島﨑龍斗(3年)を軸にした大型チームだった。今夏の西東京大会で前チームは4回戦で明大明治に惜敗して大会を去った。新チームの2年生たちの個人力は、3年生には及ばない。強い覚悟を持ってグラウンドに向かった選手たちは、いまの力を理解した上で、自分たちらしさを追求していった。

就任5年目でチームの土台を築いてきたOB指揮官・雨宮啓太監督は「この2年生は入学したときからコロナの影響を受けて、まだ体ができていない部分もあるが、全員で力を合わせて、ひたむきに頑張ることができる選手たち。背中を押してあげたいと思える、良い選手たちなのです」と指導に熱を込める。2年生19人、1年生19人の計38人が新たな歴史を作ろうとしている。

■チーム全員で甲子園へ

今季のチームは、守備でリズムを作って攻撃へつなげていくスタイル。その中心となるのは抜群の安定感をみせるエース山岸生真(2年) だ。予選突破の原動力となった山岸は、予選2試合で四球ゼロと無駄な走者を許さなかった。冷静沈着ながらもインコースを強気に攻める気持ちの強さも備え、来夏までにさらなる進化が期待できる。山岸は「チームを勝利に導ける、信頼される投手になりたい」と拳に力を込める。攻撃では1番の藤原大衡(2年=外野手)、4番の内田が力強いスイングをみせる。守備ではショートストップ小久保冬吾(2年)が堅実なグラブさばきで内野をまとめる。内野、外野の各ポジションに軸となる選手が揃い、投打のバランスは整っている。

鹿野田主将は「秋大会は一つの通過点。課題を追求しながらチーム全員で甲子園という目標へ向かっていきたい」と話す。厳しい練習でも、明るく、前向きに取り組むことができるチームは大きな可能性を秘めている。選手たちは、東京の頂きを狙っていく。今シーズン、都内の勢力図が塗り替えられるかもしれない。

 

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