【前橋東 野球部】「思考自走」 #前橋東

大切なのは自分たちで走ること
独自のスタイルで旋風起こす

独自のスタイルで地力をつける県立ダークホースの前橋東。選手たちで考えながら戦うチームは、どんな相手でも怯むことなく立ち向かっていく。

■2017年春4強の県立実力校

目指す野球がはっきりと確立されてきた。最近では2017年春にベスト4、同年夏にベスト8進出を果たすなど、選手の個性を結集させて結果を導いてきている。選手たちが本気で野球を楽しみながら結果を追求していく姿は、高校野球の原点なのかもしれない。最近3年間の戦績は3回戦が最高だが、敗れた相手は県内強豪が多く、決してチーム力がないわけではない。昨年の秋季大会は初戦で館林と対戦。0対1と拮抗した状況で迎えた8回に同点に追いつき1対1で9回を迎えた中で、2死から館林に奇襲のホームスチールを決められて1対2で惜敗。館林は結果的に同大会でベスト4へ進出、前橋東にとっては悔やまれる敗戦となった。選手たちは、秋初戦敗退の悔しさを糧にして成長を誓った。

■2度の甲子園を経験した指揮官

チームを率いる小暮直哉監督は、現役だった前橋高時代に正捕手として選抜甲子園に出場。教員として最初の着任校となった前橋工時代の2009年には秋季関東大会から指揮を執ると4強へ進出し、2010年春の選抜切符をつかんだ。選手、指導者として2度甲子園の土を踏んだ貴重な経験を持つ。野球の常識に捉われない柔軟な考えで選手たちを指導する指揮官は、2012年秋に前橋東監督になると、「思考」をテーマに「考える野球」を実践してきた。そして多くの大会を経験し、試行錯誤を重ねていく中で、昨年度に「自走」というキーワードに出会った。前橋高時代の恩師・松本稔監督の言葉という。小暮監督は「自走という意味は、だれかの力で走るのではなく、自分たち自らが動力を備えること。『思考』+『自走』によって、選手はさらに成長できると感じました」と話す。

チームは「思考自走野球」というスローガンのもと、新たな一歩を踏み出す。

■次世代の高校野球の姿

強豪ひしめく戦国群馬で戦う準備は整ってきた。

今年の前橋東は、湯浅真都主将(3年=内野手)というリーダーを軸に、一つにまとまっている。突出した選手はいないが、投打のバランスが取れた集団だ。小暮監督は「チームで雰囲気を作って、最後は勝ちにつなげられる不思議なチーム。ベスト4入りした2017年のチームに近い」と評価する。今春の中毛リーグでもリードを許しながらもしっかりと耐えて、最後に逆転劇を演じていったという。マネージャーの細野美瑠さん(3年)は「みんなで声を出して雰囲気を作っていけるのがこのチームの強みです」と選手に信頼を寄せる。湯浅主将は「秋季大会の初戦で負けた悔しさを忘れずに残りの大会へ向かっていきます。夏はみんなの力を合わせて優勝したい」と汗をぬぐう。

「思考自走野球」。大切なのはだれかに牽引されて動くのではなく、自分たちの意志で走ること。前橋東は、次世代の高校野球の目指すべき方向を指し示しながら、結果を追求していく。

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