【横浜隼人】 「千紫万紅-せんしばんこう-」

投手力を軸に狙う2度目の甲子園
「選手の個性」が光るチームは原石の宝庫

 全国最大規模の部員数を誇る横浜隼人。部員全員が綱を持つ「綱引き野球」で2度目の甲子園切符を手繰り寄せる。

■次世代を担う“原石”が集まる  

2009年夏に神奈川大会を制して甲子園初出場を成し遂げた横浜隼人。あれから14年、甲子園常連校がひしめく野球王国・神奈川で甲子園初出場を果たしたチームはない。振り返ると横浜隼人の甲子園初出場は快挙と言える。2度目の甲子園には届いていないが、それ以降、卒業生たちがプロの世界で飛躍している。2014年にオリックスから2位指名を受けた内野手・宗佑磨が昨季の日本一に貢献し、2年連続でゴールデングラブ賞とベストナインを受賞している。さらに今季は、大型左腕・青山夏美人が(亜細亜大)が西武ドラフト4位でプロ入りした。横浜隼人のグラウンドには、次世代を担う“原石”が集まっている。選手たちが育つ土壌が、ここにはある。

■昨夏の神奈川大会は横浜と死闘

 昨夏の神奈川大会では、白熱のゲームを演じてみせた。前嶋藍前主将(亜細亜大進学)を軸としたチームは、5回戦で横浜と対戦。1対2で迎えた9回裏に同点に追いつくと、さらに一打逆転サヨナラのチャンスを迎えたが、あと一本が打てずに延長戦へ。そして延長10回に2失点して2対4での惜敗となった。大会結果はベスト16となったが、横浜を最も苦しめたチームであったことは間違いなかった。水谷哲也監督は「選手たちは大舞台で持てる力を発揮してくれた。選手たちは、“あと一本”の難しさ、一球の大切さを理解してくれたはずだ。あの戦いを、2023年の戦いにつなげていかなければいけない」と話す。今年のチームは、激闘を経験した菊地唯仁主将(3年=内野手)、投手の石橋飛和(3年)、山口喜貴(3年)らが残る。彼らの存在と成長が飛躍の鍵となる。

■神奈川トップレベルの投手陣  

3月上旬、横浜隼人は紅白戦を実施した。冬のトレーニングの成果を表現する場となったが、エース左腕・石橋、ダブルエースの一角である右腕・山口がキレのあるボールを投げ込むと、新井陽晴(3年)、難波晴輝(3年)、さらには2年生・沼井伶穏が140キロに迫るストレートを次々と投げ込み、関係者たちをうならせた。投手陣は、間違いなく神奈川トップレベル。打線の迫力が増せば、2度目の甲子園が見えてくる。主砲・久保風仁(3年=内野手)が「チームを活気付ける力強いバッティングで役割を果たしたい」と話せば、菊地主将は「昨夏の横浜戦9回一死満塁で、自分が打っていれば勝つことができた。あの悔しさを忘れずに、一球一打に集中していきたい」と夏をにらむ。今年のチームスローガンは「千紫万紅(せんしばんこう)」。選手の個性を集約して、チームを彩っていくことを目指す。横浜隼人は、2度目の甲子園切符をつかみ取るために、それぞれが個性を磨いていく。

 

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