【調布南】 「感動を生む集団へ」

2018年夏の西東京大会ベスト16
新体制で目指す『西東京都立No.1』

 調布南に、さわやかな風が吹き込んでいる。野球を全力で楽しむ選手たちは、『西東京都立No.1』を目指して新たなスタートを切った。

■環境を言い訳にしない  

調布南の校舎通路口付近には、野球部のホワイトボードがある。そのボードには、『情熱』『闘志』『信頼』の文字が掲げられている。これは、都立雪谷の甲子園出場記念石碑に刻まれた言葉だ。練習試合で訪れた際、チームの素晴らしさに感銘を受けた加藤洋章監督が、敬慕の念から調布南にも取り入れた。「愛されるチーム」「感動を生む集団へ」というチームスローガンと合わせ、部員たちが目指すべき姿を示す。さらに「勝者は強いが故に寛大であり、敗者は弱いが故に強くみせる」などの「勝者の条件」も綴られ、勝利への意欲を掻き立てる。京王多摩川駅から徒歩3分の場所に位置する調布南は、限られた校庭での練習となる。平日でグラウンドが利用できるのは水曜日と金曜日。選手たちは、ミーティングやフィジカルトレーニングを組み込みながら心技体の成長を目指す。木村泰陽主将(3年=内野手)は「環境を言い訳にせず逆にメリットと考えて練習に取り組んでいます」と話す。

■選手たちの成長に手応え  

チームに情熱を注ぎ込んでいるのは、都立出身の加藤監督だ。大学卒業後に、2度の甲子園出場を誇る城東に着任して平岩了監督の助監督として選手を指導。城東では、選手たちの意欲的な姿勢に驚き、指導者として本気にならなければいけないと感じた。その後は日野に異動となり嶋田雅之監督のもとで部長として経験を積み、都大会ベスト4などの実績を残した。日野では、選手の気持ちを把握するため一緒にグラウンドに立ち、同じメニューをこなしたという。そして2022年度に調布南へ戦いの場を移し昨夏大会後から指揮を執る。加藤監督は「城東、日野という都立強豪で学んだことを調布南の選手たちに伝えていきたい。この半年間の選手たちの成長には大きな手応えを感じています」とノックバットを持つ。指揮官の真っ直ぐな思いと『情熱』『闘志』『信頼』の言葉が、チームを変えようとしている。

■真の勝者とは?  

現在は新3年生14人、新2年生6人の計20人。4月には新入生を迎えて、さらなる活気が見込まれる。チームをまとめるのは攻守の要・木村主将。2番ショートの木村主将がチームのスイッチ役となり、チームが起動していく。打線は1番・奥大樹(3年=外野手)、4番・秀島竜之介(3年=内野手)、主砲・伊藤竜太郎(3年=捕手)らがチームバッティングで得点に絡んでいく。投手陣は、左オーバーの上岡直(3年)、左アンダーの松倉修人(2年)が特長を活かしたピッチングでゲームを作っていく。チームは2018年の西東京大会で5回戦(ベスト16)へ進出したが、それ以降はコロナ禍もあり結果を残すことができていない。「西東京都立No.1」を目標に掲げる木村主将は「結果だけではなく礼儀やあいさつを含めて、西東京都立No.1にならなければいけない」と夏を見据える。選手一人ひとりの力は決して大きくないが、それを合わせることによって大きな力を生み出すことができる。真の勝者は、目の前の問題に正面から向き合い、実行する。

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