東京版の記事一覧

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【準決勝】東亜学園vs城西大城西(2023年夏)

東亜学園 7年ぶり決勝進出、甲子園へ王手 城西大城西 古豪復活 大躍進でベスト4   東亜学園が東東京大会準決勝で城西大城西に勝利して7年ぶりの決勝進出を決めた。古豪・城西大城西は今大会で大躍進をみせたが進撃はベスト4で止まった。 ■東亜学園 打線がつながり着実に加点 東亜学園は、三浦寛明と大沢健翔のダブルエースを軸にして戦ってきた。打撃では、毛利光希、笹本琢真、倉持大希が“つなぐバッティング”でチャンスを演出。ホームランバッターこそいないが、各選手の特長を集結して得点を重ねてきた。決して簡単なトーナメントブロックではなかったが、一戦一戦を勝ち抜くことで自信を得た。5回戦では実力チーム・明大中野と対戦して11対4で勝利。準々決勝では、5回戦で第2シード関東一を撃破した日大豊山に5対3で撃破し勝どきを挙げた。準決勝では古豪・城西大城西と対戦してチーム一丸となった戦いをみせた。4回まで0対1だったが5回以降に打線がつながり、5、7、8回に3点ずつを奪って10対4で城西大城西を突き放した。東亜学園は7年ぶりの決勝進出となった。 ■城西 38年ぶりの準決勝進出 城西大城西は1974、1979年に夏甲子園へ出場した古豪。夏大会前に、元浦和学院指導者で城西大城西コーチを務めていた安保隆示氏が監督に就任。新体制で夏大会へ臨んだ。今年のチームは、左腕・溝口博斗と馬場力也のダブルエース。左腕・溝口が先発してゲームをつくり、馬場への継投で勝ち上がってきた。準決勝・東亜学園戦でも、溝口から馬場への勝利の方程式を実践。4回まで1対0とリードしたが、中盤以降にリズムが整わずに失点を重ねてしまった。城西大城西は最後まで粘り強い戦いをみせたが4対10での敗戦となった。安保監督は「決勝進出は果たせなかったが選手たちが頑張ってくれた。今大会を復活の一歩にしたい」と語った。38年ぶりの準決勝進出は古豪復活の狼煙になる。  

【2023年夏 西東京大会準決勝】早大学院vs日大鶴ヶ丘

早大学院 13年ぶり4強も初決勝ならず 日大鶴ヶ丘 2018年以来5年ぶり決勝進出 日大鶴ヶ丘が西東京大会準決勝で早大学院に勝利して2018年以来5年ぶりの決勝進出を決めた。13年ぶりベスト4の早大学院は、初の決勝進出はならなかった。 ■日大鶴ヶ丘ノーシードから躍進 日大鶴ヶ丘はノーシードエントリーのため今試合が7試合目。1回戦は開幕ゲーム、3回戦では八王子に3対2で競り勝って勢いに乗った。5回戦は、今大会のダークホース駒場学園を撃破。準々決勝では第2シード早稲田実を10対3の7回コールドで押し切っている。戦いながらチーム力を高めたチームは準決勝で早大学院と対戦、大会を通じて進化を遂げたエース比江島幹が先発しゲームをつくると中盤には打線が援護。打線中軸の木嶋康太、杉浦凛。小針大輝らがタイムリーを放って得点を重ねた。エース比江島は9回4安打6奪三振2失点の好投で完投勝利。2018年以来5年ぶりの決勝進出を決めて、甲子園出場に“あと1勝”に迫った。日大鶴ヶ丘は今夏に照準を合わせてチームを段階的に仕上げてきたが、その成果が結果につながった。 ■早大学院 西東京の勢力図に変化 第4シード早大学院は、今夏の注目チームだった。プロ注目の西山恒斉が負傷離脱しメンバー登録から外れた状況で、春大会で好投したエース岡村遼太郎を軸に堅実な戦いでベスト4まで勝ち進んだ。5回戦では日大二にサヨナラ勝利、準々決勝・佼成学園では8回までスコアレスの投手戦。9回に野田俊輔の2点タイムリー二塁打などで3点を奪って3対0で競り勝った。準決勝・日大鶴ヶ丘では3回に4番・佐藤寛也のタイムリーで先制したものの、5回に逆転を許すとじわじわと点差を離されてしまった。9回には舟橋立葉が意地の本塁打を放って1点を返したが2対6で敗れた。エース岡村は「最後までしっかりと戦うことができた。悔いがないと言えば嘘になるが、このチームでプレーできて良かった」と胸を張った。西東京の「早稲田」は、早稲田実が実績を残してきたが、これからは早大学院との2強になっていくことだろう。    

【共栄学園】初甲子園へ(2023年夏)

ミラクル劇演出で悲願の初優勝 葛飾の星、下町へ優勝旗を持ち帰る 共栄学園が第105回全国高校野球選手権記念東東京大会決勝で東亜学園に勝利して悲願の初優勝、甲子園初出場を決めた。 ■2003年男女共学化の新鋭 共栄学園は2003年の男女共学化に伴い野球部が誕生。2012年に原田健輔監督が就任した。原田監督は浦和学院出身で共栄大を経て金融機関に就職。しかし野球指導の道があきらめられずに共栄学園の門を叩いた。当時は初戦敗退が続いたチームだったが、ゼロからのスタートで戦績を積み上げてきた。今年のチームは、エース茂呂潤乃介、主砲・菊池虎志朗らが揃った期待の世代。昨夏の東東京大会を経験した選手も多い期待のチームだった。しかし、昨秋は予選敗退。原田監督と選手たちは、ひたむきに練習に励み、力を蓄えてきた。そして今春都大会でベスト16に進出してシード権を獲得。チームのすべてを結集して夏へ挑んだ。 ■波乱の大会を共栄学園が制す 準決勝で岩倉にサヨナラ勝利するなどミラクル劇を演じて決勝へ進出した共栄学園の相手は、東亜学園だった。共栄学園は、田嶋勇斗が先発してゲームを組み立てていく。3回までに3対1とリードし、4回に田嶋から首藤健介へ継投を試みたが噛み合わずに逆転を許す展開。急遽、エース茂呂がマウンドに上がりゲームを立て直していく。だが、8回に2失点して5対6で最終回を迎えた。9回2死1塁の状況まで追い詰められたが、ムードメーカーの清藤和真が四球で出塁すると、打野琉生がセーフティーバントで出塁。相手の失策によって土壇場で同点に追いつくと、打線が爆発。この回で一挙に7点を奪って逆転勝利、東東京の頂点に立った。今大会は、帝京、関東一、二松学舎大附が次々と敗れる波乱の大会となったが、下町葛飾の共栄学園が優勝旗をつかみ取った。  

【岩倉】エース & Pick up(2023年夏)

エース/大野巧成主将 (3年) 最速142キロのストレートを果敢に投げ込み、相手をねじ伏せる絶対エース。打撃でも4番に座り、迫力の打球を放つ Pick up 堀田秀哉 (3年=二塁手・投手) 力強いスイングで長打を放っていく右のスラッガー。秋2回戦八王子戦ではサヨナラ本塁打を放つなど勝負強さを備えている 川上智史 (3年=一塁手)

東亜学園・武田朝彦監督 「選手の力を信じて戦っていく」(2023年夏)

東亜学園・武田朝彦監督 選手の力を信じて戦っていく 「今年の選手は真面目に努力できる選手が揃っている。ただ、実績のある選手たちではないのでカタチになるのに時間がかかっている。最後の最後までひと踏ん張りして、どこまで仕上がっていくか。選手たちの力を信じて戦っていきます」 監督プロフィール 1977年東京都生まれ。東亜学園−東洋大。東洋大でコーチを5年間務めたあと東亜学園コーチ。2017年に上田滋前監督からチームを任されて監督に就任。2017年夏、2018年夏ベスト8、2018年秋、2020年夏ベスト4。

日大豊山・福島直也監督「夏に向けて大きく成長」

日大豊山・福島直也監督 夏に向けて大きく成長 「秋、春ともに結果を残すことはできませんでしたが、チームは夏に向けて大きく成長し自分たちがやってきたことは間違いではなかったと感じています。野球本来の楽しさを追求しながら豊山の野球を見せていきます。選手たちが今夏に、たくましくなっていくことに期待しています」 監督プロフィール 1985年生まれ。日大豊山—日大。大学卒業後、日大豊山で5年間コーチ。その後、日大豊山中の部長・監督を務めて2017年春から母校監督に就任。2019年夏東東京ベスト4、2020年夏東東京ベスト8。

【八王子】Pick up & 主将のチーム分析 & 監督コメント(2023年夏)

Pick up 鈴木裕晴 (3年) 伸びのあるストレートとキレのある変化球を低めに集めるサウスポー。球威が上がり夏ブレイクの予感 北條葉琉 (3年=外野手) パンチ力ある打撃でチームを牽引していくキーマン。夏大暴れの予感が漂う   主将のチーム分析・山田昊志郎

【東亜学園】pick up & 主将のチーム分析(2023夏)

主将の チーム分析・三浦寛明 主将 (3年) チーム内競争が 選手を成長させてくれる 「去年から公式戦に出場していた選手が多く、経験値の高いチームです。ピッチャーの大沢健翔、齋藤颯真を軸にして守り勝つ野球をしていきます。春を終えてレギュラーが入れ替えになるなどチーム内競争が刺激を与えてくれています。『全力疾走 全員守備』のスローガンのもと勝ち上がっていきたいと思います」    

【日大豊山】主将のチーム分析(2023年夏)

一体となって盛り上げていくチーム 佐藤優斗 主将 (3年=捕手) 「今年の日大豊山は、勝負所でみんなが一体となって盛り上げていけるチームです。劣勢の試合でも終盤にひっくり返していく力と勢いがあります。エース井上雅也を中心としたチームですが、打撃力も上がってきていて、夏は機動力を絡めた戦いで甲子園を目指していきたいと思います」

【岩倉】主将のチーム分析(2023夏)

一球一打に集中して戦う 大野巧成 主将 (3年=投手) 「自分(大野)、堀田秀哉、川上智史の3人が軸となります。投打のバランスが整っているので一球一打に集中して戦っていきます。秋はベスト16、春は3回戦でしたが、春は一球の怖さを味わったので、夏はワンプレーを大切にして甲子園という目標へ向かって気持ちを込めてプレーします」

【国学院久我山】主将のチーム分析/ピックアップ選手(2023夏)

原田知輝 主将(3年=外野手)「久我山野球で西東京制覇」 「今年のチームは、クリーンアップを軸にした勝負強い打撃が武器です。投手陣の力も上がっているので夏が楽しみ。バントを駆使した久我山野球でつないでいってチャンスで確実に得点を奪っていきます。チームスローガンは『覇』。チーム一丸となった戦いで西東京制覇を狙っていきます」     【エース】松本宗二郎(3年) 威力あるストレートと鋭いスライダーで勝負するエース。久我山躍進のキーマンだ   【二刀流】木津寿哉(3年=一塁手・投手) 都屈指の安打製造機で、芯で捕えればスタンドへ運ぶ力を秘める。今季は投手としてもマウンドに上がる

【日大豊山】「克己」

3年生の皆さん、お疲れ様でした! 投打の魅力十分、ポテンシャル軍団 2000年夏以来2度目の甲子園へ 2015年夏準優勝、2019年夏ベスト4、2020年夏ベスト8となった伝統校・日大豊山。春以降に進化を遂げたチームは2000年夏以来2度目の甲子園を狙っていく。 ■選手育成の揺るぎない“土壌” 日大豊山は2015年夏の東東京大会で甲子園まで“あと1勝”に迫る準優勝となっている。その後もベスト4、ベスト8へ進出し力を発揮している。文武両道の精神で野球の魅力を追求しながら全員が成長していくスタイルが近年のトレンド。2022年秋には2015年のエース吉村貢司郎(国学院大―東芝)がヤクルトから1位指名を受けて入団。2021年夏の左腕エース玉井皓一朗(日大)、2022年の捕手・狩野光晴(中央大)も将来が期待される。日大豊山は高校野球で勝利を追求しながらも、次のステージで光る好選手を続々と輩出。チームには選手育成の揺るぎない“土壌”がある。 ■春以降に進化を遂げるチーム 最近の大会で敗れた相手は、甲子園常連校だ。2022年春には二松学舎大附、2022年夏には関東一に敗戦。新チームでの初陣となった2022年秋には東海大菅生に5対7で惜敗となった。東海大菅生戦は、序盤にリードを許しながらも粘り強く戦い、接戦に持ち込んでいる。冬を越えて迎えた春は1回戦で実力校・日大二に9対5で勝利し幸先良いスタートを切ったが、2回戦で文京に3対4で敗れてしまった。OB指揮官の福島直也監督は「先をみたわけではないが、チームとしての甘さが出てしまった。甘さを排除しなければ夏に勝ち上がることはできない」と再起を促した。敗戦を糧にしたチームは春以降の練習試合で、関東強豪相手に好勝負を演じるなど変化の兆しが見え始めた。 ■チームスローガンは「克己」 2023年夏へ向かうチームは、堅実なインサイドワークと統率力が光る佐藤優斗主将(3年=捕手)と、最速145キロのエース井上雅也(3年)のバッテリーが軸になる。投手陣は井上を軸に、タイプの違うピッチャーが揃い、層の厚みが今季の特長だ。打撃陣は、3番・上野竜仙(3年=外野手)、4番・光永翔音(3年=内野手)が迫力のスイングをみせる。光永は、水泳インターハイバタフライで高校王者となった「二刀流」スラッガー。190センチのサイズからのフルスイングで相手投手に圧力をかけていく。クリーンアップの迫力に機動力を絡めた攻撃で、夏のトーナメントを席巻していく。今年のチームスローガンは「克己」。佐藤主将は「秋、春に悔しい負け方をして、自分たちには夏しか残っていない。敵は相手ではなくて自分たち。自分たちに勝つことで勝利が見えてくる」と決戦の地に立つ。選手たちが持つすべての力を“開放”したとき、甲子園への道が拓ける。

【八王子】「勇猛果敢」

3年生の皆さん、お疲れ様でした! 今春3回戦で二松学舎大附に勝利 2016年夏以来、2度目の甲子園へ 2016年夏に初の甲子園出場を決めた八王子。今年のチームは、7年ぶり2度目の甲子園に照準を合わせて戦い抜いていく。 ■ひたむきに努力できるチーム 今年のチームは、例年と比較して派手さはないが堅実に戦えるチームだ。ひたむきに努力できる選手が揃い、一体感は例年以上。一昨年、昨年は羽田慎之介(現西武)や星野翔太(城西大)らプロ注目の大型投手を擁しての戦いだったが、今年は彼らのようなスター選手はいない。前チームから選手が大きく入れ替わった新チームは、昨秋1回戦で小平に勝利し、2回戦で岩倉と対戦。エース鈴木裕晴(3年)の好投によって2対1で9回を迎えたが、耐えきれずに無情のサヨナラ負けとなった。エース鈴木は「ひと回り大きくなって春、夏に戻ってくる」と話して大会を去った。 ■二松学舎大附に延長戦勝利 チームは冬のトレーニングによってスケールアップを果たした。進化を証明したのは、春季大会3回戦の二松学舎大附戦だった。4季連続甲子園出場の東東京・無敵艦隊の二松学舎大附に対してゲーム中盤まで3点ビハインドとなったが、終盤に底力を発揮。川添皓生(3年=内野手・投手)の投打の活躍によって同点に追いつき、延長タイブレークに持ち込むと5対3で勝ち切って番狂わせを起こした。安藤徳明監督は「大会前に二松学舎大附の映像を確認したが、(戦力的に)難しい試合になるのは分かっていた。選手たちがあきらめずに最後まで食らいついていったことが勝利につながった」と選手を称えた。 ■「ありんこ軍団」の原点追求 夏に向けて士気高まるチームをまとめるのは、山田昊志郎主将(3年=内野手)。どんな状況でも前向きに戦えるキャプテンを軸にチームは一つになっている。エース鈴木は冬を超えてフィジカルアップ、球威が増したことでピッチングの幅が広がった。打撃陣は、八王子野球の体現者・寺内夕萌(3年=内野手)、主砲・北條葉琉(3年=外野手)、ラッキーボーイ川添ら個性あふれる選手が打順を彩る。どこからでも得点を奪えるのが今年のチームの武器だ。夏大会前の関東強豪との練習試合でも好ゲームを演じるなど仕上がりは上々。山田主将は「勝ちたい気持ちはどこにも負けない。突き抜けた選手はいないが、チーム全員がつないでいくことで勝ち上がっていきたい」と夏のトーナメントを睨む。チームスローガンは「ありんこ軍団」。一人ひとりの力は小さいかもしれないが、それを合わせることで勇猛果敢に巨像をも倒す。今夏は、八王子野球の原点を追求していく。

【東亜学園】「挑戦者」

3年生の皆さん、お疲れ様でした! 3度の夏甲子園実績を誇る伝統校 4年ぶりに夏全体合宿でチームに一体感 1980年代に3度の夏甲子園実績を誇る伝統校・東亜学園。今年は4年ぶりに夏の全体合宿が復活、一体感を高めて東東京大会へ向かう。 ■手応えをつかんで東東京大会へ 東亜学園は今年6月の週末に学校施設で合宿を行い、集団行動によってチームの一体感を高めた。昨夏は夏メンバーに絡む選手のみの合宿だったが、コロナ禍が落ち着いた今年は1〜3年生までの全員が参加。同じ釜の飯を食べながら切磋琢磨を続けて、メンバー最終選考、チームの総仕上げに入っていった。チームは春大会以降に、1・2年生がグッと力を伸ばしてメンバー争いに絡み、学年の枠を越えた熾烈な競争が戦力の底上げにつながったという。チームは夏大会直前の練習試合でも内容の濃い戦いを演じ、大きな手応えをつかんで夏の東東京大会へ向かっていく。 ■先輩の気迫から学ぶ 今年6月23、24日に東都大学野球連盟の1・2部入れ替え戦が実施された。1部駒沢大と2部東洋大が対戦したが、その初戦で、東亜学園出身の東洋大4年プロ注目大型左腕・細野晴希が先発し完投勝利を収めて1部昇格に大きく貢献した(東洋大2連勝で1部昇格)。最速150キロの細野はチームの勝利のために気迫のピッチング。東亜学園の選手たちは練習前などにその試合をチェックしていたというが、先輩の渾身のプレーと魂は、後輩たちに伝わったはずだ。細野に負けないポテンシャルを秘めるサウスポー齋藤颯真(3年)は「(細野さんのように)チームを勝たせるピッチャーになりたい」と気持ちを込める。 ■チャレンジャーとして戦っていく 今年のチームは、三浦寛明主将(3年=三塁手・投手)が軸となり、投打のバランスが整っている。実戦派右腕・大沢健翔(3年)とサウスポー齋藤のダブルエースが確立され、失点は計算できる。攻撃では甘利悠斗(2年=内野手)らが力を伸ばして打線は活気付く。チームは昨秋2回戦で二松学舎大附に3対5で惜敗、今春は3回戦で桜美林に1対11で屈した。秋、春ともに東西東京の優勝候補との対戦。勝つことはできなかったが収穫もあった。三浦主将は「今年のチームは秋、春ともにベスト8にも到達できていない。結果が出ていないことをしっかりと受け止めてチャレンジャーとして戦っていく。スローガンの『全力疾走

【岩倉】「心身統一」

3年生の皆さん、お疲れ様でした! 39年ぶりの甲子園へ心技体強化 合気道の教えで集中力向上 1984年に選抜初出場で初優勝という実績を誇る岩倉。チームは39年ぶりの甲子園を目指して心身強化に励んでいる。 ■どんな相手にも真っ向勝負 今年の岩倉は、頂点を狙うだけの力を秘めている。昨秋は2回戦で八王子と対戦して、堀田秀哉(3年=二塁手・投手)のサヨナラホームランで3対2の劇的な逆転勝利を果たしてベスト16へ進出した。3回戦では国士舘に6対8で敗れたものの、戦えるチームであることを大会で示した。秋ベスト16のチームだが、大きな“戦力補強”があった。1年生時に岩倉に転校してきて、1年間は規定によって公式戦出場できなかった大野巧成(3年=投手)が春から戦列に加わった。投打の軸となる大野は、新チームの主将に指名された。エースで4番の大野が加わったことでチーム戦力は大きくアップ。どんな相手にも真っ向勝負できる力が備わっている。 ■「臍下の一点 心身統一」 岩倉は今季、新たな試みにトライしている。野球部関係者のつながりで、合気道の講習を定期的に導入。世田谷の成心館道場の指導者が選手たちに心技体の教えを説く。岩倉グラウンドには毎年チームスローガンが掲げられているが、今年は「勝利文化の構築」というメインテーマのほか、サブタイトルとして合気道の教えである「臍下(せいか)の一点 心身統一」の文字が添えられている。へその下の「臍下」は、力が入らない場所といい、そこに意識を集中することで緊張が解けて本来の力が発揮できるという。王貞治氏らプロ野球レジェンドが取り入れていたことでも知られる。選手たちは勝負所で「臍下」に意識を集中して打席へ向かう。 ■春大会でも力強いゲーム演出 合気道の教えの原点は「選手の力を最大限に発揮する」ということ。練習で地力を養い、その力を発揮するチームは春大会でも力強いゲームを演じてみせた。2回戦で明法に7対1で勝利すると、3回戦で実力校・早大学院と対戦。エース大野の好投によってロースコアの展開に持ち込むと1対2で終盤へ。岩倉は勝ち切るチャンスがあったが好機を活かせずに惜敗となった。大野主将は「春は悔しい結果になったが、戦える手応えもつかんだ。夏は特別な大会。一戦一戦に集中して、チーム全員の力で勝ち上がっていく」と力を込める。「心身統一」。岩倉は自分たちの力を信じて、夏へ挑む。

【国学院久我山】「栄光のバトン」

3年生の皆さんお疲れ様でした! 今季のチームスローガンは「覇」 2019年夏、2022年春に甲子園出場 2019年夏、2022年春に甲子園出場を果たして復活を遂げた名門・国学院久我山。甲子園の舞台を経験した選手たちが残るチームは栄光のバトンをつないでいく。 ■聖地で「久我山野球」を体現 国学院久我山は2019年夏の西東京大会で快進撃をみせると準決勝で東海大菅生、決勝で創価に勝利して28年ぶりの夏甲子園出場を勝ちとった。そして学校初の甲子園1勝を果たした。甲子園へのルートを再開拓したチームは2021年夏にも決勝へ進出。そして2021年秋には決勝で二松学舎大附と対戦。1対3で迎えた9回裏に一挙3点を奪って逆転サヨナラ勝利。明治神宮大会出場を決めるとともに選抜切符をつかみ取った。翌春に選抜の舞台に立った選手たちは、聖地で「久我山野球」を体現。準々決勝で星稜(石川)に勝利してベスト4の偉業を成し遂げた。 ■もう一度甲子園へ行きたい 今年のチームは、選抜ベスト4をフィールドで経験した木津寿哉(3年=内野手・投手)、萩野颯人(3年=内野手)らが軸になり、さらに甲子園のスタンドで熱戦を見守った選手たちが力を伸ばす。OB指揮官の尾崎直輝監督は「甲子園の経験を、次の世代へしっかりとつなげていく必要がある。それがチームの財産になっていく」と語る。木津らは、先輩たちから多くを学び、甲子園でプレーすることができた聖地のバトンを後輩たちへ託すことがミッションとなる。投打の二刀流としての活躍が期待される木津は「春大会では自分が投げられずにチームに迷惑をかけた。夏は、ピッチャーとしてもバッターとしてもチームを引っ張っていって、もう一度甲子園へ行きたい」と話す。 ■チームの最大値を表現する 今季のチームは昨秋3回戦で帝京に屈して、今春は3回戦で共栄学園に敗れた。敗戦を糧にするチームは春以降、投打の戦力が整い、夏への最終調整に入った。打線には、原隆太朗(2年=内野手)、矢野丈太郎(2年=内・外野手)ら気鋭のバッターが揃い、それぞれが打順に関係なく勝利のための役割を遂行。チームの最大値を表現するためのコンバートも実践し、新バージョンで4年ぶりの夏甲子園を目指す。チームスローガンは「覇」。覇者、覇気などに使われ「天下を取る」という意味を持つ。原田知輝主将(3年=外野手)は「秋、春は結果を残せなかったがチーム力は確実に上がっている。チームの勝利のためにそれぞれが役割を果たす久我山野球で西東京制覇を目指す」と気持ちを込める。選手たちは栄光のバトンをつなぐために全身全霊で戦っていく。

【富士森】「最高の夏へ」

昨夏の西東京大会で進撃ベスト4 「最弱」から「最強」へ、都立の挑戦 昨夏の西東京大会でベスト4へ進出した富士森。今年のチームも、昨夏の再現をみせるべく牙を研ぐ。チームは夏へ向けて、追い込みに入っている。 ■昨夏西東京大会のダークホース 昨夏の西東京大会でダークホースとなり準決勝へ進出した富士森。神宮球場での準々決勝、準決勝での戦いはチームの大きな財産となった。昨季の主軸が残る今年のチームは先輩たちを超えるべく始動したが、昨秋、今春ともに予選敗退となった。昨秋は予選で日大三と対戦する不運もあったが、今春予選は多摩工に5対13で敗れての結果。選手たちは都大会を経験しないまま夏の西東京大会へ向かうことになった。この状況は昨年と同じという。一昨年秋は予選で高島、昨春は予選で文京に敗れて夏を迎えている。廣瀬勇司監督は昨夏前に「史上最弱のチームだ」と選手たちを鼓舞し、発奮した選手たちが夏に大きな成果を残している。 ■攻守の要・岩沢颯汰が軸 今年も夏の進撃の準備は整っている。チームは昨年同様に、練習前のロードワークと練習後のインターバル走によって心技体を徹底的に強化。インターバル走後には、選手たちがグラウンドに崩れ落ちる。それも夏への試練。富士森は、昭和・平成・令和の練習法のハイブリッド方式でチーム力を高めて夏へ乗り込んでいく。昨夏から捕手としてレギュラー出場する攻守の要・岩沢颯汰(3年)は「去年も、しっかりと走り込んだことで夏の結果につながった。先輩たちが戦い方を教えてくれたので、迷いなく夏へ向かっていける、今年も前評判を覆して私立を倒していきたい」と気持ちを込める。 ■夏は再び都立の意地を見せる 富士森は、春大会後に大きく成長している。課題だった投手陣は、2年生の本格派右腕・山田佳、技巧派右腕・古性奏が安定したピッチングでゲームを組み立てられるようになった。打撃では、岩沢、阿部晴希(2年=内野手)のクリーンアップが勝負強さをみせている。チームには昨夏の小牧颯太主将(卒業)の弟・柊太(1年=内野手)ら気鋭の1年生たちが入部し、チームに刺激を与えている。選手たちは校庭で切磋琢磨し、夏のメンバーを争っている。塚田陽人主将(3年=内野手)は「夏に勝ち上がることで都立の意地をみせたい。悔いの残らない練習、戦いをして先輩たちの結果を越えていきたい」と西東京大会へ乗り込む。「最弱」から「最強」へ、今年も富士森の挑戦が幕を開ける。

【文京】「夏祭り」

昨夏の東東京大会で初のベスト8進出 去年の戦力を維持する都立名門が甲子園へ挑む  昨夏の東東京大会で初のベスト8へ進出した文京。先輩たちの好結果を受けて指導したチームはこの1年、決して順調ではなかったが、選手たちは悩み、励まし合いながら成長してきた。 ■過酷な冬のトレーニングで心身強化   文京は昨夏の東東京大会で次々と逆転劇を演じて創部初のベスト8へ進出した。多くの1・2年生プレーヤーが活躍し、そのまま新チームへ以降した。新生・文京は自信を胸に秋予選に臨んだが、一次予選で明法に6対7で敗れて予選敗退となってしまった。新チームのキャプテンとなった須藤勇真主将(3年=内野手)は「先輩たちが夏に結果を残しての秋だったが情けない結果に終わりました。自分たちが弱いんだな、と気付かされた。そこからは不安しかなかった」と振り返る。選手たちは、梨本浩司監督のアドバイスを受けて、過酷な冬のトレーニングを自主的に実行した。すべては夏のため。選手たちはそれぞれが自分を追い込み、自身と向き合った。 ■春ベスト32、夏への手応え   冬を乗り切って迎えた春大会。チームには緊張感が漂っていた。そんなとき、ムードメーカー尾上空(3年=外野手)が「オレたちは冬に頑張ってきた。梨本先生から教えてもらったメニューを必死にやってきたので大丈夫。もし結果が出なかったら梨本先生の責任だ。試合に集中しよう」と冗談を言ってチームメイトを和ませたという。百戦錬磨のベテラン指揮官は「思わず、私も笑ってしまいました。去年もそうでしたが、生徒たちは自分たちで考えて、チームを盛り上げていくことができます。私自身も楽しみながら指導をさせてもらっています」と笑みをみせる。チームは春大会で駒込学園、日大豊山を破り2勝を挙げてベスト32へ進出。夏への手応えをつかんだ。 ■高校野球という舞台を楽しむ

【八王子実践】「ハイブリッド・ベースボール」

「自主」と「規律」の両立へ 春の悔しさを夏にぶつける   昨夏に好勝負を繰り広げた八王子実践。2019年よりチームを率いる河本ロバート監督の下、春の「1イニング14失点」を乗り越えて新たな挑戦に向かう。(取材・三和直樹) ■「7対8」から「7対22」   野球の“怖さ”を痛感した。今春、一次予選の代表決定戦で強豪・安田学園と対峙すると、序盤から投打ともに互角の戦いを演じて8回を終えて7対8の1点差。しかし、9回表に不運な判定があった中で一気に流れを失い、2死から一挙14失点。「大変でした。いろいろ考えさせられる試合でした」と河本ロバート監督。初回から力投を続けた佐藤大晟主将(3年=投手)は「チェンジだと思って気持ちが切れてしまって、立て直せなかった」と振り返った。  強打の捕手・矢口丈一郎(現亜細亜大)を擁した前年度のチームは、秋に堀越と5対6と接戦を演じると、最後の夏も3回戦で日大鶴ヶ丘を相手に3対6の好勝負を繰り広げた。その出場メンバーから新チームに残ったのは、当時は二塁手だった佐藤と外野の加藤匠悟(3年=外野手)の2人のみ。「戦力的には厳しい」(河本監督)というところからスタートし、チームとしてもまとまりを欠き、冬には主将が交代するという事態もあった。だが、“その時”を考えると、今春の戦いは大きく進歩。最後は力負けしたが、「あれだけチーム全員が勝ちたいという気持ちで立ち向かっていった試合はなかったと思う」と佐藤主将が言えば、河本監督も「勝利への執念を見せてくれた」と手応えも同時に口にした。 ■「うまくバランスを取って」  

【日大鶴ヶ丘】「スイッチ」

9年ぶりの甲子園へスタンバイ 「投手王国」夏のニッツル  夏3度の甲子園出場を誇る“夏”の日大鶴ヶ丘。夏に向けて力を蓄えるチームは、乱戦が予想される今年の西東京大会へ乗り込んでいく。9年ぶりの甲子園は決して遠くはない。 ■虎視眈々と甲子園を狙う   夏に向けてスイッチは入った。夏が近づくにつれてチーム力が高まり、選手たちの士気は上がっていく。日大鶴ヶ丘の練習場には熱気があふれ、萩生田博美監督が放つ魂のノックに選手たちが食らいついていく。甘い部分があれば選手同士で要求し合って、高みを目指す。そこに妥協はない。チームは2014年夏の西東京大会を制して甲子園へ出場。2018年にも、甲子園まであと1勝に迫る準優勝となっている。個性あふれる選手たちが集うチームは、野心がみなぎり、選手たちの気持ちが一つになることで成熟していく。今年のチームも、虎視眈々と甲子園を狙っている。 ■投手起用のプランニング  自慢の投手陣は、今年も魅力的だ。2018年にはエース勝又温史が高卒で横浜DeNAからドラフト4位で指名された。さらに2017年のエース赤星優志(日大)が2021年にドラフト3位指名で巨人へ入団しているが、投手王国ぶりは今年も健在。ポテンシャル高い本格派サウスポー佐々木大雅(3年)、右スリークォーターから140キロ超のストレートを投げ込む比江島幹(3年)、さらにサウスポーの田中優良(2年)、実戦派サウスポー住日翔夢(1年)が夏のマウンドを狙う。萩生田監督は「今年の夏は、ノーシードからのエントリーになるので7試合(最大8試合)の起用プランニングが重要になる。ピッチャーのコンディションを合わせながら勝ち上がっていく力が求められている」と夏への準備を進めている。 ■経験豊富なバッターがキーマン 打撃陣がピッチャーを援護射撃できるか。今年のバッターは、前チームからレギュラーとして出場していた木嶋康太(3年=外野手)、後藤健大(3年=外野手)、高見澤晴翔主将(3年=二塁手)ら経験豊富な選手が並ぶ。長打力と勝負強さと気迫がインストールされた打者たちが、勝負所で快音を響かせていく。今年は、高見澤がチームキャプテンとなり、元気玉・木嶋がチームキャプテンとしてフィールドに立つ。彼らのバッティングとムードメイクが躍進の鍵となる。打線がつながれば、シード勢を一気に飲み込むパワーを秘める。木嶋が「どんな相手でも気持ちで負けずに勝負していく」と話せば、高見澤主将は「チームの力は高まっているので自信を持って夏へ向かう。ミスがあっても下を向かずに強気に戦っていく」と力を込める。9年ぶりの甲子園へ、情熱は無限だ。

【城東】「翔〜不撓不屈〜」

1999、2001年に甲子園出場の名門 昨夏ベスト4、いざ3度目の甲子園へ  昨夏の東東京大会でベスト4進出を果たした城東。2度の甲子園出場実績を誇る都立強豪校は3度目の甲子園を目指して牙を研ぐ。 ■夏ベスト4を経験した世代   城東は昨夏に2016年以来のベスト4進出を果たした。チームはシードで迎えた3回戦で日本ウェルネス、4回戦で明大中野、5回戦で東京にいずれも逆転勝利。勢いに乗って第1シード関東一戦に臨んだ準々決勝は、エース峯岸叶の好投によってロースコアの展開に持ち込むと終盤に勝ち越し点を奪って3対1で勝利、4強の一角に食い込んだ。準決勝では日体大荏原に屈したがベスト4という戦果を残して夏を終えた。今年のチームは、夏ベスト4を経験した選手が残る世代だったが、まだ結果を残せていない。 ■秋はまさかの1次予選敗退  昨秋に始動したチームは、前チームからプレーしていた藤森晴久(3年=外野手)、西岡拓朗(3年=内野手)、松山虎士朗(3年=内野手)らが軸になって“頂き”を目指した。士気高く秋予選に挑んだチームだったが、予選決勝で堀越に3対9で敗れて都大会出場の道を断たれてしまった。クジ運に左右される面も大きかったが、予選敗退という事実は変わらない。城東は、自分たちで練習メニューを考えてトレーニングを積んでいるが、秋大会後は、勝つためのメニューをみんなで考えて、春を待った。今年の城東は、一人でゲームを決めるようなスター選手はいない。選手たちは、冬トレで個人の力を高めながらチーム力を高めていった。中村直道副将(3年=内野手)、柳本直喜副将(3年=外野手・投手)は「秋の予選敗退の悔しさを無駄にしてはいけない。チームとして一つになることが大切だ」と春予選へ向かった。 ■困難を乗り越えて強くなる  

【日野】「都立の星」

2013年の西東京大会で準優勝の実績 今夏は全員野球でノーシードからの挑戦  2013年の西東京大会で甲子園まで“あと1勝”に迫った都立の星・日野。白球を追う選手たちは、夢の続きを追ってグラウンドを駆けていく。 ■都立屈指の実力校、悲願の甲子園へ   西東京を舞台にして確固たる実績を残している「都立の星」だ。西東京では1980年に国立が初の甲子園に出場。以来、西東京から都立甲子園は成し遂げられてはいない。日野は2013年の西東京大会で進撃をみせると準々決勝で明大中野八王子、準決勝で国士舘に勝利して決勝へ進出した。決勝では大声援の中で日大三に挑んだが勝利をつかむことができず準優勝となった。あの夏の戦いは、日野、そして西東京の伝説として刻まれている。日野は2016年秋にも準決勝進出を果たすなど都内で存在感を示す。その後も4回戦、5回戦へ駒を進めて、上位をうかがっている。都立屈指の実力を誇るチームは、悲願の甲子園へ向けて突き進む。 ■就任16年目の指揮官   嶋田雅之監督は2008年夏から日野を指揮して今年で16年目となっている。選手たちを鍛え上げて私学強豪と真っ向勝負する指揮官は、佐々木千隼(2012年度卒業、桜美林―ロッテ)を育て上げるなど指導手腕に定評がある。現在は、就学支援金制度などによって、野球部希望の生徒たちの多くが私学へ入学するケースもあり、都立には逆風が吹く。嶋田監督は、その状況でも虎視眈々と甲子園を狙っていく。昨年度に定年を迎えて再任用となっている指揮官は「2013年に準優勝となったが、もう10年も前のこと。全国的に高校野球が“プロ養成所”のようになってしまっている中で、都立の意地をみせたいと思う」と指導に熱を込める。指導方針は、1日1歩。毎日の練習によって選手たちは一歩ずつ成長、日野野球部は高校野球を通じて努力の大切さを伝授する。 ■春都大会は延長タイブレークで惜敗

【足立新田】「情熱」

1999年に城東を甲子園へ導いた指揮官が指導 急激に進化するチーム、夏飛躍の予感     2006年の東東京大会でベスト4となった実績を持つ下町の雄・足立新田。秋、春大会を経て成長を遂げた今年のチームは夏飛躍を誓って練習に励んでいる。 ■地道な鍛錬が選手を成長させる   東東京大会を盛り上げてきた都立高だ。2006年の東東京大会では、元ヤクルト・日本ハム・ソフトバンクの秋吉亮を擁して準決勝へ進出した。その後も2008、2010年夏にベスト8へ進出するなど力強い戦いをみせてきた。近年は私学すう勢の時代となっている中でも地道な鍛錬を続けて、昨夏には2回戦で成立学園を撃破。3回戦で都立実力校・小山台と接戦を演じて2対3で敗れたが持てる力は発揮した。中学時代に実績を残した選手は少ないが、野球が好きな選手たちは2年半という時間を通じて、着実に成長。強豪に食らいつく戦いによって、チームの価値を維持している。夏が近づく今、チームにはさらなる活気が生まれている。 ■甲子園は不可能ではない  

【狛江】「感謝」

2021年夏、2021年秋にベスト8進出 選手の可能性を追求する都立新鋭  2021年夏、2021年秋にベスト8へ進出した狛江。選手の可能性を伸ばすチームは、生徒主体のマネジメントでベスト8越えを目指していく。 ■先輩たちが切り拓いた道   選手の可能性を追求する都立新鋭は、2年前の2021年夏・秋にジャイアントキリングを成し遂げて、周囲を驚かせた。2021年夏には5回戦で八王子と対戦し3対2で逃げ切ってベスト8進出、準々決勝では世田谷学園に2対3で屈して、惜しくも東京ドーム開催の準決勝進出は逃したが堂々たる戦果を挙げた。さらに2021年秋には3回戦で明大中野八王子と対戦して6対5で粘り勝ちして2大会連続でベスト8進出を果たした。2大会を経験した杉本裕世(3年=内野手)は「先輩たちは私学相手でも自分たちの野球を貫いて勝ち切った。自分たちも、あの戦いをしなければいけない」と2年前を振り返る。選手たちは、先輩たちが切り拓いた道を走りながら未開の地へ進む。 ■毎日の練習が「成長の場」   狛江の土台をつくっているのは、日大鶴ヶ丘出身の指揮官・西村昌弘監督だ。2017年に狛江へ着任し、硬式としては自身初めての監督となった。時代の変化を感じ取った指揮官は、当初はトップダウンで厳しい練習を課していたというが、選手たちの貪欲な姿勢を目の当たりにして、生徒主体の野球部へとシフトチェンジ。選手たちは、指揮官からヒントをもらいながら練習に取り組み、日々のミーティングで反省・改善を繰り返していく。そうして2021年夏・秋の結果を導いた。西村監督は「生徒たちは、毎日、うまくなっていく。成長したいという生徒の気持ちを、指導者が妨げてはいけない」と、選手たちをサポートしている。テーマは「今日もうまくなろう」。選手たちは、毎日の練習で一つずつ成果を積み上げている。 ■粘り強さをインストールして夏へ

【国立】「FIGHTING SPIRIT」

1980年に都立初の甲子園出場 2022年夏は5回戦進出し復活の胎動  1980年に都立として初の甲子園出場を成し遂げた国立。あれから43年、国立は高校野球の新たなカタチを標榜しながら聖地を目指す。 ■西東京唯一の都立甲子園   1980年、ノーシードで夏に西東京大会へ臨んだ国立は準々決勝で佼成学園と対戦し、引き分け再試合の激闘を制してベスト4へ進出。準決勝で堀越、決勝で駒大高に勝利して、都立初の夏甲子園出場を果たした。都内では、その後の1999、2001年夏の城東、2003年夏の雪谷が夏甲子園出場を果たすが、西東京では現在も国立のみ。国立の甲子園出場は、東京高校野球の歴史で燦然と輝いている。国立は2004にも西東京ベスト4へ進出。最近では2018、2019年に4回戦進出。昨夏(2022年)には、エース左腕・不破倖志朗を擁してベスト16進出を果たした。 ■生徒たちの力を最大限に発揮   復活の胎動が聞こえる国立は、今春から堀田一弘監督が指揮を執る。堀田監督は拓大一出身で、1994年の選抜甲子園出場を経験。その後、都立指導者の道へ進み、府中東では秋ベスト8、前任の小平南では夏ベスト16にチームを導いた。2022年度は、行政機関で教員研究生として研鑽に励み、授業だけでなく、野球にも通じる指導のあり方について研究を重ねた。そして国立へ着任となった。堀田監督は、国立の伝統や生徒主体の練習などを尊重して、生徒たちのサポート役としてグラウンドに立つ。指揮官は「高校野球は、指導者のモノではなく、生徒たちの成長の機会。選手たちが持っている力を最大限発揮するためにはどうすればいいかを、生徒たちと考えていきたい」と共創している。 ■勝利への執念を表現するチーム

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