メンタルトレーニング導入から1年が経過
笑顔と粘り強さを武器に甲子園優勝を目指す
この秋は中部大会を突破、県大会に出場し幸先の良いスタートを切った静岡市立。県大会2回戦で敗れたものの、前向きな思考で課題を分析してチーム力を高めている。(取材・栗山司)
■新たな武器
春夏通算3度の甲子園出場を誇る静岡市立。スローガンは「シン・フォアザチーム」。全部員が一丸となり、野球の技術を上げることはもちろん、一人一人が自立することで「主体性」のあるチームを作っている。 変革の一つとして、昨年秋より取り入れているのがメンタルトレーニングだ。導入にいたった経緯を安井信太郎監督が説明する。「昨年夏の大会敗退の2日後、3年生と下級生が紅白戦をやったところ、3年生が本当に楽しくプレーし、ものすごく打って、走って。萎縮や緊張がないと、こんなにも力を発揮できるのかと、あらためてメンタルの大切さを感じました」 2カ月に一回、講師を招き、選手のプラス思考を養うことが目的のメンタルトレーニングを実施。体力面、技術面にプラスし、新たな武器を手に入れようとしている。
グラウンドでは「常笑顔」(エブリィ・スマイル)を合言葉に、常に笑顔でプレーする。また、練習中に気になることがあれば、選手同士が集まってプラスの言葉を掛け合い、挨拶する際は親指と人差し指の2本の指を立てるポーズが浸透している。ナンバーワン、いいね、ビクトリーの意味が込められているという。
■秋の県大会は大逆転勝利!
この秋は、新型コロナウイルスの影響で主力選手を欠く中、中部大会を勝ち抜き、県大会に出場した。 県大会は初戦で市立沼津と対戦。7回が終わって2対7と5点のリードを許す苦しい展開となった。それでも8回に4長短打で4点を奪うと、9回には3点を挙げて大逆転勝ちを飾った。
主将の山本大智(2年=外野手)は「メンタルトレーニングに取り組んでから、自分たちが負けていても雰囲気を作って、そこから相手を追い上げて逆転できる試合が増えました」と胸を張る。安井監督も「この試合だけでなく、練習試合でも逆転する雰囲気を最後まで作ることができている」と効果を実感している。
一方で2回戦は掛川西に1対14で敗戦(7回コールド)。山本は「まだまだ雰囲気を作り切れないこともあって、波があります」と課題も口にする。
■目指すは甲子園優勝
今年のチームの特徴は足。50メートルを6秒台前半で走る選手が多数いる。「機動力を絡めながら得点を奪っていきたい」と山本。打線の中心となるのが赤木翔(2年=外野手)。俊足に加え、パンチ力もあり、県大会では本塁打を放った。他にも、勝負強い打撃を見せる安池虹輝(2年=外野手)、スラッガータイプの保柳太(1年=外野手)ら伸びしろのある選手が多く、一冬での成長が見込まれる。 今チームは「甲子園優勝」の目標を掲げている。前チームの「甲子園1勝」から、さらに大きくなっているが「可能性を広げてトライしたい」と全員で決めた。
シン・静岡市立の巻き返しが始まる。