【横浜 野球部】 「再建」 #横浜

秋・春ベスト4は復活の序章
名門復活へ一致団結、衆知結集

 2020年春に就任したOB村田浩明監督のもと再建に挑む横浜。活気あふれる練習場が、チームの変化を伝えている。復活の刻(とき)は確実に近づいている。

■部員全員の団結力が武器  

横浜のグラウンドが熱い。夕暮れの練習場に高山大輝コーチの声が響く。「秋・春ともにベスト4。このままベスト4で終わっていいのか」。選手たちは「勝ちます!」と威勢の良い声を上げる。グラウンド1周のタイムトライアル、選手たちは時間内にホームへ戻るため必死の表情で足を上げていく。遅れてしまった選手たちの背中を、他の選手たちが押すようにしてサポート。日々の練習が、技術だけではなくチームの一体感を高めている。今年の3年生は、監督交代、そしてコロナ禍をみんなで乗り越えてきた。安達大和(3年=外野手)は「3年生を中心とした部員全員の団結力がチームの一番の強み。自分たちの弱さを受け止めながらチャレンジャーとして戦っていきます」と前を向く。選手たちの目は、ギラギラと輝いている。横浜は確かに変わった。

■指揮官、2年目の挑戦  

チームを率いるのは、OBの村田監督だ。横浜は2019年秋に前監督が退任し、高山コーチが代理で指導していた。村田監督は2019年度末まで県立白山高の監督として実績を残していたが、母校からの監督打診を受けて熟考の上に引き受けることを決断。公立高教諭を辞して、横浜の再建への道を歩むことになった。2020年4月に母校へやってきたが、コロナ禍の緊急事態宣言中。選手たちとのコミュニケーションが難しい中での船出だったが、選手寮に寝泊まりするなど、選手たちに寄り添った。ただ、復活は簡単ではなかった。昨夏の独自大会では準々決勝で三浦学苑に敗れてベスト8。選手たちは、悔し涙で激動の夏を終えた。村田監督は「去年の3年生たちは甲子園がない中でも必死な姿勢をみせてくれた。それがこれからの横浜高校の土台になっていく」と敬意を示した。指揮官の挑戦は2年目に突入している。

■名門の宿命を背負ったチーム  

新チームは昨秋大会でベスト4。準決勝で東海大相模と戦い、1対9の7回コールドで敗れている。県大会を制した東海大相模は関東大会ベスト8で選抜に出場すると、全国制覇を成し遂げた。指揮官は「東海大相模は永遠のライバル。あのチームを倒さなければ神奈川では甲子園へ行けない」と覚悟を決めた。冬を越えたチームは春大会で進化の一端をみせている。立花学園、星槎国際湘南、相洋を下して準決勝へ進出。関東大会出場権をかけて桐光学園と対峙したが、1対8で敗れた。2大会連続のベスト4。名門の宿命を背負ったチームは、プライドを捨てて最後の夏へ向かう。村田監督は「いまの3年生は、どのチームよりも多くの困難を乗り越えてきた選手たちで良いオーラを持っている。一人ひとりがチームのために何ができるかを考えた先に、横浜高校の再建がある」と力を込める。自分を信じ、仲間を信じた先に名門復活が見えてくる。

 

(2021年8月号掲載)

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