創立140年目の伝統校
31年ぶりの夏甲子園へ
甲子園春夏通算16回出場、1983年は春夏連続で甲子園準優勝の伝統を持つ横浜商。創立140年目の節目に名門復活をかける。
■意識改革が進むチーム
「お前たちの力はこんなものか!」「Y校は甲子園に行かなくちゃいけないんだ!」。グラウンドには、李剛監督の心地良い喝が飛ぶ。選手たちは、泥だらけになりながらボールを追っていく。李監督は2020年秋から代行で指揮を執り、2021年春からは本格始動に入っている。桜丘、金沢で実績を残してきた情熱指揮官は、横浜商での指導に大きなやりがいを感じながら、魂を込めてノックを打ち込んでいく。土屋博嗣主将(3年=内野手)は「李先生の指導は『THE高校野球』で、自分たちが成長できると感じます。長い間、甲子園に行けていませんが、甲子園に行くためには自分たちが変わっていかなければいけないと思います」と練習に食らいついていく。Y校は、確かに変化している。
■秋春2大会連続ベスト8
昨年の秋季県大会は法政二、日大藤沢に勝利しベスト8へ進出したが準々決勝で東海大相模に0対6で敗れた。春季県大会は慶応、横浜隼人を下して準々決勝へ進出すると、再び東海大相模との対戦になった。本格派右腕・エース山口塁(3年)が好投する中で僅差のゲームとなったが最終的には2対3で敗れた。秋の0対6が、春に2対3となった。スコアがチームの成長を示している。だが、李監督は「スコアこそ1点差でしたが、うちは14個も三振を取られている。内容的には完敗で、あの1点は果てしなく遠い気がしました。接戦に満足するのではなく、その差を詰めていかなければいけない」と話す。名門は、惜しい戦いではなく、勝利を追求していく。
■Y校復活へ、投打のタレント揃う
横浜商は、昨年3年生だった笹川吉康がプロ野球ドラフト会議でソフトバンクから2位指名を受けて入団。一緒に練習していた先輩がプロ入りしたことは、選手たちの刺激になっている。今年のチームには、高校通算30本塁打の大型スラッガー・畠山翔、最速144キロのエース山口らタレントが揃う。打線では土屋主将、村岡龍之介(3年=内野手)らも頼もしい。投手陣は、左腕・奥村光寿(3年)、大型右腕・知久尚広(3年)も夏へ向けて球威を伸ばす。シードで臨む今夏は、投打の戦力が充実し、期待は高まる。土屋主将は「学校には1983年の甲子園準優勝の写真が飾ってありますが色あせてしまっているので、自分たちが甲子園に行って新しい写真を加えていきたい。今年は大きなチャンスだと思っています」と、甲子園を目指す。学校創立140年の節目に、Y校は復活を遂げる。