【島田 野球部】「復活の狼煙」 #島田

2018年に創立100周年の伝統校
「男としてかっこよく」がテーマ

1987年夏に県準優勝となった伝統進学校・島田。地力を蓄えるチームは「男としてかっこよく」を目的に、甲子園を目指す。(取材・栗山司)

(2021年2月号掲載)

■オフは2勤1休でパワーアップ!

大井川の土手近くにそびえ立つ島田の校舎。文武両道の進学校として長年地元から愛され、2018年に創立100周年を迎えた。  

野球部は1950年に軟式として産声を上げる。1968年に硬式に移行すると、1987年夏の県大会では準優勝に輝いた。阪神などでプレーした田村勤氏はOBだ。 グラウンドは他部活動との兼ね合いで、主に内野と外野の一部しか使用できず、両サイドのベンチもない。練習試合はすべて遠征となる。  

昨年4月より指揮をとる小林大監督は「このグラウンド環境で、週3日7時間授業がある。どうしても場所と練習時間が限られる。あれもこれも練習するのは難しい」と、思い切った取り組みでレベルアップをはかっている。  

このオフは「2勤1休」の制度を取り入れた。曜日は関係なく、2日練習したら必ず1日の休みを入れている。練習日にトレーニングで追い込み、休息することによって体を大きくする狙いもある。

■甲子園を意識させる  

日本体育大時代は陸上部に所属し、走り幅跳びを得意とした小林監督。静岡の副部長として、2011年の甲子園出場をサポートした経験を持つ。  

昨秋の新チーム結成直後、当時の甲子園出場の様子を選手に話すところから始めたという。「目指すところはそこ。だったら、どういう場所なのかをまず知ってほしかった」。出場が決まってからの取材の様子、甲子園での過ごし方など、一つひとつ丁寧に説明した。その上で「男としてかっこよくなる」をチームの目的に掲げた。「目標と目的は違う。目的は野球を通して男としてかっこよくなること。そのために努力してほしい」(小林監督)。グラウンドだけでなく、日々の生活でも、「男としてかっこよくなる」ための行動を求めた。鈴木航大主将(2年=捕手)はこう話す。「例えば落ちているゴミを拾う。しっかりとした態度で授業に臨む。男としてかっこよくなるために、そういうところから見直していくようになりました」。

■打順は選手間で決める  

もう一つ、小林監督が就任し、選手に求めたのは自主性だ。秋の中部大会敗退後、練習試合では選手たち自身で打順を決めている。当初は小林監督が組んでいたものの、今一つ監督も選手もしっくりとこない部分があった。「だったら私が考えている決まり切った打順ではなく、一度選手に考えさせてみようと思った」と小林監督。いざ選手に託してみると、結果的に打線につながりが出るようになった。当然ながら、「自分たちで決めたんだ」という責任感も生まれていった。  

さらに練習試合の前日は選手だけで試合に対しての目標を立てる。「バッティングなら絞り球を決めようとか、守備だったらエラーはOKだけどビビったプレーは止めようとか。自分たちで目標を作ることでより意識が高まります」(鈴木主将)。 9月からの練習試合では勝つことが増え、11月には栗原旗というローカル大会の決勝戦で甲子園出場経験のある静清を4対3で撃破した。 復活に向けて狼煙が上がり始めた。

 

 

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