2018年秋に東海大会初出場
地域活動で野球の魅力伝える
2018年秋に東海大会初出場を果たすなど力を伸ばす清水桜が丘。切磋琢磨するチームは「がむしゃら、徹底、こだわる」のスローガンに「団結」を加えて、さらなる飛躍を誓う。 (取材・栗山司)
■選手同士の対話を重視
2018年秋に東海大会に初出場した清水桜が丘。
今年は団結力をテーマに激戦の静岡を勝ち抜く。 2015年に曲田雄三監督が就任後、チームは「がむしゃら、徹底、こだわる」の3つをスローガンに掲げてきた。そこに新たに加わったのが「団結」の二文字。昨秋の新チーム結成の際、酒井琥太郎主将(2年=内野手)を中心に「桜が丘史上最強の団結力を作ろう」と誓いあった。
団結力を高めるため、大切にしているのは選手同士の対話。練習に入る際は、「今日はここまで出来るようにしよう」など、選手が主体となって目標設定を作る。
■コールド負けからの逆襲
昨秋の中部大会は初戦で東海大静岡翔洋と対戦し、0対7でコールド負け。「自分たちの力を発揮する前にミスから崩れてしまった」と酒井主将は悔やむが、その後の練習試合では県大会出場校と互角の試合を展開するなど、徐々に仕上がってきた。
さらに、この冬は原点の細かい野球の精度を上げている。
いかにして相手のスキを突いて勝利に結びつけるか。「バッティング力のあるチームに対して、同じように対抗しても難しいところがある。細かい野球で相手を崩すためにバントゲームに時間を割いてきた」と曲田監督。バントだけで試合を行う「バントゲーム」を練習メニューに多く入れ、1点を取る野球を体に染み込ませている。 一方で投手陣は加藤大登(2年)、有薗真虎(2年)が中心となる。島田ボーイズ時代から一緒にプレーしてきた2人。エース格の加藤は最速135キロのストレートで攻める投球を身上とし、有薗はコントロールを武器に打者を仕留めていく。 「オフは140キロまで球速を上げるために走り込みで下半身を強化しています」(加藤) 「体の使い方を直して春は自分が1番をつけたいです」(有薗)
加藤と有薗が少ない失点でしのぐことがキーポイントになる。
■子どもたちとの手紙の交流で力を貰う
昨年2月、同校は「ベースボールアカデミー」を開催した。選手が企画・運営し、幼稚園児や小学生を対象に野球の楽しさを知ってもらうイベントだ。
実行委員の選手たちは地元の体操教室に出向き、「どうやったら子どもたちに楽しんでもらえるのか」を見学することから始め、昼休みなどを使って何度も計画を練った。曲田監督の言葉だ。「野球の裾野が広がることはもちろん、部員たちが様々な経験をする中で、人としてもプレーヤーとしても成長し、チームとしての力を身につけてほしいという思いがあった」。当日は66人が参加。鬼ごっこから始まり、ボール投げやティーバッティングなど、選手が考えたプログラムを思う存分に子どもたちが楽しんだ。
その後、新型コロナウイルスの影響で休校となり、「自分たちは野球ができなくて苦しいが、子どもたちも辛いはず。何かできることはないか」と選手間で話し合い、参加した66人全員に手紙を送った。すると数日後、子どもや親から「頑張って」、「応援しています」といった返信の手紙が相次いだという。「あれがあったから甲子園がなくなってもモチベーションを維持できた」と曲田監督は目を潤ませる。
残念ながら、今年の開催は見送られたが、清水桜が丘の「主体的・対話的」な取り組みは続く。