羽鳥監督式トレーニングで選手飛躍
投手は140キロ級続々、打者は飛距離大幅アップ
2017年秋、2018年春に準優勝、2019年夏はベスト4へ進出するなど戦国上州で確かな実績を残す関東学園大附。頂点を狙うチームは、覚悟を決めて“その先へ”進もうとしている。
(2021年3月号掲載)
■安定した力を維持するために
強豪ひしめく群馬の勢力図において、確固たる成績を残している。地理的要素などハンディはあるが、選手たちはトーナメントを粘り強く駆け上がっている。2017年秋、2018年秋は県準優勝で関東大会出場、2018年夏、2019年夏はベスト4。同年夏の準決勝・前橋商戦は延長の末に2対3で敗れたが、その激闘は記憶に新しい。チームは毎年入れ替わっていくが、安定した力を維持していくのが関東学園大附の課題の一つになっている。
2012年秋から指揮を執り今年10年目を迎える羽鳥逹郎監督は「学年によってチーム力に波があるのは事実。毎年、ベスト4に食い込んでいくことによって甲子園へのチャンスが広がっていく」と話す。安定した結果を残すためにはどうするべきか。関東学園大附はトレーニング改革に乗り出している。
■昨夏のエース西濱は146キロマーク
羽鳥監督のヒントになったのは、昨夏のエースで今季、独立リーグ・群馬ダイヤモンドペガサスに入団した西濱勇星(今年3月卒業)だ。高校入学時は球速110キロだったが、トレーニングと自身の努力によって最速146キロ投手へと進化を遂げた。西濱は、チームトレーニングのほか自身でも積極的に学び球速を伸ばした。西濱の姿をみて、他の選手も飛躍を遂げていった。
羽鳥監督は、選手の変化をみて、根拠に基づいたトレーニングの重要性を再確認。指揮官自身も、各分野のスペシャリストの声に耳を傾けた上で、体の仕組みなどを把握。効果的なメニューを選手に提供していった。球速、スイングスピードなどのデータが上昇していくことで、選手のやる気も増していった。ケガも著しく減少したという。
■独自のアプローチで甲子園へ
今年のダブルエース、石原勇斗(2年) と篠原正紀(2年)も最速140キロ超えを達成。入学から約2年で劇的な進化を遂げている。1年生の堀越蒼空も139キロをマーク。石原と篠原はともに「体の使い方がわかったことで球速がアップしている」と明かす。身長176センチの本格派右腕・篠原は昨秋に最速145キロをマークし、今夏は150キロ超えを狙う。それは夢物語ではなく現実だ。トレーニング改革によって、選手たちは投打に成長。選手層は確実に厚くなっている。
指揮官は「これまではレギュラー9人プラスαで戦ってきたが、選手たちの力が高いレベルで拮抗してレギュラー争いが生まれている。チーム全体の底上げによって、次のステージが見えてくると思う」と話す。気迫や根性も大事だが、それだけでは勝てない。関東学園大附は、理論に基づいたアプローチで甲子園へのルートを作っていく。トレーニング改革はすでに始まっている。