【横浜翠陵 野球部】「GRIT 〜やり抜く力〜」#横浜翠陵

「Think & Challenge」
高校野球の新しいカタチ追求

 甲子園出場指揮官の指導のもと、独自のスタイルで強化を図る横浜翠陵。高校野球の新しいカタチを追求し、結果を追い求める。その信念にブレはない。

■度胸、復元力、自発性、執念  

横浜翠陵は2011年の校名変更、男女共学化に伴い野球部が誕生した。

2代目として指揮を執るのは、田中慎哉監督だ。神奈川県伊勢原市出身で東海大山形へ進学。高校2年時には選抜甲子園に出場し大舞台を経験した。東海大卒業後に教員となると2014年に横浜翠陵へ着任、コーチとして指導を開始し、2017年に監督に就任した。自身が経験してきた高校野球とはまったく違う環境。このチームでどう戦うか。指導法を模索していく中で、「GRIT 〜やり抜く力〜」という言葉に出会った。ガッツ(度胸)、レジリエンス(復元力)、イニシアチブ(自発性)、テナシティ(執念)の頭文字を取った米国心理学者の造語。指揮官は、この言葉を選手たちに伝えて、指導ビジョンとした。

■グラウンド外での“学び ”  

選手たちは文武両道を貫きながら野球に本気で打ち込む。チーム方針の一つに「可視化」がある。横浜翠陵はチームビジョンや課題がすべて部室前に掲示されている。ホワイトボードには選手たちの月間目標や、志望大学まで明記されていた。マネージャーの成瀬優希さん(新3年)は「可視化することでみんなの意識が変わっています」と話す。

練習では、スパイクではなく足袋を履き、足の指で地面をつかんで攻守のトレーニングに励む。小浦蒼平主将(新3年=内野手)は「足袋の練習はキツいが、スパイクを履いたときにパワーが増し攻守に好影響が出ている」と効果を話す。

チームは、野球だけではなく、校外活動にも積極的に参加。今オフは、首都圏チームがオンラインでチーム紹介した「プレゼン甲子園」にも出場。そのほか交流のあるチームの協力を得て医療従事者支援活動なども行った。チームは、グラウンド外での学びも力に変えて戦っていく。

■昨夏独自大会で3本のアーチ  

忘れられないシーンがある。

昨夏の神奈川県独自大会の初戦となった2回戦アレセイア湘南戦。コロナ練習休止期間明けのぶっつけ本番だったが、夏の大舞台で3本のホームランが飛び出し8対3で勝利した。島津完汰(新3年=外野手)は「先輩たちが活躍する姿をみて、自分たちがやってきたことが結果につながったことがうれしかった」と振り返る。昨秋季大会は予選初戦で横浜氷取沢に8対4で勝利し予選決勝では横浜商と対戦。1対8で敗れたが、春・夏への手応えは感じた。

チームは、小浦主将、エース市川裕貴(新3年)、島津を軸に一つになっている。田中監督は「時代の変化に合わせて、高校野球も変わっていかなければいけないと感じている。自分たちで野球を学び、やり抜いていくことが、選手たちの将来の力になる。選手とともに試合に勝つことで自分たちの野球を“正解”にしていきたい」と話す。

横浜翠陵のグラウンドには、高校野球の未来へのヒントが散りばめられていた。

 

 

 

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