【相洋 野球部】「全員野球」 #相洋

秋大会3回戦敗退の悔しさを糧に飛躍
2020年夏準優勝、先輩たちの思いを背負って

2020年夏の独自大会で進撃をみせて初の準優勝となった相洋。チームは「全員野球」を軸に再び決勝まで駆け上がる。目指すは、初の甲子園だ。

■あと“1勝”の壁を越えろ

コロナ禍の2020年夏、甲子園なき独自大会で相洋が快進撃をみせた。投打の個性あふれるチームは、5回戦で慶応に18対4で爆勝、準々決勝で立花学園、準決勝で星槎国際湘南を撃破。学校初の決勝戦で、東海大相模と対峙した。白熱のゲームは、3対2で終盤の7回へ。7回裏に主砲・加藤陸久がレフトスタンドに2ランホームランを打ち込み、5対2とリードを広げた。神奈川の頂点がはっきりと見えたが、8、9回に計7失点して結果的には5対9で屈した。選手たちは、ベンチで泣き崩れた。今年の2年生は、あの試合にベンチ入りした川島遥主将(2年=内野手)らが主軸となる。川島主将は「あの戦いと、先輩たちの涙を、僕らが伝えていかなければいけない。あと“1勝”の壁を越えなければいけない」と自覚する。

■秋敗戦でゼロからのスタート

2021年秋大会は、予選で鎌倉学園に11対4で完勝し、3戦全勝の1位通過で本大会へ駒を進めた。2回戦で市ヶ尾に9対2で勝利し、3回戦では再び鎌倉学園と対戦した。予選の勝利が、慢心を生んだのかもしれない。相洋は、初回に2点を先制し幸先良いスタートを切ったが、その後に攻守のリズムをつかめずに逆転を許すと、じわじわと点差を広げられていく。粘りの戦いこそみせたが4対7で敗戦。選抜甲子園への道が事実上、閉ざされてしまった。高橋伸明監督は「新チームのレベルは決して低くなかったのです。ただ、出来ると思って戦ったことが敗戦につながってしまった。チーム、そして自分自身の未熟さを感じました」と敗戦を受け止める。

チームは秋大会後、原点に立ち戻り、ゼロからのスタートを切った。

■野心みなぎる狩人たち

チームのポテンシャルは、2020年夏以上かもしれない。川島主将を軸にしたチームは、右腕・吉村京真、左腕・加藤優大郎の2年生ダブルエースに加えて、身長187センチの大型1年生左腕・中澤想太がブルペンに控える。打線は、秋大会以後に4番に座る西井大翔(2年=外野手)が飛距離を伸ばし迫力は増す。さらに世代屈指の捕手・渡邊怜斗、俊足巧打の外野手・本多立幹ら1年生ががっちりとレギュラーをつかむ。指揮官は「レギュラーだけではなくチーム全体のレベルが確実に上がっている。春、夏は、だれがレギュラーを取ってもおかしくない」と手応えを感じている。

チームの指針は「全員野球」。川島主将は「レギュラー、ベンチ、スタンドが一体となって戦っていく。それが相洋の野球です」とチームをまとめる。12月上旬の冬トレーニングでは、過酷なスクワッドをチーム全員で盛り上げて、最後は一つの大きな輪が出来上がった。野心みなぎる狩人たちは、すべての力を合わせることで神奈川の“巨象”を倒す。深紅の優勝旗を小田原へ持ち帰る日は確実に近づいている。

 

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