今秋に合同チームとして初出場
宇都宮中央女子の伝統引き継ぎ新たな出発
宇都宮中央は今夏に栃木県高野連に新規加盟し今秋に合同チームとして初出場した。7人の野球部1期生は、野球が出来る喜びを感じながら日々成長していく。
■新たな野球部に7人が入部
栃木県に新たな野球部が誕生した。1928年創立の伝統校・宇都宮中央女子高が高校再編計画によって2022年の新入生から男女共学化となり「宇都宮中央高」となった。現在の高校2年生が卒業する2023年度までは「宇都宮中央女子高」と「宇都宮中央高」の併学となる。男子生徒を迎えるにあたり、野球部、男子サッカー部、男子バスケットボール部などが始動。新生・野球部は、前年度まで宇都宮白楊を指揮した板倉遼太監督が初代指揮官として指導することになった。板倉監督は、新入生の部活紹介で自ら野球部のプレゼンテーションを行うなど奔走。鈴木皓一朗主将(1年=外野手)、手塚陽斗(1年=内野手)、髙真ノ介(1年=内野手)、森田就(1年=内野手)の4選手に加えて、藤白ののか、伊藤汐音、手塚優依の女子マネージャーが入部。7人によって野球部は船出となった。
■新ユニホームはサクラ色
野球部は今年4月29日に初練習を行った。学校校庭には来春に新野球場が完成するが、今年は改修中。隣接する聾学校のグラウンドを借りての練習となったが、練習初日は感謝の意味も込めて、草むしりなどのグラウンド整備から始めた。道具も何もないゼロからのスタート。聾学校の協力によってベースを借りたり、板倉監督の前任地・宇都宮白楊からボールを借りたりしての出発。さらに、宇都宮高、作新学院などが合同練習の声をかけてくれたことにより、部員たちは本気の野球部の姿を間近で経験することができたという。今年6月に栃木県高校野球連盟への加入が認められ、今秋にはさくら清修・那須との連合チームで大会に初出場した。その試合には、大会直前に仕上がった薄桜色のユニホームを披露。グラウンド改修によって伐採された同校のサクラをイメージした色という。袖には、宇都宮中央女子高時代からの校章をあしらう。鈴木主将は「多くの方々の協力によって僕たちは活動できています。学校、地域への感謝を示すためにも初勝利という結果を届けたいと思います」と話す。
■はじめの1年を大切に
部員7人の小さな野球部だが、本気だ。グラウンドには活気ある声が響き、礼儀やあいさつなどの規律も徹底されている。板倉監督は「まだ1年目かもしれませんが、この1年が大切だと考えています。選手と一緒に新しい野球部を作り上げていきたい」とノックを打ち込む。選手たちは、必死にボールに食らいつき、それぞれの成長につなげている。板倉監督が掲げるスローガンは「一燈照隅」(いっとうしょうぐう)。一つひとつの光が小さくても、それが集まれば全体を照らす力となる。宇都宮中央野球部は、宇都宮中央女子の伝統を継承しながら、新たな道を作り出していく。