伝統の守備に打撃力強化でチーム力が向上
前チームの流れを受けてベスト8以上へ
春夏でベスト8入りを果たし、いい流れが来ている静岡商。泥臭い戦いで甲子園へ突き進む。(取材・栗山司)
■打撃強化の成果
前チームは秋の初戦負けから這い上がり、春夏ともにベスト8進出を果たした。就任4年目を迎える曲田雄三監督はこう話す。「春夏続けてベスト8進出はここ数年できなかったことです。この位置まできて初めて甲子園の匂いを感じることができる。ベスト8に来ることで新たな気付きや自分たちに足りないものがはっきりと見えてくると思っています」
静岡商のお家芸と言えば守備と機動力。ノックで鍛えた堅い守りで失点を許さない。攻撃はバントと足を絡めて1点を奪いにいく。ただ、「いざ力勝負になったときそれだけでは今の時代は勝てない」と曲田監督は強く感じている。
トレーニングで体を大きくしつつ、打撃を強化。今夏の大会ではその成果が発揮された。象徴的だったのが御殿場西との3回戦。フルスイングを持ち味とする相手に対し、打ち負けることなく、17安打11得点を奪って勝利した。「今までの静商だったら、ピッチャーと守備に綻びが出ると、それで突き放されて終わるというゲーム。食らいついて勝ち切れたことが大きかったです」(曲田監督)
一方で準々決勝(対静岡)は投手陣が2点に抑えたものの、1点が遠く完封負けを喫した。この試合で2安打を放ち、新チームでは主将を務めている杉山大悟(2年=捕手)が振り返る。「静高との試合は、初回の入りが良くなかったのと打線の繋がりに欠けてしまいました」。
■新チームは攻守とも充実
ベスト8から先へ。夏の大会敗退後、翌日から新チームがスタート。1日練習では前半が守備、後半が打撃と分け、適度な休養も挟みながら秋の大会に向かっていった。「バッティングばかりだとバランスが崩れるので、守備と走塁を早く計算できるところまで持っていくことを意識しました」(曲田監督)
投手陣の中心となるのは山本敢生(2年)。身長183センチの大型右腕で、130キロ台中盤から後半のストレートを投げ込む。さらに投球術に長けた山崎功太(2年)、右サイドの岡谷蓮汰郎(2年)らも控える
野手も充実。パンチ力のある1番打者の山野仁綺(2年=外野手)が出塁し、小技に長けた鳥羽咲跳(2年=内野手)が繋いで、杉山大悟、山本、宮腰龍太郎(2年=内野手)のクリーンアップで得点を挙げる。
■伝統校の挑戦
新たなスローガンとして「泥臭く」を掲げる。「泥臭く1点差のゲームを勝っていきたい」と杉山大悟主将。秋の県予選では投打が噛み合って連勝で県出場を決めた。
伝統の「静商魂」と新たなアプローチの融合でさらなる高みへ。2006年夏以来の甲子園がくっきりと見えてきた。