スローガンは「明るく、楽しく、元気良く」
今春都大会で5年ぶりに勝利

昨秋予選を突破し、14年ぶりに都大会出場を決めた京華商。今春の都大会でも勝利を挙げてチームの進化を証明した。野球を楽しむという原点がチーム躍進の要因だ。

■都大会にさわやかな風を吹き込む

野球を楽しむ姿勢が伝わってくるチームだ。京華商は1994年(平成6年)東東京ベスト4進出の実績を持つが、それからは難しい時間が続いていた。チームは2007年に東東京大会ベスト8、2009、2010年に4回戦(ベスト32)進出を果たし2009年秋に都大会出場を決めたが、以降は秋予選を突破できていなかった。しかし、昨秋の予選で順天に勝利して都大会出場を成し遂げた。士気高まるチームは、冬に充実したトレーニングをこなすと、今春の都大会1回戦で東大和に3対1で勝利して、進化を結果で示してみせた。2回戦で帝京に敗れたが、京華商は都内高校野球シーンにさわやかな風を吹き込んだ。

■プレーヤーファーストの練習環境

いるのは尾崎孝典監督だ。青山学院大を卒業し、社会人野球に携わったあとに京華商へ。助監督、監督を歴任し2022年末までチームから離れていたが、2023年1月に監督再就任した。学校が都心部にあるため限られた練習環境。チームは、週末を中心に埼玉県さいたま市の学園グラウンドで練習を重ねる。尾崎監督は「野球部は選手たちが主役。選手たちには、笑顔で、前向きに野球を楽しんでほしい」と選手たちの背中を押す。学生野球の審判を務めていた指揮官は、練習試合では主審を担当しながら選手をサポート。プレーヤーファーストの環境によって、選手たちが輝き出した。

■野球を楽しむ選手たち

チームは、リードオフマンの伊東利一朗主将(3年=遊撃手)が中心となり盛り上げている。躍進の原動力となっているのは、サウスポーエースの齋藤雄海(3年)。腕をたたむスリークォーターのフォームから、キレのあるボールをコーナーへ投げ分けてアウトを積み上げていく。打撃陣は、4番の黒沢翔唯(3年=捕手)がチームバッティングで得点に絡むほか、高山アオラ(3年=投手・左翼手)も力強いスイングをみせている。伊東主将は「みんなが野球を楽しみながら全力でプレーしていることが結果につながっている。元気良くプレーすることで、勇気を届けていきたい」と話す。変化の胎動が感じられるチームは、新年度に約20人の1年生が加入し活気付く。秋、春の飛躍は進化の始まり。京華商の戦いは、灼熱の夏へとつながっていく。

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