全員野球で2年連続秋都大会出場
2025シーズンの東東京ダークホース

大東文化一は昨秋に創部初の予選突破。今秋も予選を勝ち上がり、2年連続で都大会出場を決めた。野球を本気で楽しむチームは、次なる扉を開けるべく強い気持ちでグラウンドに立つ。

■昨秋に創部初の都大会出場

大東文化一は昨秋に予選を突破して創部初の都大会出場を決めた。引退した3年生が軸だった前チームも力を備えていたが、今春は2回戦で東海大菅生に1対6、今夏は初戦・2回戦で小山台に0対1で惜敗した。悔しさを胸に夏大会後に始動した新チームは、佐々木陽主将(2年=内野手)を軸に新たなスタートを切った。だが多くの選手が入れ替わったこともあり、夏休み中はチームの歯車が噛み合わずに我慢の時間が続いたという。秋予選1回戦では葛飾商に苦戦を強いられたが10対9で粘り勝ち。苦戦しながらも予選決勝の上野学園戦に駒を進めた。総合力では相手が上と見られていたが、選手たちは必死に食らいついた。

■予選決勝では上野学園に執念勝利

エース左腕・辻井晴斗(2年=投手)が1点を失いながらもゲームを作ると0対1で7回へ。7回裏に相手のミスから好機をつかみ、2点を奪って逆転に成功した。9回表に一死満塁のピンチを迎えると、相手打者の鋭い打球が右中間へ飛んだ。抜ければ長打コース。相手の歓声が響く中、センターの石寺桜侍郎(2年)が果敢なダイビングキャッチでボールをつかんだ。「相手のスイングから打球が予測できたので、思い切って飛び込んだ。アウトにできる自信があった」(石寺)。土壇場のビッグプレーによって窮地を脱したチームは2対1で勝ち切って秋都大会出場を決めた。2016年秋から指揮を執る宮城智行監督は「夏休み中の練習試合で不甲斐ない試合が続いていたので奮起の意味で『ダサいよ』と言っていたが、上野学園戦後には『みんな、かっこいいぞ!』と伝えました」と選手たちを称えた。執念と根性の勝利だった。

■野心みなぎるチームが上昇気流に乗る

今季の大東文化一は、打撃の中心となる佐々木主将とエース辻井が軸となる。佐々木主将は懐深い打撃が武器の強打者で、エース辻井は130キロ超の伸びのあるストレートとチェンジアップを駆使する東東京屈指の好投手。大石祐太(2年=捕手)、ショートストッパー田中悠雅(2年=内野手)らが堅実な守備でエースを支えていく。佐々木主将が「チームワークが良く、みんなでムードを作っていけるチーム」と話せば、エース辻井は「二松学舎のような強豪を倒して勝ち上がっていきたい」と野心をみなぎらせる。宮城監督は「実績のなかったチームが少しずつ勝てるようになってきた。勝てない時期にも頑張ってくれたOBたちがいたから今がある。過去の選手や学校への感謝を忘れずに戦っていきたい」と語る。大東文化一が2025シーズンの東東京ダークホースとなる。

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