群馬県5チームがリーグ戦でチーム強化
「勝利」「人間としての成長」のダブルゴール
渋川青翠・渋川工・松井田・群馬高専・大泉の5チームが「LIGA Agresiva(リーガ アグレシーバ) Double Goal League in GUNMA」と題して、「チーム強化」と「人としての成長」の2つのゴールを目的にリーグ戦交流を行っている。渋川青翠と渋川工のリーグ戦(練習試合)を取材した。
■全国に広がる「LIGA Agresiva」
グラウンドには、選手たちの活気ある声が響いている。「LIGA Agresiva」は、通常の春夏秋公式トーナメント大会とは別に、リーグ戦を通じて野球の魅力を学び、チーム・選手の育成につなげる全国での取り組み。大阪で始まり全国34都道府県で企画され180校以上が参加する。群馬では2019年に渋川青翠・渋川工などが中心となってスタート。現在は松井田・群馬高専・大泉が加わる。「勝利」「人間としての成長」のダブルゴールを目的に試合を実施しチーム強化につなげている。スポーツマンシップを尊重する選手たちは、野球の楽しさを追求しながら共に成長している。
■「合同ノック」でコミュニケーション
試合前には、両チームの選手たちが「合同ノック」を受けて打球を追っていた。敵・味方関係なく、渋川青翠・渋川工の選手たちからアドバイスの声が響く。高校野球では他のチームと一緒に練習する機会は実は少なく、最初は“照れ”もありながら同じボールを追うことですぐに打ち解けていく。渋川工・徳山丘主将(2年=捕手)は「他のチームと一緒に学ぶのは新鮮です。リーグ戦を通じて共に成長していきたい」と話す。試合は球審不在で、選手たちがセルフジャッジで試合を進める。ルールは各都道府県で様々だが、群馬ではピッチャーは2ストライクまでは球種限定、見逃しストライクは打者アウトなどを設定し、ミスを恐れない積極的なプレーを促している。渋川青翠エース小暮龍平(2年)は「ストレート勝負によって自分の力を磨くことができる」と真っ向勝負を楽しんでいた。
■相手を尊重しながら一緒に学ぶ
試合後には両軍全員でグラウンド整備をしたあとに外野芝生に座って両軍合同のミーティングを実施した。両チームの選手たちが対戦相手の長所と課題を包み隠さずに伝えて、春・夏への健闘を誓い合った。渋川青翠・松井蒼太主将(2年=内野手)は「相手は敵ではなく仲間。仲間のプレーや考えを尊重しながら一緒に学ぶことができる。リーグ戦なので負けたとしても次につなげることができる」と笑顔をみせる。渋川工・小野雄平監督は「投球制限などのルールを設定することでベースボールの魅力がクローズアップされる。勝ち負けよりも大切なことを学んでほしい」と話す。今春大会でベスト8に進出し、リーグ戦参加の5チームをけん引する渋川青翠・清水哲也監督は「選手だけではなく指導者も学ぶ姿勢が大切。スポーツマンシップを学びながら、新しい高校野球を作っていきたい」と語る。5チームの取り組みは、次世代の高校野球発展につながっていく。