【桐朋】  「文武一道」

「文武一道」「挑戦 甲子園」が旗印
投打の二刀流・森井翔太郎「プロ志望表明」

都内屈指の伝統進学校・桐朋。各大会で存在感をみせるチームは「文武一道」の部訓のもと悲願の甲子園出場を目指していく。

■文武を極めることで結果をつかむ

都内屈指の伝統進学校・桐朋の専用グラウンドには「文武一道」「挑戦 甲子園」の横断幕がバックネットに掲げられている。選手たちは日々、2枚の横断幕を目にしながら練習に励む。2003年秋に都ベスト8で21世紀枠候補選出となったほか各大会で強豪相手に接戦を演じるなどインパクトを残している。一般的に「文武両道」の言葉は耳にするが、桐朋は「文武一道」を標榜する。学問と部活は違う領域ではなく、最終的に同じ所に行き着くという教え。選手たちは文武を極めることで真の強さを養っていく。田中隆文監督は「勉強も野球も高い目標を設定し志すことで成長できる」と生徒たちの背中を押す。

■投打の魅力あふれる「二刀流の進化」

今季のチームで注目を集めるのは、プロスカウトが熱視線を送る「投打の二刀流」森井翔太郎(2年=投手・内野手)だ。投げては最速140キロ超を記録し、打席に立てば鮮やかな弧を描く本塁打を打ち込む。身長181センチ86キロのバランスの取れた身体に加えて、遠投110メートル、100メートル走11秒前半のタイムをマーク。投手としてもバッターとしても未完成であることが最大の魅力だ。高卒時点でのプロ入りを目指す森井は「プロ野球選手になることが将来の夢。チームで結果を残した上で今秋のドラフトで指名される選手になりたい。もし難しければアメリカへ留学して将来のメジャー入りを目指したい」と気持ちを固める。「プロ志望表明」した逸材が今季、どんな進化を遂げるか注目だ。

■野球も勉強も100%

森井が注目される状況だが、チーム全体の力も備わっている。背番号1を任されるのは、最速135キロのクレバー右腕・鬼塚心優(2年)。ストレートとキレのある変化球を使い分けるピッチングには、シードクラス相手を抑え込む力がある。打線は森井、鬼塚のクリーンアップが強烈な打球を放つほか、石畝裕主将(2年=内野手)、松元大樹(2年=外野手)、菊島大雅(2年=内野手)らが役割を果たす。昨秋は1回戦で東海大菅生と対戦して2対5で屈したものの好勝負を演じている。田中監督は「今年の選手たちは、中学時代から意欲的に練習に取り組める世代。その姿勢が結果につながっていくと信じている」と手応えを話す。石畝主将は「野球も勉強も100%で向かい合い、甲子園という夢を叶えたい」と力を込める。文武一道を貫く桐朋は2024年、蒼空高く舞い上がる。

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