強豪相手に善戦し高評価を得た注目株
期待に応えて夏ベスト４以上を目指す
今秋は選抜大会21世紀枠候補に推薦され、チームが活気づいた浜松城北工。秋の悔しさを経験し、やるべきことが見えてきた。（取材・栗山司）
■強豪校と互角に渡り合う
まさに青天の霹靂だった。 11月8日、寺田弘隆校長から静岡県の選抜大会21世紀枠候補に推薦されたナインたちは驚きの表情を見せたという。工藤舜大主将（２年＝内野手）が振り返る。「みんな最初は何のことか分からなくて。想像もしていませんでした」。 今秋の県大会で24年ぶりに初戦を突破して16強入り。敗れたものの、予選では常葉大菊川、県大会では日大三島の強豪校と互角に渡り合った。また、ロボティクスに強い人材育成のために、文部科学省指定のマイスター・ハイスクール事業を実施。野球部もヤマハ発動機と協力し、グラウンド整備車の研究開発を目指して事業に関わっていることなども評価された。 最終的に東海地区の推薦校には選ばれなかったが、甲子園を身近なものとして感じオフシーズンに突入した。
■夏休みに急成長を遂げたナイン
「不安材料を抱えての新チームのスタートだった」と羽切政人監督は話す。 前チームから出場しているのは2人のみ。投手、二遊間のセンターラインが固まっていなかった。そんな中で選手たちは目標を予選で1勝を挙げることに定めた。「去年も1回戦で負けていましたので」と工藤主将。ただ、羽切監督は「もう少し高みを目指そう」と県大会出場に改めた。「最初は選手たちの中に自信がないのかなということを感じていたが、大会に入るまでの夏休み期間の伸び率は例年以上のものがあった」。 選手たちは「常笑軍団」というスローガンを掲げ、とにかく元気を出して声を出すことから始めた。「プレーを簡単に流してしまうことがあったので、いいプレーならいい雰囲気を作り、ダメなら集まって説明していくことを繰り返していきました」（工藤主将）。そして大会では試合を戦うごとに自信をつけ、勝ち上がっていった。
■オフは個々の能力を上げる
秋は悔しさも残っている。ベスト8入りをかけた3回戦。日大三島に1対4で敗れた。浜松城北工もチャンスがあったものの、バントのミスなどがあり、得点に結びつけることができなかった。「攻守ともにやるべきことができないと、ここからは勝てない」と厳しい表情を浮かべる羽切監督。工藤は「フィジカルの完成度が違っていた」と相手との差を痛感した。 その差を埋めるべく、オフシーズンは個々の能力を上げることに費やしている。3班から4班に分け、トレーニング、打撃練習、課題練習などで回している。 今春は秋を上回るベスト8、夏は過去最高に並ぶベスト4進出を見据えている。工藤主将は「21世紀枠推薦校に選ばれて、期待される高校になると思いますので、それに応えられるようなチームにしていきたいです」と力を込める。 夢の甲子園に向けて一歩ずつ歩を進めていく。
