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高みを目指す静岡北の新たな挑戦
勝利へのこだわりをインストール
再建に挑む静岡北が、新監督の下で新たな一歩を踏み出した。甲子園経験を持つ金城成久監督が4月に就任、厳しい環境にも負けず成長を続ける。(取材・栗山司)
■甲子園を知るベテラン監督が就任
1963年創部の静岡北。前身の自動車工業時代にはプロ野球選手を輩出し、1975年に明治神宮大会準優勝の成績も収めた。
今年4月から指揮をとるのが静清工(現静清)を初の甲子園に導いた金城監督だ。守備を中心とした骨太のチームを作り上げてきたベテラン指揮官。12年ぶりの監督復帰となり、その手腕に注目が集まる。
就任直後の夏の大会は3年ぶりの1勝。秋も勝利まであと一歩と、短期間で粘り強いチームに生まれ変わっている。金城監督は「もっと強くなりたい、もっと上手くなりたいという気持ちが選手から伝わってくる。毎日、グラウンドに来るのが楽しみ」と嬉しそうな表情を浮かべる。
■練習はパーツを組み上げていく
練習環境は決して恵まれていない。他の部活動との関係で、グラウンドを全面的に使用することが難しく、室内練習場もない。だが、金城監督は「そこがむしろウチの選手たちに合っている」と前向きにとらえている。
平日は限られたスペースの中でキャッチボール、ベースランニングなど、走攻守の基礎的なことを一つひとつ丁寧に練習。フルにグラウンドが使用可能な週末に連係プレーなどを確認していく。パーツごとに完成したものを積み上げ、最後に組み合わせていくイメージだ。
土台作りにも着手。来年の夏を見据え、9月より体力強化の期間に入っている。9月から11月、12月から2月、3月から5月と3段階に分け、年間を通して目的を変えながら取り組む。トレーニング日は週3日。主将の山田悠斗(2年=投手)は「技術はもちろん、筋トレをやっていることで身体能力がみんな上がって、打球が外野手の頭を越えることが多くなってきた」とパワーアップに手ごたえを感じ、この冬はさらに全員で10キロの増量を目指している。
特徴的なのは休養日の設定。シーズン中でも、リフレッシュのために日曜日に休むことがある。「生活に余裕を持たせたい」という金城監督のアイデアによるもの。実際、休日明けは「いい顔になっている」と気分転換による効果が出ている。
■昨夏の成績を超える
「守って勝つ」。これがチームのテーマだ。夏の2回戦は4失策で敗退。「守備の大事さ」を再確認して、個人練習では守備に多くの時間を割いてきた。守る上でカギを握る投手陣もエースの兼子慎ノ介(2年)の球速が上がり、アンダースローの大石翔太(2年)、パワーピッチャーの山田も実力を高めてきた。
目標は昨年の夏を超える成績。夏2勝は2012年までさかのぼる。山田は「金城監督から一番教わったのは勝つことへの執念。勝てるところまで勝っていきたい」と気合十分。静岡に新たな風を吹かせる。