2012年の西東京大会でベスト4
夏秋の敗戦から奮起し急成長
2012年の西東京大会でベスト4の結果を残した都立実力校・片倉。経験値の高い選手が揃う2025年のチームは、2012年夏を超える地力と野心が備わっている。
■夏の涙が新チーム始動の糧
今年の片倉には、でかいことをやり遂げる予感が漂っている。2012年の西東京大会で準決勝へ進出したのを筆頭に、2018年夏のベスト8などの実績を残してきた。勢いに乗ったときのチームの強さは本物。選手は毎年入れ替わっていくが、西東京の頂点を狙うDNAは引き継がれている。この夏は初戦の2回戦で明学東村山に8対3で勝利し3回戦へ臨んだが、聖徳学園とシーソーゲームの末に延長タイブレークとなり、9対10で惜しくも敗れた。勝ち上がることしか考えていなかった選手たちは呆然とした表情で夏を終えた。だが、児玉凱哉(2年=外野手)、高橋礼(2年=内野手)、中原昂太(2年=外野手)らこのゲームのスタメン半分は2年生。試合後に流した涙は、新チーム始動の大きな糧となった。
■秋予選敗退もチームは確かな手応え
秋大会はチームが成熟する時間もないまま一次予選の1回戦で二松学舎大附とぶつかり、雨天継続試合になる難しいコンディションの状況で、0対7で敗戦。新チームの最初の大会は、消化不良で終わった。新チームの田中崇介主将(2年=内野手)は「自分たちの代になって自信はあったが、(予選では)何もできずに終わってしまった。3年生に頼っていた部分があり甘さを感じた」と話す。しかし、その後、練習試合を重ねたチーム・選手は急激に進化。秋深まる時期での日大三との練習試合では終盤までリードするなど好ゲームを展開。最後には3対4で捲(まく)られたが、チームは確かな手応えをつかんだ。宮本秀樹監督は「2012年の西東京大会ベスト4のチームと雰囲気が似ている」と期待を寄せている。
■多彩なタイプの投手陣がチームの軸
今年のチームの強みは、エース橋口海丈(2年)、技巧派左腕・田中琉翔(2年)、右サイド・松下櫂(2年)の多彩なタイプが揃う投手陣。エース橋口が最速130キロ超の回転数の高いストレートとキレのある変化球を投げ込めば、左腕・田中琉は緩急を活かして相手のタイミングをズラしていく。右サイドハンドの松下は、130キロのストレートとチェンジアップで勝負していく。エース橋口は「投手陣でチームを引っ張っていって、みんなの力で勝ち上がっていきたい」と夏をにらむ。投手陣は計算が立つため、あとは打線がいかに得点を奪うか。主砲・高橋らが覚醒すれば攻撃の迫力は増す。田中主将は「今年のチームはどこにも負けない元気がある。私学強豪を倒すという強い気持ちで冬を乗り越えて成長していきたい」とリーダーシップを発揮する。2025年の片倉は、西東京を席巻するかもしれない。