
春夏通算6度の甲子園出場のプライド
1年生大会準優勝が伝統校の起爆剤
前橋は、春夏通算6度の甲子園出場のほか1978年の選抜で、松本稔投手(現桐生監督)が甲子園初の完全試合を達成するなどの伝説を持つ。伝統のユニホームに袖を通す選手たちは新たなストーリーを紡いでいく。
■少数精鋭2年生6人が今季の軸
2025年夏に向かう主力の2年生は6人だが少数精鋭だ。攻守の要となる阿佐美斗蒔主将(2年=外野手)と、不動の4番として打線の核となる後藤舜太マネジメントリーダー(2年=内野手)が中心となって日々の練習メニューを作り、「共同主将」に近い形でチームを牽引していく。二人をサポートするのは、多彩な変化球でピッチングを組み立てるエース井野竹虎(2年)と俊足巧打のリードオフマン中野蒼(2年=内野手)だ。中野は「2年生は人数が少ないが勝利のために何でも言い合える関係。自分たちがチームを引っ張っていく」と話せば、エース井野は「2年生が妥協しない姿勢をみせることが大切。2年生同士で強く言うべきところを理解してチームのために行動していきたい」と結束を誓う。
■2年生と1年生の融合がカギ
2年生を支えていくのは17人の1年生だ。⻆田楓雅(1年=投手)、伊藤博紀(1年=捕手)、久保田琉稀(1年=外野手)ら能力の高い選手たちが揃った代は、昨秋の1年生大会(若駒杯)で進撃をみせて準決勝で桐生に10対1で完勝し、決勝で前橋育英に惜敗したものの、中盤まで0対1でゲームを進めて奮闘した。1年生大会準優勝という吉報に、OBたちからは喜びの声が届いたという。マネジメントリーダーの後藤は「1年生たちがプレーしやすい環境を作ることも2年生の役割。全員で協力して、伝統あるチーム全体をまとめていきたい」と話す。2年生と1年生の融合が今季の鍵となっていく。
■「行け、行け、前橋」の大合唱
今季のチームのスローガンは「俺に任せろ」。一人ひとりが責任を自覚して、チームを牽引していく覚悟を示している。選手たちは野球部OB講演会に毎年参加し、前回は2002年選抜出場時の先輩たちの話に耳を傾けるなど歴史も学んだ。阿佐美主将は「伝統あるチームの一員であることの自覚を忘れてはいけないと思う。今季のチームは守備からリズムを作って攻撃につなげていく。チャンスでは機動力を活かして次の塁を狙っていく。一球への執念を体現して、勝利にこだわっていく」と進撃をイメージしていく。例年、前橋の試合スタンドは一般生徒やOBたちで埋まり、迫力の応援で選手たちを後押ししていく。「行け、行け、前橋」の大合唱は、マエタカ風物詩。その数が多ければ多いほど、チームにはモメンタム(勢い)が生まれていく。マエタカを語るとき、過去の伝説が紹介されることが多いが、これから次世代を担う選手たちが新たな伝説を創り出していく。