昨秋準優勝、春ベスト4の伝統校、復活を期す
プロ注目エース山田を軸に16年ぶり甲子園へ

春夏通算8回の甲子園出場実績を持つ農大二。昨秋準優勝で関東大会出場を果たし地力を高めるチームは、2009年以来の甲子園出場を目指し夏へ挑む。

■農大二伝統のスタイルを体現

復活の時は近づいている。春3回・夏5回の甲子園出場を誇る伝統校。1980〜1994年で6度の甲子園出場を記録し、その名を全国へ知らしめた。2009年夏を最後に甲子園には届いていないが野心は常に秘めていた。2023年春からは、2009年夏甲子園でプレーしたOBの青木一将コーチが監督へ就任。青木新監督は大学卒業後に母校の教員となり野球部コーチとして後輩指導に情熱を注いできた。甲子園の舞台を知るOB指揮官は「全員の力を合わせて粘り強く戦っていくのが農大二の伝統。2009年夏以来甲子園には出場できていないが、もう一度、道を切り拓いていきたい」と選手に寄り添っている。

■関東大会ベスト8も選抜出場ならず

今年のチームの出発点は、昨夏の群馬大会だったという。準々決勝で前橋育英を相手に8回まで4対1でリード。4強進出まであと3アウトだったが、9回に同点に追いつかれると延長タイブレークで敗れた。夏の悔しさを知るエース山田琉聖(3年)、荒井奏遼(3年=内野手)らが残ったチームは、一球の重みを胸に昨秋大会へ臨むと、準優勝で33年ぶりの関東大会出場を決めた。関東大会1回戦では帝京三を撃破。選抜当確のベスト4進出を懸けて横浜と対戦した。エース山田が7回2失点と好投したが、強豪相手に得点が奪えずに0対2で惜敗となった。横浜は関東大会、そして明治神宮大会も優勝したことから、接戦を演じた農大二は選抜出場の有力候補となった。しかし、選考日に吉報は届かなかった。佐藤伊織主将(3年=外野手)は「気持ちを夏に切り替えるしかなかった。秋は県大会決勝で健大に負けて、関東大会では横浜に負けて2敗している。夏は全部勝って甲子園へ行きたい」と思いを込めた。

■エース山田にプロスカウト陣が熱視線

夏を前にして投打の戦力はレベルアップしている。最速145キロの本格派右腕エース山田は冬トレで体重が75キロから81キロへアップ。体がひと回り大きくなったことでスケール感が増した。横浜相手に好投したことも評価され、すでにプロ12球団が視察に訪れたという。山田は「チャンスがあるのであればプロへ行きたい」と話す。夏の結果によってはドラフト候補に浮上してくる可能性は十分だ。打撃では荒井が鋭い打球を放ち役割を果たす。荒井は入学からの2年半、練習帰りに父とバッティングセンターに寄ってスイング感覚を身につけた。3番に座る荒井は「サポートしてくれた家族のためにも甲子園へ行きたい」と話す。夏の舞台は、2年半の努力の成果を示す場所。緑の精鋭たちは、16年ぶりの甲子園を目指してトーナメントを駆け上がる。

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