【宇都宮 野球部】「炎」 #宇都宮

栃木の文武両道の代表的存在
伝統に支えられコロナ禍乗り切る  

全国屈指の進学実績を誇る文武両道進学校・宇都宮。コロナ禍での活動停止中も、部員たちは実直に野球に向き合ってきた。球春-いざ、情熱の炎を見せる時が来た。

■過去5年で東大7人・京大1人  

文武両道を実践する伝統校は過去5年間で野球部から東大・京大合格者8人を輩出している。うち今春の合格者は東大1人。東大合格がすべてではないが、生徒たちの志の一つを示す指標になっている。選手たちは先輩たちが努力する姿を自分自身の力に変えて、日々を過ごしている。篠崎淳監督は「東大に行く生徒たちだけではなく多くの生徒たちが1日6〜7時間の授業を大切にしている。受け身ではなくその時間を勉強時間に充てているので、部活動にも集中できている」と話す。宇都宮には、生徒たちのあるべき姿を示す言葉「瀧の原主義」が脈々と引き継がれている。原野を切り拓いて時代の礎を築いた先人たちの精神を記したもので「〜瀧の原主義は人物を作らんとするにあり 剛健なる眞男子を作らんとするにあり〜」という一文がある。野球部のベンチには瀧の原主義の全文が掲示され、歴史を紡いでいる。

■勝つための“取捨選択”  

3月下旬、コロナ禍で活動停止となっていた部活動が再開された。宇都宮南指揮時代に3度の甲子園出場を果たした篠崎監督は、選手たちの状態を確かめるようにノックを打ち込んでいた。選手たちは、野球を楽しみながらも必死になってボールに食らいついていた、「生徒たちは自宅でもトレーニングをしていたようだが、一人で行う練習には限界ある。連係の部分には課題はあるが、選手たちの心の“炎”は消えていなかった。やっと高校野球が始まるという印象です」(篠崎監督)。春季大会を経て夏の栃木大会まで約4カ月、チームはすべてを追い求めるのではなく取捨選択をしながら勝つための練習を繰り返していく。戦いは、すでに始まっている。

■宇都宮伝統の堅実体現

 2022年の夏へ向かうチームは、塚原大翔主将(3年=遊撃手)、扇の要・高田朋信(3年=捕手)、左腕エース髙﨑一輝(3年)らが軸になっている。エース髙﨑、キャッチャー高田のバッテリーが守備でリズムを作り、攻撃につなげていく。クリーンアップは、3番・重松千洋(3年=右翼手)、4番・高田、5番・丸山晃典(3年=外野手)の個性派が並ぶ。重松がフルスイングで長打を狙えば、高田、丸山がミート力を活かして得点を演出していく。制球力が武器のエース髙﨑が「個人ではなくチームとして勝ち上がっていきたい」と話せば、声でもチームを牽引する4番・高田は「一戦必勝で目の前の試合に向かっていく」と夏をにらむ。塚原主将は「宇都宮伝統の堅実さを発揮し、感謝の気持ちを忘れずにプレーしていきたい」とチームをまとめる。伝統のユニホームを身にまとう選手たちは、一球の重みを感じながら、一球に集中する。情熱という炎は決して消えない。

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