2009年夏の甲子園初出場から15年
ハヤブサは再び空を飛んでいく

昨春3位で夏の第1シードとなった横浜隼人。夏は惜しくも5回戦で敗れたが、選手たちの意志は次世代へ継承された。今季の選手たちは、先輩たちが開けられなかった扉を開いていく。

■昨夏は第1シード参戦も5回戦で涙

2009年夏に甲子園初出場を果たした横浜隼人。快挙から15年の歳月が経過したが、あの夏以降は神奈川から甲子園初出場校は出現していない。その事実が、神奈川での初出場がいかに難しいかを物語っている。昨春は県大会3位で関東大会へ出場し、第1シードで夏を迎えた。2度目の甲子園が視野に入ったが、5回戦で日大藤沢に屈して無念の敗退となった。第1シードのプレッシャーに加えて、相手の隼人対策…。春はスケジュール的にも左腕エース石橋飛和(立正大野球部在籍)が一人で投げ抜く試合が多かったが、灼熱の夏はそうはいかない。選手たちが流した涙は、後輩たちの力となる。

■プロ注目の新エース沼井が軸

今年のチームで存在感を発揮しているのは、新エース沼井伶穏(3年)だ。身長186センチ80キロの体躯としなやかな腕の振りを活かしたピッチングが武器の未完成右腕で、最速は145キロをマーク。昨夏までは左腕を大きく上げるフォームだったが秋以降は修正を加えて制球も安定してきた。3月の練習試合にはプロ野球スカウト陣が集結するなど、そのポテンシャルに注目が集まっている。ブルペンでは、最速138キロの清水駿斗(3年)、スリークォーター右腕・佐藤佑羽(3年)、左腕・髙木堅(3年)、身長185センチの豪腕・加藤政延(3年)ら多彩な投手陣がしのぎを削る。エース沼井は「投手陣全員の力で甲子園へ行きたい」と気持ちを込める。

■伝統の攻撃野球を展開

投手陣が安定してきたが、守備的な戦いをするつもりはない。今春からは新基準バットが採用されたが、横浜隼人は伝統の攻撃野球を展開していく。水谷哲也監督は「バットが変わっても戦い方は変えない。打ち勝つ野球で頂点を目指す」と語る。岩城匠海(3年=内野手)、秦野誠之(3年=内野手)ら上位打線が攻撃のスイッチ役となる。今季のチームスローガンは「一心開花」。新3年生は全国屈指の60人の部員数を誇る。横浜隼人は、全員の心を一つにして甲子園への扉を開けていく。山野井寛大主将(3年=捕手)は「みんなの気持ちを一つにして甲子園という花を咲かせたい」とチームをまとめる。野心を秘めるハヤブサたちは聖地へ向けて羽を広げていく。

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