今春の選抜で悲願の全国制覇を達成
次なる使命は9年ぶりの夏甲子園出場
今春の選抜で悲願の全国制覇を達成した健大高崎。日本一の称号を手にしたチームは、9年ぶりの夏甲子園出場、そして群馬県勢初の春・夏全国連覇を狙っていく。
■甲子園で宙を舞った指揮官
今春は健大高崎フィーバーが起こった。昨秋県大会を制して関東大会へ出場したチームは、準々決勝で強豪・中央学院に競り勝ち、ベスト4進出を決めて選抜切符をつかみ取った。選抜優勝を目標に掲げて準備を進めたチームは、冬を越えて投手陣がスケールアップ。最速146キロの左腕エース佐藤龍月(現2年)と、最速150キロの本格派右腕・石垣元気の1年生ダブルエース(現2年)が万全の状態で選抜を迎えた。攻守の要・箱山遥人主将(3年=捕手)を軸に、一戦必勝で選抜のトーナメントを勝ち上がったチームは、準決勝で星稜、決勝で報徳学園に勝利して歓喜の瞬間を迎えた。2002年の野球部創部から指揮を執る青栁博文監督は、甲子園で宙を舞った。
■選抜優勝をリセットし夏へリスタート
選抜優勝の快挙を達成し帰郷した選手たちを地元群馬、そして高崎のファンたちが熱狂的に迎え入れた。新幹線が到着したJR高崎駅には多くのファンが待ち、高崎市役所、学校では優勝祝賀会が開催された。選手たちは喜びに酔いしれる一方で気持ちを切り替えていた。春の全国制覇は通過点。最終目標は夏の甲子園出場、そして春・夏連続全国制覇だ。選抜優勝をリセットしたチームは、箱山主将を中心に選手ミーティングを実施した。全国的に選抜優勝チームは、夏に苦戦する傾向がある。「春優勝で満足してしまうから」「慢心があるから」…選手たちはその理由を考えてホワイトボードに列挙。すべてを共有して夏へのリスタートを図った。
■群馬包囲網を突破して甲子園へ
選抜後の春県大会では投手陣全体の底上げと、佐藤、石垣の疲労回復を考慮、ダブルエースを温存し優勝を果たした。春関東大会で準々決勝・常総学院戦は石垣から佐藤への継投で勝負したが、石垣が6失点して5対6で屈した。春関東大会の敗戦は、夏への警鐘を促す意味でもチームにとって良薬となった。チームは群馬大会へ向けて投手陣を再整備。打順の組み替えを考慮しながら決戦に備えていく。春に全国制覇を果たした健大高崎だが、夏は2015年以来甲子園に到達できていない。群馬県内のチームは健大高崎の戦いを熟知し、対策を練ってくる。包囲網を突破しなければ夏の甲子園に辿り着くことはできない。「群馬大会は簡単ではない。選抜と同じ気持ちで一戦必勝で戦っていく」(箱山主将)。次なるミッションは上州制覇。健大高崎は、群馬の頂点に立つために再び鎧をまとっていく。