亡き恩師の遺志を胸に
秋の悔しさを糧に肉体改造からの土台作り

今秋は順調に予選を勝ち上がるも県大会では悔しい負けを経験した城南静岡。チーム力を整え、夏の聖地を目指す。(取材・栗山司)

■亡き名将の遺志を継ぐ新監督

2008年に創部した城南静岡。2016年から甲子園出場経験のある船川誠氏が監督としてチームを強化し、2022年夏には初のベスト16入りを果たした。
 情熱溢れる指導で選手の意識を変えていった船川氏。今年5月末まで指導にあたっていたが、7月20日にこの世を去った。
 名将の遺志を引き継ぐのは教え子でもある宮城明秀監督だ。高校時代は船川氏のもとで甲子園に出場、名門・中央大では2年春からレギュラーとして活躍した。船川氏が城南静岡監督に就任後は、コーチとして支えてきた。
 8月1日からチームを率いると「積極的なプレー、チャレンジした結果なら失敗してもオーケー」という方針を打ち出した。
 その上で船川氏が大切にした日々の練習に対する姿勢、野球に対する考え方を宮城監督なりにアレンジして選手に伝えている。

■悔しい秋の敗戦を糧に

「大会に向かって引き締まっていく感覚があった」と山本颯琉主将(2年=外野手)。秋の大会は初戦、県代表決定戦ともに完封勝利で県大会出場を決めた。
 しかし、県大会は初戦敗退。山本主将は「自分たちの力を出し切ることができなかった」と悔しい表情を浮かべる。計8安打を放って毎回のように走者を出したが、打線がつながらなかった。「自分たちは前のチームから出ている選手も多く、個々のポテンシャルはあると思いますが、チーム一丸になることができませんでした」
 宮城監督は「力負けというよりも、普段やってきていることが県大会という舞台で徹底できなかった」と敗因を分析する。

■肉体改造で強豪に立ち向かう

 甲子園で勝つ―。新チームが結成された際に、選手たちで決めた目標だ。カギを握るのは春までの過ごし方となる。秋の反省から、チームの徹底事を再確認。さらに宮城監督は「スピード、スタミナ、体力」の向上をテーマに掲げる。「その3つが圧倒的に足りていない。肉体改造です。逆に、そこが上がってきたら、ベスト8以上も狙える力のある選手たちです」具体的には握力60キロ以上、50メートル走6.4秒を切ること。全員がそのノルマを達成することを目指している。
 好左腕・中込皇絆(2年)を軸に投手陣が充実し、打線は主砲の遠藤暖大(2年=内野手)を筆頭に力強くバットが振れる選手が揃う。
 可能性を秘めた新生・城南静岡。来春の台風の目となるべく、土台を作っていく。

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