
脱ジャイアントキリングで目指す甲子園
過去3度4強進出の実績を持つ伝統校
過去の東東京大会で3度のベスト4進出の実績を持つ東京実。球春に向けて士気高まる選手たちは、トーナメントを駆け上がる準備を進めている。
■いざ頂点へ、準決勝のその先へ
東京実は1996、2007、2013年夏に東東京大会でベスト4へ進出している。1996年夏の4回戦、2003年夏5回戦ではいずれも全盛期の帝京を撃破。2004年夏3回戦では第1シード関東一相手に執念の戦いをみせてジャイアントキリングを達成している。それらの戦いぶりから「大物食いの東実」とも呼ばれた。シード相手に真っ向勝負ができる理由は、チームに地力があるから。だが過去に3度準決勝へ進み頂点を視野に入れながらも涙をのんだ。もう「金星」では満足できない。ジャイアントキリングは“番狂わせ”に使われる言葉。「金星」「大物食い」の称号に別れを告げることがチームのミッションとも言える。
■進撃再び、あの闘志をもう一度
2022年秋からチームを率いるのは松田稔監督だ。山下秀徳前監督のもとで長くコーチ(責任教師)を務めて、指揮のバトンを受けた。数々の番狂わせを見守ってきた松田監督は「いまの選手も底力はあるので、あのときの闘志を取り戻せるかがカギ。『原点回帰』で練習に取り組んでいる」と話す。この冬は、4チーム対抗のリーグ紅白戦で実戦を積み重ねた。各チームのキャプテン、サブキャプテンによる「ドラフト会議」を実施し戦力均等を図った上で、選手がメンバーを決め采配した。年末には2泊3日のクラブハウス合宿を2回行い、大盛り飯でフィジカルアップを試みたほか、最終日には多摩川河川敷の20キロ走を全員で走り抜いた。その一体感が夏進撃の原動力となる。
■嶋崎主将を絶対軸に個性派選手集結
チームの核となるのは、1年夏からショートでレギュラー出場する嶋崎智慧主将(2年=内野手・投手)だ。高校通算30本塁打のパンチ力と、軽快なフットワークを武器にした守備でチームを支えてきた。最終学年となった今季は甲子園だけを目標に練習に励む。リードオフマン嶋崎が攻撃のスイッチを入れて、吉田大聖(2年=外野手)、斎藤優一(2年=捕手)、新井丈(2年=内野手)の主軸へつなぐ。嶋崎がマウンドに上がるケースもあるため、万能型プレーヤー大内樹(2年=内・外野手、捕手)が状況に応じてポジションを変えていく。秋都大会は1回戦で東京に屈して、自分たちの甘さに気付いた。嶋崎主将は「今年のチームは選手の個性が光っている。束になって戦うことで甲子園を目指す」と力を込める。ベスト4時代に劣らないほどの地力を秘めるチームは2025年、歴史を変えていく。
