
春夏通算26度の甲子園出場の伝統校
バッテリー軸に攻守のバランスが整う
伝統校・桐生がじわじわと地力を蓄えている。選抜完全試合男・松本稔監督が率いるチームは、夏のダークホースになる予感が漂っている。
■昨秋は2回戦で樹徳を撃破
春夏通算26度の甲子園出場を誇る伝統校・桐生。2021年度に桐生女子高と統合し、新たに男女共学「桐生高」となった。前橋、中央中等で指揮を執った知将・松本監督が2022年4月に就任し再建を図ってきた。ベテラン指揮官は、現役・前橋高時代の1978年、選抜甲子園で全国大会史上初の「完全試合」を達成した経歴を持つ。松本監督は「僕の考えでは、野球はピッチャーが80%だと思っている」と、投手育成をカギの一つとしてチーム強化に取り組んできた。大会では私学強豪の壁に苦しんでいたが、昨秋は2回戦で樹徳を撃破する金星を挙げた。
■今春は3回戦惜敗もベスト16
ピッチャーを軸にして攻守のバランスが整うチームは今春も力を示した。チームの軸は、右サイドの主戦・金子皓と、インサイドワークが光る大川原拓斗のバッテリーだ。金子は横軸回転で伸びのあるボールを投げ込み、相手を打ち取っていく。打線は中学時代に実績を残した3番・高橋久典を筆頭に、4番・阿久沢瑠、5番・矢島広太郎のクリーンアップが勝負強さを発揮する。1回戦で松井田に勝利すると、2回戦では、高橋の4安打2打点の活躍などで伝統実力校・高崎に8対2で勝ち切った。3回戦では北毛の雄・利根商と対戦。序盤に阿久沢のタイムリーなどで3対1とリード。3回に同点にされると強豪に対して“がっぷり四つ”で9回に突入。惜しくもサヨナラ負けとなったが、若いチームにとっては夏への手応えを感じさせる戦いだった。敗戦後の涙が、選手たちの本気の姿勢を表していた。









