過去3度甲子園出場の実力校
名門再建で20年ぶりの甲子園へ
春夏計3度の甲子園出場を誇る静岡市立。「フォア・ザ・チーム」を掲げるチームは、ボトムアップ型で名門復活を目指す。(取材・栗山司)
■昨夏県ベスト8
静岡市立は過去3度の甲子園出場を誇る。名門再建を託された安井信太郎監督が就任し、今年で5年目。復活に向けて前進を続ける。
2017年秋に県ベスト4入りすると、昨年は夏の代替大会で県ベスト8進出。今チームは昨年秋、春とも県大会出場を逃しているものの、安井監督は「個々の力がない中でも全員で勝利に向かっていく姿勢がある」と選手を称える。
昨秋は中部大会で県優勝を果たした藤枝明誠に敗戦。わずか1点しか取ることができなかった反省を踏まえ、冬の期間は片足でスイングするなどアイデアを凝らした打撃練習で強化。迎えた練習試合解禁後、最初の掛川西戦でプロ注目の沢山優介から4回で4安打を放った。
■春は翔洋相手にあと一歩
春の大会は初戦で強豪の東海大静岡翔洋と激突。1点を争う緊迫した試合となった。2点の先制を許すも、4回に同点。さらに9回表に勝ち越しを許したものの、その裏、土壇場で追いついた。延長10回の末、力尽きて敗戦。それでも、打撃力アップの成果と最後まで諦めない粘り強さを印象付けた。 静岡市立がテーマとして掲げるのが「フォア・ザ・チーム」。大村直輝主将(3年=内野手)は「自分たちは個人個人のプレーではなく、チームとして勝利を目指している」と口にする。東海大静岡翔洋戦では「フォア・ザ・チーム」の精神を存分に発揮した一方で課題も残った。「どこかにスキがあって負けたのは事実。1プレーに対しての気持ちが足りていませんでした」(大村主将)。
■20年ぶりの甲子園を狙って
春の大会後は新たな試みとして、選手主体のチーム作りに挑んでいる。「いきなりボトムアップは難しいが、主体性を目指していく中で、もっとこのチームは成長していくはず。監督の私はあくまで、その手助けをするという感覚でいる」と安井監督。練習メニューや練習試合のスタメンを選手たちだけで話し合って決め、最後は安井監督に意見を聞き、決定していく。
そんなチームのカギを握るのがエースの丸山颯人(3年)。最速140キロを誇るサイド右腕だ。昨年の新型コロナウイルスでの休校期間中を経て球速がアップ。「夏は甲子園に行きたい」と黙々とトレーニングを重ねる。また、攻撃陣は足を使える選手が揃っているのが特徴。レギュラーの約半数が50メートルを6秒前後で駆け抜ける。
4月になり、これまで坊主頭だった髪型が自由になった。静岡市立の歴史上初だという。これも安井監督が推し進める改革の一環。「選手と一緒に常にチャレンジしていきたい」という指揮官のもと、この夏は20年ぶりの甲子園出場を狙う。