夏の大会の第3シード獲得
24年ぶりの聖地へ視界良好
春季県大会で3位となった浜松工。春夏通算5回の甲子園出場を誇る伝統校は、1997年以来となる聖地を目指す。(取材・栗山司)
■投打が噛み合い、春3位に
春夏通算5回の甲子園出場を誇る浜松工。1997年以来となる聖地へ、時計の針が動き出した。 「ベスト8に入ってシード権獲得」を目指した今春の県大会。2回戦で島田商に競り勝ってベスト8入りすると、準々決勝ではセンバツ出場の三島南をコールドで下す。準決勝では藤枝明誠に敗れたものの、3位決定戦では静岡を撃破。夏の大会の第3シードを手にした。 4月に就任したばかりの矢部真吾監督は「ピッチャーがしっかりと投げ、守りのエラーがなかったことが良かった」と振り返る。
右腕の細窪優良、左腕の太田涼介の2年生コンビが安定した投球を見せ、強肩捕手の清水翔和を中心とした3年生がバックで盛り立てた。
一方で打線も活発だった。5試合の全てで先行を獲得。初戦の富士宮西戦では初回に3点を先制、3位決定戦の静岡戦でも初回に一挙5点を挙げている。「初回に得点を奪って勢いに乗っていけた」と太田亘主将(3年=外野手)。思惑通りの展開で試合を優位に進めた。
大会前の平日練習で3~4イニング程度の紅白戦を多く取り入れたことも実を結んだ。毎日、紅白戦のメンバーや打順を変更。矢部監督は「誰が出てもいいようなチームにし、どの打順でも対応できるようにしたかった」と意図を説明。必然的にチーム内の競争心が高まった。
大会では相手投手によってメンバーや打順を入れ替え、選手がそれぞれ任されたポジションで実力を発揮。「どの打順に入っても役割をこなしてくれた」と矢部監督は選手の頑張りを称える。
■24年ぶりの甲子園へ
矢部監督就任後、練習では選手から意見が言える雰囲気を作っている。練習メニューに関しては太田主将が矢部監督に対して「今日はこんなことをやりたいです」と提案。それに対して指揮官が判断していく流れを作っている。例えば、練習前のアップではモチベーションを上げるために音楽をかけることを始めた。それも選手からのアイデアだという。矢部監督は「基本的には選手のやりたいことをやらせてあげたい」と話す。 目指すのはあくまで夏の甲子園。春の県準決勝で敗れた藤枝明誠戦の反省を生かす。 「明誠との差は正直感じました。自分たちは大事なところでバントを決められなかったのですが、明誠はバントを1球で決めて、守ってはここぞの場面でピッチャーが踏ん張る。気持ちがすごく出ているのを感じました」(太田主将)。
5月中旬から新型コロナウイルスの警戒レベルが上がり、対外試合ができなくなったが、緊張感のある練習の中で、1球でバントを決めることを意識。夏に向けて緻密さも加わってきた。 春の勢いをそのままに、甲子園まで突っ走る。