2019年夏ベスト16進出の市立の雄
敗戦を糧にチームは再び立ち上がる
横浜市立として力強い戦いをみせている市立の雄・戸塚。2019年夏にはベスト16に進出するなど公立屈指の力を秘めている。2022年夏へ向かうチームも高い志のもと練習に励んでいる。
■日常のサイクルが選手を鍛える
「なにがなんでも勝つという気持ちが大切だ」、「やるべきことをやっていこう!」戸塚の校庭に、熱血指揮官・的場章監督の言葉が響く。選手たちは、指揮官の言葉を理解し、泥だらけになりながらボールを追っていく。さらに2019年のメンバーだった渡辺拓斗(大学2年)が今春から学生コーチとしてサポート、勝利への執着心を植え付けている。
戸塚がゲームで見せる底力は、日々のグラウンドで養われている。的場監督は「コロナ禍で県外チームなどの練習試合が制限されている中で、普段の練習から緊張感を持って取り組むことが重要。一球一球に対して、食らいついていくことで地力が養われていく」と話す。選手たちは毎日の取り組みを野球ノートに記しながら、練習を振り返り、成長の糧にしていく。日常のサイクルがチーム、そして選手を強くしていく。
■2大会連続の初戦敗退から学ぶ
戸塚は2019年夏に5回戦へ進出し、ベスト8入りを懸けて相洋と対戦した。白熱のゲームは4対4で延長に突入、戸塚はサヨナラで敗れたが、その戦いはチームの「道しるべ」になった。コロナ禍の2020年夏は、1回戦で公立実力校・白山と対戦し、4対3で意地の勝利。市立の雄としてのプライドを誇示している。だが、2021年夏の神奈川大会では初戦で神奈川工大附に7対8でサヨナラ負け。3回に一挙5点を奪うなどリードしたが、中盤以降に耐えられずに屈する結果になった。的場監督が着任した2017年以降、初の初戦敗退となった。
さらに新チームとなった今秋は予選突破後の県大会初戦で星槎国際湘南と対戦し0対5で敗れた。的場監督は「これらの敗戦を『ネセサリーロス(必要な敗戦)』にしなければいけない。それはこれからの自分たちしだいです」と話す。選手たちは、2大会連続の初戦敗退を受け止めて来春へ向かう。
■敗戦の悔しさを糧に
秋季大会は悔しい結果になったが、2022年春・夏へ向かうチームの戦力は整っている。2年生たちは夏のベンチメンバーも多く、「一球の大切さ」を知っている。チームは、右の本格派・原田毅(2年)、左の変化球投手・立石旭人(2年)のダブルエースを軸にゲームプランを組み立てる。原田、立石は「自分たちでゲームを作っていく」とあらためて自覚する。打線は、1番の山本理央主将(2年=捕手)がスイッチ役となり、クリーンアップの3番・横山陸(2年=左翼手)、4番・慶野達哉(2年=遊撃手)、5番・森本陽真(2年=一塁手)へつなげる。クリーンアップは、パワーヒッターの横山、勝負強さを持つ慶野、森本が並び、主軸の役割を果たす。
山本主将は「敗戦の悔しさを糧にしなければいけない。甲子園という目標へ向かって、1試合1日1球にこだわっていく」と巻き返しを狙う。「ネセサリーロス」。選手たちは、敗戦を力に変えて飛躍していく。
Wエース/原田毅(2年)・立石旭人(2年)
ピックアップ/
横山陸(2年=左翼手) 慶野達哉(2年=遊撃手 森本陽真(2年=一塁手)