連合チームから再び単独へ
2年連続秋季都大会出場
今秋、2年連続秋季都大会出場を決めた東洋。選手主体の「ボトムアップ式」マネジメントに方向転換を図ったチームは、新たな道を歩み始めている。
■新たなスタイルを模索
東東京・東洋は2019年秋の新チーム始動時に部員が5人になってしまった。2013年から指揮を執る岡本悠監督は、四商と日本橋との連合チームに参加。選手と共に両校のグラウンドに足を運んだ。当時、四商を指導していたのは現江戸川の園山蔵人監督だったが、連合チームのグラウンドには、選手主体で野球を真剣に楽しむ環境があった。
岡本悠監督は「それまでは自分の経験則から監督主体の厳しい練習にこだわっていましたが、連合チームの選手たちが伸び伸びとプレーし、それぞれが力を発揮していく姿に感銘を受けました」と振り返る。連合チームでは、選手の考えをチームに反映する「ボトムアップ式」、選手の力を最大限に発揮させるための「メンタルトレーニング」を取り入れていたが、東洋の選手たちはそれらを自校へ持ち帰り、自分たちの力に変えた。連合チーム参加によって新たなスタイルを模索したチームは2020年春に、髪型を自由化するなど改革を実行。その春に14人の選手が加入した。
■選手の意思がチームを変えた
東洋はJR水道橋駅東口から徒歩1分の距離に位置する文武両道の伝統校。校舎は高層ビルで地下2階〜地上8階が学校施設になっている。都心部のビル校舎のため土の校庭はなく、1階の校内練習場、屋上に野外運動場が整備されている。野球部の練習は週4〜5回。平日は主に、校内練習場に打撃ケージを組んでのバッティング練習。週末は江戸川河川敷などで実戦練習を積んでいる。コロナ禍で校外練習が制限された中でも、学校施設でトレーニングを積むことが可能だったことから、選手は力を伸ばした。チームは主将を軸に、打撃、守備、投手、練習向上などの委員会制度を設けて、選手たちがアイデアを出し合っていく「ボトムアップ式」。岡本監督、大釋徹助監督、上村洸責任教師の3人の指導者が選手を見守り、サポートしていく。
■シード校に堂々たる戦い
今季のチームは、経験値の高い選手が揃う。1学年上の3年生が少なかったため、2年生たちは1年次から実戦経験を積み、課題と向き合ってきた。柏倉琢磨主将(2年=捕手)を軸にした新チームは今秋、2年連続で秋季予選を突破して都大会へ出場した。選手たちは予選突破に満足することなく、都大会で勝ち上がることを追求した。秋季都大会・1回戦ではシード明大中野八王子と対戦。試合前、柏倉主将は「みんなで野球を楽しもう。勝ったから楽しいのではなく、楽しんだ先に勝利がある」と選手に呼びかけ、グラウンドに立った。シード校相手に真っ向勝負を挑んだ東洋は、3回を終えてスコアレス。中盤に失点したが、6回を終えて2対5と善戦、結果的には4対11で終えたが堂々たる戦いをみせた。岡本監督は「9回裏に2点を返し、選手たちの強さを感じました。結果的には負けたものの大きな手応えをつかむことができました」と選手を称えた。
野球を楽しむチームは、さらなる進化を遂げていくことだろう。