【足利工 野球部】 「36キロの道のり」 #足利工

夏の甲子園6度出場の伝統校
新年マラソンで「絆」「自信」「達成感」を習得

夏の甲子園6度の出場を誇る伝統校・足利工。春・夏への飛躍を誓うチームは今年1月に「36キロマラソン」を敢行するなど心技体の強化を図る。伝統のプライドを胸に2022シーズンへ臨む。

■2019、20年秋に2年連続8強

夏の甲子園6度の出場を誇る「夏の足工」。公立屈指の実績を残すチームは、石井琢朗(元広島、横浜)を輩出するなど確かな歴史を刻んできた。6度の甲子園はいずれも夏。2年半という時間を野球に捧げた先輩たちは、大舞台で本領を発揮し聖地への切符をつかんできた。時代の変遷によって1987年夏を最後に甲子園からは遠ざかっているが、情熱は変わらない。

2016年4月に就任し2022年度で足工7年目を迎える伊藤光一監督は、ユニホームにこめられた伝統の重みを伝えると共に、選手の能力を最大限に引き出す指導によってチーム基盤を作ってきた。2019、2020年秋には2年連続でベスト8へ進出するなど成果は着実に現れた。

■秋季大会は2回戦で惜敗

今年の主軸となる選手たちはコロナ禍によって練習制限がかかる中でも成長を遂げた。迫力のスイングが武器の主砲・佐藤泰輝主将(2年=右翼手)、サウスポーエース関根隆晟(2年)、軽快なグラブさばきをみせる守備の要・幸田聡吾副将(2年=内野手)ら、攻守のキーマンが揃ってきた。伊藤監督は「能力は持っているが、追い込んだ練習がなかなかできないため勝負強さが備わっていないのかもしれない」と話す。

秋季大会は1回戦で足利に勝利し、2回戦で高根沢と対戦。エース関根が2失点の好投をみせたが、“あと一歩”が届かずに1対2で惜敗となった。勝利した高根沢は同大会でベスト4まで進出しただけに悔いが残る。エース関根が「自分が3回に2失点してそのまま負けてしまった」と話せば、幸田副将は「勝負所で打てなかった」と振り返る。

■自分たちを変えていく

チーム、選手の成長を促すため今年1月10日に「36キロマラソン」を実行した。午前9時に学校を出発し、藤坂峠や猪子トンネルを通って学校へ戻るコース。毎年恒例のマラソンも、昨年はコロナ禍の緊急事態宣言により中止になったため、1、2年生全員にとって初めての挑戦となった。指揮官は長距離マラソンによって「絆」「自信」「達成感」を身につけることを目指した。それは、今季のチームに足りない部分でもあった。佐藤主将は「自分たちを変えていかなければいけない」とスタートラインに立った。選手たちは、仲間同士の協力によって完走した。36キロの道のりが選手たちをひと回り大きくさせた。伊藤監督は「マラソンによって技術が向上するわけではないが、チーム、選手が殻を破る“きっかけ”になってくれれば」と話す。

足利工の伝統をまとう選手たちは、確固たる「自信」を糧に春を待つ。

 

 

 

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