コロナ禍でも成長する選手たち
機動力活かして前東の野球を体現
2017年春ベスト4、2021年春ベスト8の公立実力校・前橋東。コロナ禍でも成長する選手たちは今夏、最高の結果を残すために“思考”する。
■2カ月の休止を乗り越えて
群馬県内公立校は今冬にコロナ禍の影響を受けて1月中旬から3月中旬まで部活動に制限がかかった。前橋東も例外なく活動を休止。冬の鍛錬は各自のトレーニングにゆだねられた。選手たちは、小暮直哉監督にアドバイスをもらいながらオンラインミーティングを実施した。主将、副将のほか打撃、投手などのリーダーが中心となって休止期間のトレーニング方法などを共有した。町田遥翔(3年=外野手)は「オンラインミーティングでは、それぞれが夏の姿をイメージして、そのためには何が必要かをみんなで考えた」と話す。そして3月中旬、待ちに待った部活動が再開した。小暮監督は「約2カ月間、部活動ができなかったが、生徒たちの技術は落ちなかった。高校生は純粋にすごいと思いました」と頷く。選手たちは、目を輝かせながら白球を追っている。
■2017年春4強、2021年8強の結果
近年、着実に力を伸ばしている。2017年春にベスト4進出を果たすと、その夏にもベスト8となった。昨春には再び準々決勝へ進出し、関東学園大附に2対4の好ゲームを演じている。飛躍が期待された昨夏は1回戦で実力校・伊勢崎清明と対戦。接戦の末に4対8で敗れて悔しい思いをした。先輩たちの思いも背負って始動した新チームは秋季大会1回戦で伊勢崎工に勝利し好発進すると、2回戦では高崎商と対戦。石原歩(3年=投手)から大森柊河(3年=投手)への継投によって2対1で逆転勝利した。そして3回戦では、関東学園大附と激突。序盤にリズムが作れなかったが大森のロングリリーフによって立て直すと7回に5点を奪い8対7と一時逆転に成功、しかし終盤に押し切られてしまった。エース大森は「逆転したときは勝てると思ったが、最後に甘さが出てしまった。負けたけど今年のチームは、しっかりと戦えることが分かった」と振り返る。
■前橋東として最高の結果目指す
「思考自走野球」をスローガンに掲げるチームは、自分たちで考え、自分たちの力で行動していく野球を追求している。チームは、田中杜季主将(3年=三塁手)を軸に、一体感を持って戦っていく。投手陣は大森と石原のダブルエースがゲームを作り、打撃陣は石田風悟(3年=内野手)、青野凌空(3年=外野手)の1・2番コンビが出塁し、田中主将、三浦俊哉(3年=内野手)、源後颯人(2年=内野手)のクリーンアップがチームバッテイングで走者を返していく。小暮監督は「機動力と理解力が高い選手が多く、サインを出すのが楽しいチーム。前橋東の野球を体現できるチームだと感じる」と期待を寄せる。田中主将は「コロナで練習できない時間はあったが、僕たちはみんなで頑張ってきた。夏まで、残り3カ月もあるので、1日1日を大事にしながら成長していきたい。今年の夏は、前橋東として最高の結果を残したいと思う」と話す。活気あふれるチームは今夏、再び旋風を起こす。