3度の全国制覇を誇る名門
打撃力を武器に11年ぶりの甲子園へ
帝京は、春夏通算26度の甲子園出場、3度の全国制覇を誇る。投打にパワーみなぎるチームは金田優哉監督の夏初陣で、11年ぶりの甲子園を狙う。
■監督交代で新たなエッセンス
帝京は昨夏の東東京大会後に、50年間指揮を執った名将・前田光夫監督が勇退し、10年間にわたり参謀役を務めた愛弟子の金田監督が昨秋から指揮を執る。前田前監督は、夏大会中にも引退を公表することなく、静かにユニホームを脱いだ。前田前監督らしい引き際だった。伝統継承、チーム復活をタスクとして新たなスタートを切った金田監督は、恩師の野球を引き継ぎながら新たなエッセンスを加えて昨秋大会へ臨んだ。選手の個性をチームに還元しながら一戦一戦で進化を遂げたチームは、3回戦で都立強豪小山台相手に、4番・渡邊礼(3年=内野手)が本塁打を放つなど6対2で快勝、準々決勝では国学院久我山に先手を奪ったが4対7で逆転負け。課題と収穫を手に冬トレーニングに入った。
■強い帝京、春大会で進化体現
投打にスケールアップしたチームは、春大会で進化の過程をみせた。迫力の打線を武器に得点を重ねて3回戦では創価を9対2、4回戦では早稲田実を13対0で撃破。さらに準々決勝では、今春の選抜ベスト4の国学院久我山に6対0で勝利した。昨秋には国学院久我山に屈したが、打線が得点を重ねると、エース高橋蒼人(2年)が相手打線をシャットアウトして完勝した。西東京の強豪3チームとの戦いで、得点28失点2。準決勝・関東一戦は、エース高橋を温存した戦いで5対8で敗れたが、その戦いぶりからは今夏の東東京大会での復活を予感させた。金田監督は「評価をしてもらうのはありがたいが、秋はベスト8、春はベスト4で負けている。帝京は常に結果を求められるチーム。強い帝京を取り戻すために選手とともに戦っていく」と引き締める。
■主軸のチーム本塁打は計86本
春大会後の関東近郊校との練習試合で連戦連勝だった帝京だが、夏の予行演習として実施した関西・四国遠征では全国強豪相手に苦しめられた。指揮官は「甲子園で勝つには、確固たる力が必要。まだまだ足りないということ」と夏へラストスパートをかける。それでも打線は着実に仕上がっている。主砲・小島慎也(3年=内野手)が高校通算34本塁打、右のスラッガー渡邊礼(3年=内野手)が22本で続き、本村千夏良(3年=外野手)が8本、大塚智也(3年=内野手)、稲垣渉(3年=外野手)が各7本、徳永旺典(3年=外野手)が6本と続く。6月下旬時点で主軸のチーム本塁打は86本。高校野球はホームラン競争ではないが、相手投手に圧力がかかることは間違いない。小島は「チームバッティングに徹した上で、個人でもアピールしたい。夏は全員の力を合わせて甲子園へ行く」と気持ちを込める。2年生投手陣の右腕・高橋蒼人、左腕・安藤翔も安定感が増し、投打の歯車は噛み合ってきた。あとは東東京大会の舞台で自分たちの力を存分に発揮するだけ。11年ぶりの甲子園へ。帝京は歴史の扉を、再びこじ開ける。