【静岡商】 「頂点へ」

原点に立ち返り、全員でグラウンドに立つ
名門のプライドを懸け、この冬、一丸となる

 名門復活へ向けて闘志を燃やす静岡商。着実に勝利を重ねてきているものの、目標の甲子園はまだ遠い。静商野球部のプライドを胸にトレーニングに励む。(取材・栗山司)

■伝統の走塁に磨きをかける  

春夏通算15回の甲子園出場を誇る静岡商。OBの曲田雄三監督が就任して2年目を迎える。昨年夏はエース・大橋建仁(3年)を擁してベスト8入り。指揮官は「何があっても8に入っていかないと、その上は見えない」と名門復活に向けて力を込める。  グラウンドには「SEISHO PRIDE」の横断幕がなびいている。この2年間、選手たちに「静商のプライドを持とう。静商の覚悟を持とう」と熱い言葉で訴えかけてきた。「とにかく今、踏ん張ることが大事。選手たちと考えを共有して、伝統を大事にしながら新しい静商を作っていきたいと考えている」  前チームに比べ、「力がない」と自覚することから昨秋のチームはスタートした。取り組んだのは「静商野球」の原点とも言える走塁。夏の大会の大事な場面で本塁に還ってくることができなかったことが敗戦につながったこともあり、ベースランニングから走塁技術を徹底的に磨いていった。  秋の大会は「足で二塁から三塁に進めたこともあり、成果は出たと思います」と戸田純太主将(2年)は話す。

■一体感を作るための試み  

オフ期間は体作りと並行して、打撃力アップに力を注いだ。管理栄養士の指導のもと体を一回り大きくし、ロングティーで力強さをつけている。  環境面は変化を加えた。静岡商のグラウンドは室内練習場が併設している。前年まではグラウンドと室内練習場の両方を使いながら練習をこなしていたが、今年は基本的に全員がグラウンドで行う。「チームに一体感を持たせたい」という曲田監督の提案だった。「ちょっと古臭いかもしれないが、寒くてもこの静商の土のグラウンドで練習することによって見えてくるものがあるのではないかと考えている」  目標はただ一つ。2006年以来となる甲子園出場。「前回が32年ぶりだったのでまだ20年近くあるのでは?」と問うと、曲田監督は「そんなには待てない」と危機感を持っている。

■下剋上を果たし17年ぶりの聖地へ  

今年はサイド右腕・太田善士(2年)、強肩捕手・藤田圭佑(2年)のバッテリーを中心に守り抜き、足を使って得点を積み重ねていく。  秋は県大会の3回戦で常葉大橘に敗退(2対6)。自分たちの野球は貫けたが、「チャンスの場面であと1本がでなかった」と戸田主将は反省する。「それを克服するために、この冬は全員が一体となって練習しています」  曲田監督のノックを受け、全力で走り、バットを振る。この冬の苦しい練習が血となり肉となっていく。スローガンに掲げる「下剋上」の言葉通り、今夏は這い上がって頂点をとりにいく。

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