【小岩】 「撃夢」-げきむ-

2021年夏の東東京大会ベスト16
社会でレギュラーとなる人材育成を目指す

 2021年夏の東東京大会でベスト16へ進出した小岩。力をたくわえるチームは、東東京の頂点を狙って突き進む。

 

■都屈指の部員数となる「都立の雄」  

下町の雄・小岩が、静かな闘志を燃やしている。下町の野球小僧が集まるチームは近年、着々と力をつけてきた。2020年夏の独自大会2回戦で修徳を下す金星を挙げると、2021年夏の東東京大会で快進撃をみせて5回戦へ進出。ベスト8をかけた淑徳戦では5対6で敗れたがベスト16進出を果たした。2022年夏は3回戦敗退となったが、士気はさらに高まっている。現在の部員は2年生20人、1年生18人。4月には多くの新入部員を迎えることが予想され、都立屈指の規模となる。今年のチームは2年前のベスト16を超えて、神宮球場でのクライマックスへたどり着く可能性を秘めている。

■人間教育を土台にチーム強化  

2020年からチームを率いるのは、茶川剛史監督だ。2001年の現役時代は城東の主将としてプレーし、チームを甲子園へ導いている。甲子園の景色を知る指揮官は、「甲子園が迎えに来るチーム」を目指してチームマネジメントを実践する。そして「甲子園に挑戦するという熱い気持ちを持ち続ける」「自分で考えて行動できる人間・集団になる」「良い選手である前に良い高校生である」を追求、小岩スタイルを構築している。理念は「甲子園出場を目標としながら、社会でレギュラーとして活躍する人材の育成」。茶川監督は「学校生活が野球につながっていく。人として成長していくことが大切だ」と話す。小岩は、人間教育を土台にしてチーム強化を続けていく。

■団結力を武器に甲子園へ  

進撃の予感が漂っている。新チーム始動時、選手たちは「撃夢(げきむ)」というスローガンを掲げた。これまで乗り越えられなかった壁を突き破って夢をつかむという意味が込められている。今秋予選では、成瀬、玉川学園に勝利して創部初の秋予選突破を果たした。都大会は1回戦でシード堀越に屈したが、粘り強い戦いをみせた。今年の小岩は、前チームからレギュラーだった鈴木輝主将(2年=内野手)、関根幹太(2年=投手)が軸になり、冬トレで心技体の強化を図った。チームのキーマンは、走攻守に高い能力をみせる吉朝大隼(2年=外野手)や、攻守の要・山崎翔平(2年=内野手)ら。パンチ力ある田島涼(1年=内野手)も魅力あふれるプレーヤーだ。センターラインが確立されたチームは、甲子園を目指して「夏」へ向かっていく。鈴木主将は「秋の初予選突破は、通過点。春・夏は団結力を武器に戦うことで、甲子園という夢をつかみたい」と胸を張る。小岩は、勝ち上がることで下町に勇気を届けていく。

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