エース芦川、主将・田畑を軸に新時代へ
テクノロジー×メンタル強化=甲子園
戦国・神奈川で着々と土台を築く立花学園。2022年夏に初のベスト4進出を果たすなど甲子園への“距離”を縮めている。士気高まる新チームは神奈川の頂点を目指して始動した。
■伝統継承しながらデジタル活用
立花学園は2022年夏に初のベスト4進出を成し遂げた神奈川の新興勢力だ。学校自体は1928年創立の長い伝統を誇り、野球部は男女共学化の1962年から10年後に誕生した。野球部は2022年に創部50周年を迎えたが、その夏に初の4強進出を達成している。2017年春から指揮を執る志賀正啓監督は、伝統を継承しながらラプソードやSNSを積極活用するなどデジタルベースボールを推進してきた。選手たちは、自らさまざまなツールを駆使して、試行錯誤。セルフコーチングによって成長したチームは2023年春にベスト8、今夏にベスト16となった。
■一球一打の執着心がラストピース
選手の伸びしろを最大化することでチーム力を高めている。中学時代に実績を残した選手は少ないが、大井町のグラウンドで切磋琢磨。2021年のNPBドラフト会議では投手・永島田輝斗がロッテに育成加入するなど成果を挙げている。野球部は、ラプソードやブラストで投打のデータを把握、体成分分析器インボディで筋肉量などを計測し年間を通じた進化につなげている。チームスローガンは「心の耐力」。指揮官は「データだけでは勝つことはできない。データ計測は手段であって目的は勝つこと。そのためには一球一打の執着心が必要になる」と精神強化を促す。それは、神奈川の頂点に立つためには不可欠な力だ。
■立花学園の歴史を変えていく
新チームは、高い志を掲げてスタートを切った。今夏は5回戦で武相に屈したが、そのチームの主軸だった大型ショートストッパー田畑智大主将(2年=内野手)、県屈指の本格派サウスポーエース芦川颯一(2年)が中心となり、新チームが始動。投手陣はエース芦川のほか、平本岬斗(2年)、根本奨大(1年)ら多彩なタイプが揃う。打撃陣は3番・田畑主将、4番・山浦龍雅(2年=内野手)のクリーンアップが確立され、機動力を活かして得点を奪っていく。秋予選では星槎国際湘南に7対6で競り勝つと3連勝で県大会出場を決めた。田畑主将は「夏はベスト16だったが、神奈川の頂点に立つには同じやり方ではなく、チームを変えていかなければいけない。自分たちの代で立花学園の歴史を変えていく」と力を込めた。
神奈川の頂点は見えている。そこに向かって道を切り拓く。