2019年夏ベスト16へ進出した都立
『打倒・強豪私学』『8強進出』へ一丸

2019年夏ベスト16へ進出した実績を持つ練馬。野球に情熱を傾ける選手たちはベスト8以上を目指して本気で練習に取り組んでいる。(取材・松井裕一)

■今夏は2勝を挙げて3回戦へ進出

「もう一丁!」。ノックに向き合う部員たちは納得のいかないプレーをすると、積極的にノッカーに要求する。茅郁也監督は「ウチは野球が好きで、頑張れる部員ばかりです。少々重圧のかかる練習にもついてきてくれます」と笑顔で語る。成果を発揮したのが今夏の西東京大会。チームのテーマは、「ロースコアで粘り、後半に逆転する」。1回戦・翔陽は1対4の劣勢から7回に6点、2回戦・小川は3対4の5回に2点を奪い、逆転勝利。同校最高成績の2019年夏の16強以来の夏2勝を挙げた。大代徠夢前主将(3年=投手)は夏に背番号1をつけたが、入学時の球速は90キロ台。弛まぬ努力で130キロ台に到達した。指揮官は「3年生があきらめずに戦ってくれた姿、残してくれたものは大きいですね」と目を細める。

■切れ目ない打線でベスト8以上へ

新チームは、夏に13人がベンチ入りし経験値の高さが強み。投手の中心はともに1年の濵中慎太郎と金田空。左腕・濵中の直球は独特な軌道で打者を幻惑する。軟式クラブチームの名門・石泉クラブ出身の右腕・金田は入学時から130キロ台の速球を投げ込む。打線は小技を絡め、切れ目がない。高出塁率の1番・池田勇輝(2年=内野手)はミート力に長ける。3番・伊佐治來主将(2年=捕手)は勝負強さを備える打線の核。4番の立川敦(2年=外野手)は長打力がある。今夏に4番を務めた田口碧人(2年=内野手)がケガから復帰すれば、打線の厚みが増す。投打のポテンシャルは歴代屈指だ。

■練馬高校の歴史を変える

2022年8月より指揮を握る茅監督は桜美林、指導経験豊富な三浦誠一部長は拓大紅陵(千葉)、中学指導で都大会3位の実績を持つ野村圭助監督は新潟南(新潟)出身と、指導陣は甲子園上位進出経験校の出身者がそろう。茅監督のモットーは「強豪私学に挑戦したい」。部員17人の練馬のメリットは練習量と出場機会。「ウチほど練習をする都立校は少ないと思います」と野村助監督も自負する。指揮官は「少数精鋭の都立の強みを活かして、私学強豪に勝利したい」と期待を寄せる。また野球面だけでなく、人としての成長を促していく。
 「夏の西東京で8強に進出して、練馬高校の歴史を変える」。新チーム発足時に、部員たちは目標を掲げた。主将の伊佐治が堂々と話す。「自分たちが上手くなっているのを日々実感している。もっと本気で野球に取り組み、もっとチームを強くして、練馬を発展させたいです」。

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