部員一丸で狙う神奈川の頂点
悲願の甲子園へ栄光を求める戦い
悲願の甲子園初出場を目指す伝統校・日大。伝統校のプライドを力に変える選手たちは、時代に即したスタイルを追求して「神奈川No.1」を狙っていく。
■秋大会は4回戦で鎌学に惜敗
壁を突破するのは“今”だ。2016年春に決勝進出、2017年夏大会ベスト4、2021年秋ベスト8の結果を残してきたチームだが2022、2023シーズンは、クロスゲームで勝ち切れずに3、4回戦で惜敗している大会が続く。昨夏は3回戦で相洋と対戦しチャンスを活かし切れずに2対4で敗戦。サウスポーエース永谷陽が好投したものの打線が援護できずに勝機を逃した。新チームの秋大会は4回戦で鎌倉学園と対峙して激闘を演じた。1対2で迎えた9回裏に同点に追いつき延長タイブレークへ突入したが耐え切れずに2対5で敗れた。中務史也主将(2年=内野手)は「あと一本が打てずに勝ち切れなかった」と悔やむ。
■苦の中に光あり
日大の横断幕には「苦の中に光あり 輝け日大健児」を書かれている。日大高野球部に継承されてきた部訓だ。だが、伊藤謙吾監督が就任した1997年には、その部訓は使われていなかったという。伊藤監督の就任直後、チームは福島県遠征で強豪・学法石川と対戦。当時、総監督をつとめていたのは、日大高出身の故・柳沢泰典氏。日大高の魂を宿した柳沢氏は、日大高のスローガンを学法石川で活用し、強豪に育て上げていた。それを知った伊藤監督は、かつての日大高の部訓を復活させて横断幕に記した。最近2シーズンは苦しんでいるが、光は確実に見えている。
■層が厚く可能性は無限大
投打の軸は揃っている。投手陣は、伸びしろ十分の実戦派サウスポー星野駿司(2年=投手)の進化がポイント。秋大会はコンディションが整わずにチームに貢献できなかったが春・夏はエース格としてマウンドに立つことが予想される。打線は、中務主将、パンチ力ある4番・豊田陸琥(2年=内野手)が勝負強さを発揮する。チームに欠かせないのは、村社陽斗(2年)、北畑皓基(2年)、吉田陸人(2年)のバックアップ組。年末時期は負傷によって戦列を離れていたが、裏方として練習準備などを遂行した。伊藤監督は「チームはレギュラーだけで戦っているのではなく、控え選手を含めて一つのチームになる」と語る。日大は、部員一丸で「神奈川No.1」を狙う。苦境を乗り越えた先に栄光がある。