【レジェンドインタビュー】ハマのレジェンド遊撃手 山下大輔(元大洋、元横浜監督)

ハマのレジェンド遊撃手

山下大輔(元大洋、元横浜監督)

1952年静岡県生まれ。清水東―慶応大。

大洋ホエールズで14年間プレー、攻守の軸としてチームを牽引。

遊撃手としてベストナイン1度、ゴールデングラブ賞

8度受賞。2003、2004年は横浜監督。現BC神奈川フューチャードリームスGM

■8年連続ゴールデングラブ賞

大洋ホエールズ(現横浜DeNA)で14年間プレーし、攻守でチームを牽引した山下大輔。

ゴールデングラブ賞を8年連続で受賞するなど当時のセ・リーグを代表する遊撃手として活躍したレジェンドが高校球児にメッセージを送る。

■高校1年生で決勝進出

―清水東はサッカーでも有名です。

「サッカーは全国区でしたが、野球も強かったんです。私自身も中学までは野球とサッカーを両方やっていまして、高校では野球を選択しました。進学校でしたが甲子園に行ける可能性が高いチームだったと思っています」

―高校1年生のときは?

「小学校時代はソフトボール、中学校は軟式野球でしたので、硬式ボールを握るのは高校が初めてでした。1年生のときはセカンドでプレーして、夏大会は1回戦途中からレギュラーとしてプレーしました。3年生に松下勝実さん(慶応―松下電器)というエースで4番の選手がいまして、決勝戦まで進みました。浜松商業に0対1で負けて、甲子園にはいけませんでした」

―甲子園まであと一歩だったのですね。

「当時は、入部して数カ月で無我夢中でプレーしていました。いま振り返れば、あと1勝で甲子園だったのですが、実感はありませんでした。ただ、1年生で決勝まで行けたので甲子園は近い場所だったように感じたのですが、その後の2年間で、甲子園は簡単に行ける場所ではなく、遠い道のりだったのだと痛感しました」

―高校時代、努力したことは?

「練習はすごくハードだったと思います。ボールが見えなくなるまで練習をして、真っ暗になってからはベースランニングをしていました。みんなで頑張っていたと思います。当時は練習中に水が飲めませんでしたので、ファールグラウンドの用水路に水のビンを隠しておいて、球拾いのときにみんなでこっそり飲んでいたのを思い出します」

―その後の2年間は?

「夏大会後の新チームからポジションがショートになりました。高校2年生のときはシード校で力もあったのですが、早い段階で負けてしまいました。高校3年生のときのチームは、エース不在の中で、やはり3戦目くらいで負けてしまいました。松下先輩は、慶応大で活躍していましたので、私も六大学でプレーしたいと思うようになっていきました」

■知識ではなく体で覚える

―引退後は受験勉強に気持ちを切り替えたのでしょうか?

「夏大会が終わって、父親と一緒に甲子園の阪神対巨人戦を観に行きました。私の中で、届かなかった甲子園を実際に見て、気持ちの整理をしたかったのかもしれません。甲子園から帰ってきて、受験勉強へ切り替えていきました」

―大学からプロへ。

「慶応大でプレーするには受験に合格するしかありません。勉強に励みましたが、その一方で合格しなければほかの大学への進学も考えていたので、そうなっていたら野球は辞めていたと思います。その状況で運良く、慶応大に合格して野球を続けることができました。ただし、大学3年生まではプロは現実的ではありませんでしたので、就職先を決めていました。大学4年生になってドラフト候補に上げていただく中で、内定先の先輩方と相談しながら指名を受けることになりました」

―慶応大から大洋へ。

「大学時代は3連覇を果たすなどチームとして結果を残すことができましたが、大洋ホエールズ時代は14年間で最高が2位で、一度も優勝することはできませんでした。低迷するシーズンもありましたので、負けから学ぶことが多かったと思います。現役引退後の1998年の横浜ヘッドコーチ時代に優勝できたときは感無量でした」

―野球をする上で大事なことは?

「努力することは大事ですが、正しい努力、正しい練習を自分で身につけてほしいと思います。道を間違ってしまうと上達しません。遠回りも無駄にはなりませんが、2年半という限られた時間を効率良く使ってほしいと思います。また知識で覚えるのではなく、体で覚えることが大事だと思います。いまは多くの情報がありますが、それを頭で理解した上で、体が無意識に動くくらいまで反復してほしいと思います。体で実践できることがレベル向上につながっていくと思います」

―高校生にメッセージをお願いします。

「バッティング、守備、そして勉強、人生にも言えることですが、すべてタイミングが大事だと思います。好きな女性に告白するときもタイミングが合わなければ恋は実りません。バッティングで、どんなに良いスイングをしても、タイミングが合わなければ当たりません。そう考えると、ピッチャーとタイミングを合わせることが大事になります。スイングが悪くでもタイミングが合えば打てるのです。守備も同じで、どんなに良い姿勢でも、打球とタイミングが合わなければ捕れません。人生でも勉強でもやるべきときに努力しなければ無駄になってしまうかもしれません。勝負のタイミングを逃さず、自分自身のチャンスに変えてほしいと思います」

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