「2020年夏 大会レポート  前橋商」 V「殊勲の準優勝」 #前橋商

前橋商 V 「殊勲の準優勝」

11年ぶり9回目の関東大会へ 2009年春、2010年夏以来の甲子園なるか

前橋商が秋季関東大会群馬県予選準決勝で桐生第一を下して11年ぶりの関東大会出場を決めた。

決勝では健大高崎に敗れたが、県2位通過で関東大会へ出陣する。

2020年11月号掲載

■再び、近づく甲子園

甲子園は確実に近づいている。

2019年夏準優勝、2020年夏ベスト4の結果を残してきた伝統校・前橋商が今秋、選抜へつながる関東大会出場権をつかんだ。

前橋商にとって2009年以来11年ぶりの関東大会だ。

前橋商は2008年秋の関東大会でベスト4へ進出し、左腕・野口亮太、後藤駿太(現オリックス)を擁した2009年春の選抜に出場。

さらに二人が3年となった2010年夏の甲子園にも出場したが、その年以来、甲子園から遠ざかる。

群馬はその後、前橋育英、健大高崎など私学が台頭し、公立の甲子園出場は2012年春の高崎と、2012年夏の高崎商のみ。

前橋商は、公立校の夢とプライドを背負って、この秋を戦った。

■接戦制して関東大会切符つかむ

今大会は、初戦からすべてが接戦だった。

1回戦・沼田戦は3対3で迎えた7回に神道宥良のタイムリーで勝ち越し4対3の勝利。

2回戦・高崎戦はエース茂田侑大、筑田歩夢の継投で4対0の完封勝利。

3回戦で常磐を下して迎えた準々決勝・樹徳戦は2対2で9回に入り、3番・内田遥己のタイムリー2塁打で1点を勝ち越した。

関東切符が懸かった準決勝は、桐生第一。

このゲームも1点を争う展開となったが、萩原蒼真、蛯谷亮介、塚本啓太朗の下位打線の活躍により4対2で勝利。

エース茂田は9回を2失点で抑えて役割を果たした。

茂田は「チームにとって大事な試合だったが、ランナーを出してからもバックに守られて丁寧に投げることができた」と安堵の表情をみせた。

■殊勲の準優勝で選抜へ大きな希望

決勝戦の相手は健大高崎となった。

健大高崎には2010年春に勝利して以降、公式戦7連敗中。

前橋商・住吉信篤監督にとって、健大高崎・青柳博文監督は、前橋商の1学年先輩にあたる。

前橋商が甲子園への道を再び切り開くには、越えなければいけない相手。

チームは関東1位通過を懸けて健大高崎へ挑んだ。

準決勝からの連戦となったため先発は、背番号10筑田となった。

今大会、茂田のあとを継いで責務を果たしてきた右腕は、1、3回に各1失点を喫して2点を奪われたが、要所を締めるピッチングで傷口を塞ぎ、打線の援護を待った。

しかし、健大高崎の先発・野中駿哉からチャンスをつくりながらも「あと1本」が出ずに打線が沈黙。

8回に3失点して最終的には0対5で敗れる結果となった。

住吉監督は「しっかりと戦えていたが打撃力の差が結果につながった。この試合の課題を持ち帰って、関東大会へ準備したい」と語った。

塩坪永勢主将は「準優勝は正直悔しい。ただ、大会を通じて一戦一戦、成長できた。関東大会では前商らしい粘り強い戦いをみせて勝ち上がりたい」と決戦を睨む。

甲子園の福音ははっきりと聞こえている。

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