菅生 十八番・終盤の逆転劇
帝京 9回勝利目前で涙
47年ぶりの東西決戦を制したのは西東京・東海大菅生だった。
東西覇者のプライドがぶつかり合う激闘は、東西両大会の白熱を象徴したかのようなゲームだった。
2020年9月号掲載
■菅生、劇的なサヨナラ勝利
またしてもサヨナラ勝ちだった。
帝京の左腕・田代涼太を捕えることができず0対2で迎えた9回裏、奇跡の福音が鳴った。
無死1・2塁から森下晴貴の打球は左中間のフェンスを直撃するタイムリー三塁打、走者二人が帰還し同点に追いつく。
帝京は、続くクリーンアップ二人を申告敬遠し、臼井直生との勝負を選択する。
無死満塁で打席に立った臼井は意地のスイングで打球をセンター前へ落として、殊勲の決勝打。
東海大菅生はこの試合、わずか4安打だったが、3安打を最終回に浴びせて東西決戦を制した。
■帝京・田代、不運の絶対左腕
今大会、継投で勝ち上がってきた帝京だったが、東西決戦では先発田代が9回までマウンドに立った。
8回までに打たれた安打はわずかに1本。
9回無死1・2塁の場面で前田三夫監督は、捕手・新垣煕博に状態を確認、続投の判断を下した。
それは、田代への情、そして左腕にゲームを託した証だった。
だが、次の打者・森下の打球は、無情にも外野フェンスを直撃し、降板となった。
絶対左腕・田代は、昨夏、昨秋も悔し涙を流したが、最後のゲームでも勝ちきることができなかった。
不運の左腕は、試合後、ベンチでうずくまった。
勝てなかったが、田代にとっては高校3年間のベストピッチングだった。