2023年11月に新監督就任で新たな船出
2017年夏以来7年ぶりの単独チーム勝利へ
伝統校・聖学院に新たな風が吹き込んでいる。新監督就任によって野球の魅力を再発見した聖学院は、2017年夏以来の7年ぶりの単独チーム勝利へ向けて「本気」になる。
■選手の可能性を引き出す指導
聖学院の選手たちの目がさらに輝き出した。駒込駅から徒歩5分の環境に位置する聖学院は、2017年夏に東東京大会2回戦で東洋に勝利して以来、単独チームとして勝利をつかむことができていない。その間、連合チームでの参加となった大会もあったが、2022年春の予選1回戦で光丘に勝利するなど野球が好きな選手たちがそのタスキをつないできた。単独としては6シーズンにわたり勝利がないが、中高一貫・中等部には軟式野球部があり、1学年10人以上の部員が白球を追う。高校で野球を続ければ“6年間の一貫指導”が可能となり、チームとしての可能性は高まっていく。現に今春入学の中学3年生は、すでに高校野球部の練習に参加。高校野球デビューを待ちわびている。
■未知なる可能性を秘めるチーム
未知なる可能性を秘める聖学院に2023年11月から、神奈川県立藤沢西で実績を残した三宅裕太監督が就任した。三宅監督は、選手たちの長所を伸ばす指導に定評があり、藤沢西指揮官時代には地道にチーム強化を図った。中学時代に実績のない選手の特徴を見極めて、親身になって指導。高校2年半で確固たる自信をつけた選手たちは、強豪がしのぎを削る神奈川高校野球の舞台で堂々とプレーし、2022年夏にはベスト16進出を成し遂げた。そして縁があり外部監督として聖学院で指導することになった。新指揮官が選手たちに伝えているのは「本当の本気」。三宅監督は「選手たちにはそれぞれの可能性を限定してほしくない。本気で行動することで視野が変わってくる。それは勉強や学校生活にもつながっていくはず」と選手の背中を押す。
■流した悔し涙が成長の証
新指揮官就任後、聖学院は格上チーム相手の練習試合を積極的に組んでいった。最初の試合は2対29で大敗するなど連戦連敗の日々だったが、選手たちの意識は変わっていった。11月下旬の練習試合では実力チーム相手に接戦を演じるなど手応えをつかんだ。敗戦後、選手たちが流した悔し涙が成長の証だった。当初は控えめだった声も、ダイヤモンドに飛び交うようになった。藤井悠輔主将(2年=内野手)は「基礎練習をはじめ礼儀や声などを意識してから雰囲気が変わってきた。みんなが本気になることでチームは強くなっていけると思う」と話す。キーマンの有澤一路副将(2年=捕手)、新藤勇翔(2年=内野手)も「新しい体制になってからの1カ月でチームは大きく変わった。本気になることでチームを変えていきたい」と練習に打ち込む。本気になった選手たちがどこまで進化を遂げるか。聖学院スピリットを宿す選手たちは、オンリーワンのチームを目指す。その先に7年ぶりの勝利がある。