実力拮抗!ロースコアの決勝戦
タイブレークを制し2年連続の春王者
春季の静岡県大会決勝は、頂点を決めるにふさわしい接戦となった。米山学監督は、自身の判断で勝利を引き寄せた小室太陽主将を称えた。(取材・栗山司)
■主将の好走塁でサヨナラ勝利
加藤学園が春2連覇を達成した。
決勝戦は1対1でタイブレークに突入。表の守備を無失点に切り抜けると、その裏、先頭の打席に立ったのは主将の小室だった。
ベンチからのサインはバント。小室は相手内野手の極端なシフトを見て、「これだけ近づいてきたらバントは無理」と判断した。ヒッティングに切り替えると、中堅前に転がっていった。米山学監督が「自分の意志を持ってやったことがいい結果につながった」と称える一打で無死満塁となった。
1死後、屋海州の打球は遊撃ゴロへ。ここでも、小室の磨いてきた野球勘が冴え渡った。
遊撃から本塁への送球で三塁走者はアウトとなるが、併殺を狙った捕手の一塁送球間に二塁走者の小室が一気に生還。サヨナラ勝利を決め、ホームベース付近で歓喜の輪が広がった。「屋の状態があまり良くなかったので、ゴロになることを予想していた。キャッチャーも一塁に投げる確率が高いと思っていた」と、状況を冷静に読み取った快心のプレーだった。
■小澤が10回1失点の好投
チームに流れを引き寄せたのは今県大会初先発の小澤亨彦だった。「緊張して腕が振れなかった」と初回に四球絡みで先制点を許すも、2回からは相手打線を封じた。身長は163センチと小柄ながら、最速141キロのストレートを投げる右腕。低めのコントロールには自信を持っている。
先発を伝えられたのは前日の練習前だった。「監督さんから『お前に託した』という強い言葉をいただいて、『やってやろう』という気持ちになった」
終盤になっても球威が衰えることなく、タイブレークの延長10回は打者3人で抑えた。
■弾みとなる2連覇
バント、走塁、キャッチボール。日頃からこの3点を徹底して取り組んできた。準々決勝からすべて接戦をものにしての頂点。基本の大切さをあらためて再確認した大会となった。連覇を達成しても慢心はない。「『もしかしたら』を信じてやる。100回なかったとしても、101回目にあるかもしれない。そこをもっと突き詰めていきたい。これからもやることは変わらない」(米山監督)
全員で勝ち取った栄冠は勝負の夏に向けての大きな弾みとなる。